私は1つの商品を売る小さなECをやっていて、毎月「広告費をどのチャネルにいくら配るか」でいつも迷います。よくある記事は「広告費は売上の20〜30パーセントが目安」と教えてくれますが、それは"全体でいくら使うか"の話で、"次の1万円をどのチャネルに足すか"には答えてくれません。商品が1つだと、商品の組み合わせで売上を分散させることができない分、このチャネル選びの精度が、そのまま手元に残る利益を決めます。本記事では、総額の目安ではなく、チャネル別の実際の利益と「増やした分がどれだけ効いたか」で予算を配る考え方を、できるだけやさしく整理します。
まとめ解説動画
目次
この記事のまとめ#
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「売上の何パーセント」は総額の目安にすぎない
それは"全体でいくら使うか"の話で、"次の1万円をどのチャネルに置くか"には答えてくれない
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次の1万円は「限界」で考える
平均のROASではなく、増やした分が生んだ追加の売上で見る。飽和したチャネルに足しても伸びない
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配分はチャネル別の実利益で決める
広告媒体の自己申告ではなく、自分側の実売上をチャネル共通の基準にそろえ、RPSと貢献利益で見比べる
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1商品だからこそ、ごまかしが効かない
商品の組み合わせで売上を分散できない分、チャネル選びの精度がそのまま利益になる
1. 「売上の何パーセント」では予算を配れない#
「売上の何パーセント」は総額の目安であって、次の1万円をどのチャネルに置くかは決めてくれない。
国内のBtoC物販ECの市場規模は伸び続けていますが[4]、その中で1商品に絞って戦う単品通販の広告費は、業種によって「売上の20〜30パーセントが目安」とよく言われます[1]。化粧品や健康食品の定期通販では、30パーセントを超えることも珍しくありません[3]。これは"全体でいくら広告に使ってよいか"を考えるときの、おおまかな上限としては役に立ちます。
でも、実際に毎日悩むのは、そこではありません。「今ある予算を、リスティング広告とSNS広告とリターゲティングに、どう振り分けるか」「来月もし1万円増やせるなら、どのチャネルに足すのが一番効くか」——この"配分"と"次の一手"こそ、利益を左右する判断です。「売上の何パーセント」という総額の目安は、ここには何も答えてくれません。単品リピート通販で広告費を回収するために見るべきKPIも、総額比率ではなくチャネルごとの効率に寄っていきます[2]。

しかも単品通販は、扱う商品が1つです。複数の商品を売るECなら、ある商品の広告が外れても別の商品でカバーできますが、1商品ではそれができません。チャネル配分を間違えれば、その損がそのまま事業全体に響きます。だからこそ、総額の目安で安心するのではなく、配分の中身を一段細かく見る必要があります。
2. 次の1万円は「限界」で置く#
チャネルの良し悪しは平均のROASでなく、増やした分が生んだ追加の売上(限界)で見る。
予算配分でいちばん大事な問いは「次の1万円をどこに足すか」です。これを考えるときに見るべきなのは、そのチャネルの平均的なROAS(広告費用対効果)ではありません。増やした分が、どれだけ追加の売上を生んだかです。これを「限界(げんかい)で見る」と言います。
たとえば、あるチャネルに毎月10万円使っていて、売上が30万円出ているとします。平均で見ればROASは3倍です。でも、ここに1万円足したとき、売上が3万円増えるとは限りません。すでに買いそうな人にはほぼ届けきっていて、追加の1万円では5,000円分しか売上が増えない、ということが起こります。これがチャネルの「飽和(ほうわ)」です。

だから、次の1万円は「平均ROASが一番高いチャネル」ではなく、「足したときにまだ素直に伸びるチャネル」に置くのが正解です。平均ROASが高いチャネルでも、もう飽和していれば追加投下は無駄になります。逆に平均ROASは地味でも、まだ伸びしろのあるチャネルに足したほうが、同じ1万円で多くの売上を生みます。広告を増やすほど儲かるとは限らない理由は、広告の飽和の見抜き方でくわしく解説しています。
3. チャネル別の実利益で見比べる:RPSと貢献利益#
配分は媒体の自己申告でなく、自分側の実売上をチャネル共通の基準にそろえ、RPSと貢献利益で見比べて決める。考え方は簡単だが、毎月これを全チャネルでそろえ直す手作業が重い。
限界で見ると決めても、その材料になる数字が媒体ごとにバラバラだと判断できません。各広告媒体が出すROASは、それぞれの媒体が自分の都合で計算した自己申告です。同じ売上を複数の媒体が「自分の成果だ」と二重に数えていることもあります。だから、配分を決める前に、自分側の実際の売上を、全チャネル共通の基準にそろえる必要があります。媒体ごとの自己申告ROASと、サイト全体で見た実際の効率(MER)のズレについては媒体ROASとMERの違いで整理しています。
そのときに便利なのが RPS(アールピーエス/1セッションあたり売上) です。チャネル経由の売上を、そのチャネルの訪問数で割った数字で、「1回の訪問が平均いくらの売上を生んだか」を表します。アクセスが多いチャネルが偉いのではなく、少ない訪問でもしっかり買われるチャネルのほうが効率は上、ということが、この1つの数字で見えます。RPSの詳しい出し方と使いどころはRPS(1セッションあたり売上)の教科書にまとめています。
RPS = チャネル経由の売上 ÷ チャネル経由のセッション数
貢献利益 = 売上 −(原価 + 送料 + 決済手数料 + 広告費)
さらに、単品通販には1つ有利な点があります。商品が1つなので、原価・送料・決済手数料がほぼ一定です。つまり、貢献利益(こうけんりえき=売上から直接かかった費用を引いた、手元に残る利益)が計算しやすい。複数商品のECだと商品ごとに原価が違って面倒ですが、1商品なら「売上の順位」がほぼ「利益の順位」に近くなります。

考え方そのものは難しくありません。チャネル別の売上とセッション数をそろえ、RPSを出し、概算の貢献利益を添えて見比べるだけです。難しいのは、これを毎月くり返すこと。媒体ごとの自己申告ROASの二重計上をならし、表記ゆれのチャネル名を名寄せし、自動プログラム(bot)を除いたうえで、全チャネルを同じ基準で突き合わせ続ける——この前処理を手作業で毎月維持するのが、地味に重い作業です。しかも、チャネル別の「RPS × 実売上」を1画面にまとめて見比べる形は、GA4の標準レポートには構造的に用意されていません。だから、RPSと貢献利益は「次の1万円の置き先を絞り込む出発点」にはなっても、それ「だけ」で毎月の配分を決め切れるわけではありません。
なお、チャネルを評価するときは「新規のお客さんを連れてきているか」も合わせて見ると、判断の精度が上がります。ROASが高い媒体が実は既存客の再来訪に偏っている、という落とし穴についてはROASが良いチャネルほど危ない?新規と既存を分けて見るチャネル評価で整理しています。
RevenueScopeの解決策
「次の1万円をどこに置くか」を実測ROASと飽和度で判断するには、媒体ごとの自己申告をひとつの基準にそろえ、全チャネルで「あといくらまで効率よく使えるか」を1画面にまとめる必要があります。RevenueScope はその突き合わせを提供します。
「次の1万円をどこに置くか」を限界と実利益で決めたくても、各媒体の自己申告ROASはバラバラで、しかも「全チャネルを合わせて、あといくらまでなら効率よく使えるのか」は、広告管理画面を1つずつ見ても見えてきません——これが、単品通販の予算配分でいちばんつまずくところです。
RevenueScope は、あなたの広告アカウント(Google・Meta・TikTok など)とつないで各媒体の広告費を取り込み、自前の売上トラッキングと突き合わせます。すると、チャネルごとの実測ROAS(広告費用対効果)に加えて、飽和度(ほうわど)——あと1円足したときに効率がどれだけ落ちているかを 0〜100パーセントで——出します。100パーセントに近いほど「もう増やしても伸びにくい」状態です。
たとえば RevenueScope に「チャネル別の効率と飽和度を出して」と聞くと、チャネル別の広告費・売上・実測ROAS・飽和度・提案を一覧で返します(表示はデモデータ)。
| チャネル | 広告費(円) | 実測ROAS | 飽和度 |
|---|---|---|---|
| Google Ads | 584,089 | 3.18倍 | 49% |
| Meta | 808,858 | 1.86倍 | 67% |
表示はデモデータ(サンプルデータのフィクションサイト)。飽和度は業界平均ベースの推定です。
ここで効くのが、ROASと飽和度を重ねて見比べる読み方です。ROASが高いチャネルでも、飽和度が上限近くまで来ていれば、次の1万円を足しても素直には伸びません。逆にROASは地味でも飽和度に余地があるチャネルなら、同じ1万円がまだ効きます。「次の1万円」は平均ROASが一番高いチャネルではなく、飽和度にまだ余地のあるチャネルに置く——それが数字で見えます。
さらに強いのはここからです。RevenueScope に「もし月50万円を追加で配分するなら」と聞くと、いまのチャネル構成で効率を保ったまま投下できる上限と内訳を、前提と制約つきでこう返します(表示はデモデータ)。
予算50万円のうち、今の効率を保ったまま足せるのは0円。残り50万円(100%)は、現在の2チャネルが飽和の限界に来ていて、効率的な投下先がありません。新規チャネルの開拓・クリエイティブの刷新・留保のいずれかを推奨します。
「増やせるはずの予算に、効率のいい置き場所がない」——これは全チャネルの広告費を横断で見ているからこそ出せる、過剰投下を止めるための判断です(飽和度は業界平均ベースの推定で、実際は飽和の内側でも効率は緩やかに下がる前提です)。
「予算を増やせば売上も増える」と思いがちですが、現有チャネルが飽和していれば、増やした分の大半は効率を下げるだけです。RevenueScope は「今のチャネルにいくらまでなら効率よく足せるか」「どこからは新しいチャネルの開拓やクリエイティブの刷新に回すべきか」を、全チャネルを1画面にまとめて判断材料にします。これは、GA4や各広告管理画面を1つずつ見ても出てこない、横断で初めて見える答えです。
RevenueScope が出すのは、広告費を取り込んだチャネルの実測ROASと、チャネル別の売上効率(RPS)、そして飽和度をふまえた配分の叩き台です。売上ベースのこの3つに特化しているぶん、次の1万円をどのチャネルに置くかを数字で絞り込めます。貢献利益や粗利は、あなたの事業の原価・送料・手数料を入れて手元で出す数字——RevenueScope が返すRPSと売上の順位をそのまま土台にすれば、そこに利益の順位を重ねるのは最後のひと手間で済みます。RevenueScope が引き受けるのは、この「次の1万円の置き先」を毎月・全チャネル横断でそろえ直す重い手作業のほうで、あなたは配分の最終判断に集中できます。
なお、まだ広告費をつないでいない段階でも、RevenueScope はチャネル別の RPS(1セッションあたり売上) で効率の高い・低いを一覧にします。広告アカウントをつなぐと、上の実測ROAS・飽和度・配分の叩き台まで踏み込める、という二段構えです。単品通販のように1商品で勝負する事業ほど、この「次の1万円の置き先」の精度が、そのまま利益を左右します。
FAQ#
よくある質問#
Q. 単品通販の広告費は、結局いくらが正解ですか?
A. 一律の正解はありません。「売上の20〜30パーセント」は総額のおおまかな上限の目安にはなりますが、大切なのはその枠の中で、どのチャネルに配るかです。総額を気にする前に、チャネル別の効率(RPS)を見比べて、伸びるチャネルに寄せられているかを確認するほうが、利益への効き目は大きくなります。
Q. リスティングとSNS、どちらを優先すべきですか?
A. チャネルの種類で決めるより、自分の数字で決めるのが確実です。一般にリスティング(検索)広告は「今すぐ買いたい人」に届くので初期は効きやすいと言われますが、すでに飽和していれば追加投下は無駄になります。チャネル別のRPSと、1万円足したときの伸び(限界)を見て、まだ伸びるほうに置いてください。
Q. 貢献利益は厳密に計算しないとダメですか?
A. 最初は概算で十分です。単品通販は原価・送料・手数料がほぼ一定なので、ざっくりでも「売上の順位=利益の順位」に近くなります。まずはチャネル別の売上とRPSを見比べ、次に概算の貢献利益を添えてみてください。順位がROASで見たときと変われば、ROASだけの判断が危ないという証拠になります。
まとめ#
単品通販の広告予算は、「売上の何パーセント」という総額の目安では配れません。それは全体でいくら使うかの話で、次の1万円をどのチャネルに置くかには答えてくれないからです。配分は、平均のROASではなく「増やした分がどれだけ効いたか」という限界で考え、媒体の自己申告ではなくチャネル別の実利益(RPSと貢献利益)で見比べて決めます。商品が1つだからこそ、原価がほぼ一定で利益が見えやすく、同時にチャネル選びのごまかしも効きません。
ただ、考え方が簡単でも、実際に効くのは「毎月・全チャネルで同じ基準にそろえ直す」ところです。媒体ごとの二重計上をならし、bot を除き、実測ROASと飽和度を1画面にまとめて、はじめて「次の1万円をどこに置くか/どこからは別の打ち手に回すか」が判断材料になります。この横断のそろえ直しを手作業で毎月続けるのが、単品通販の予算配分でいちばん重いところです。RevenueScope は、まさにこの重い反復を提供して、次の1万円の置き先を数字で決められる状態にします。
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