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平均ROASでは広告予算を決められない

全体のROASが3.0なら黒字、と思っていませんか。平均や合計の数字は、稼いでいるチャネルが赤字のチャネルを覆い隠します。なぜ平均ROASや平均客単価で予算を判断すると間違えるのか、その仕組みと、チャネル別に分解して『どこから予算を引いてどこへ寄せるか』を売上効率(RPS)で見る考え方を、平易に整理します。

平均ROASでは広告予算を決められない

「うちのROASは3.0だから、広告は黒字でまわっている」——そう考えて、来月も同じ配分で予算を組む。よくある判断ですが、ここに落とし穴があります。その「3.0」は、全部の広告をひとまとめにした平均だからです。

平均や合計の数字は、便利な反面、中身を覆い隠します。よく稼いでいるチャネルが1つあると、その裏で赤字を垂れ流しているチャネルがあっても、ならされて見えなくなる。全体では黒字に見えるのに、予算の一部は静かに溶けている——これが「平均ROASのワナ」です。同じことは平均客単価でも起きます。この記事では、なぜ平均で予算を決めると間違えるのか、その仕組みと、チャネルごとに分けて「どこから予算を引いて、どこへ寄せるか」を見る考え方を、順番に整理していきます。

まとめ解説動画

この記事のまとめ#

  • 平均ROASや平均客単価は、強いチャネルが弱いチャネルを覆い隠します。全体が黒字に見えても、内訳には予算を溶かしている赤字チャネルが混ざっていることがあります。
  • 同じ「平均ROAS 3.0」でも、全チャネルが均等に3.0の場合と、1チャネルが10.0で他は赤字の場合とでは、打つべき手は正反対です。平均だけ見ると、この違いに気づけません。
  • 予算配分は「全体が黒字か」ではなく、「どのチャネルから引いて、どのチャネルへ寄せるか」で決まります。そのためには、チャネルごとにROASと売上効率(RPS、1セッションあたりの売上)を分けて見る必要があります。

1. 平均ROASのワナ|なぜ全体の数字で判断すると間違えるのか#

ROASは「広告費に対して何倍の売上が戻ってきたか」を表す指標で、売上 ÷ 広告費で計算します。ROAS 3.0なら、1万円の広告費で3万円の売上、という意味です。

問題は、この数字を「全体でひとまとめ」にして見たときに起きます。広告を複数のチャネル(Meta、Google、メルマガ……)に出していれば、本当のROASはチャネルごとにバラバラです。それを全部足して平均すると、1つの「全体ROAS」になります。便利ですが、この瞬間に、チャネルごとの良し悪しは見えなくなります。

たとえば全体ROASが3.0だったとします。一見すると健全です。でも内訳を開けてみると、検索広告はROAS 6.0で大きく稼いでいるいっぽう、Meta広告はROAS 1.5しかない、ということがよくあります。もし自店の損益分岐点(利益が出るために最低限必要なROAS)が2.0だとしたら、Metaは出せば出すほど赤字です。それでも全体平均が3.0と出ているせいで、「黒字だから問題なし」と判断され、赤字チャネルにも予算が流れ続けます。

平均という1つの数字は、こうして「どこで稼ぎ、どこで溶かしているか」をならして消してしまいます。全体が黒字に見えることと、すべてのチャネルが黒字であることは、まったく別の話なのです。

チャネル別ROASを分解した棒グラフ。全体の平均ROASは3.0だが、チャネルごとに見ると検索広告は6.0で大きく稼ぐ一方、Meta広告は1.5しかなく、損益分岐点ROAS2.0を下回って赤字になっている。平均という一つの数字が、稼ぐチャネルと赤字チャネルをならして覆い隠していることを示す

2. 同じ平均でも中身は正反対|平均が隠すもの#

平均のこわさは、「同じ平均値でも、中身がまったく違う」ことにあります。同じ平均ROAS 3.0でも、その内側には正反対の状況が隠れていることがあります。

ひとつは、すべてのチャネルが横並びで3.0前後のケース。これは安定していて、どのチャネルも黒字です。もうひとつは、1つのチャネルがROAS 10.0で突出して稼ぎ、残りのチャネルは赤字、というケース。両者をならすと、どちらも平均は3.0になります。つまり、平均だけを見ていると、この2つを見分けられないのです。

この2つは、打つべき手がまるで違います。前者なら、全体に少しずつ予算を増やしてもいい。でも後者なら、やるべきは「赤字チャネルから予算を引きあげて、ROAS 10.0のチャネルへ寄せる」ことです。同じ「平均3.0」という数字を見て、増やすのか、配分を組み替えるのか——正反対の判断になります。平均を信じて全体を一律に増やせば、後者では赤字チャネルにも予算が増え、利益はかえって減ります。

同じ罠は、平均客単価(AOV、1注文あたりの平均購入額)でも起きます。全体の平均客単価が先月と同じ8,000円でも、その裏では「新規のお客さんの単価が下がり、それを既存客の高い単価が補っている」ことがあります。平均は横ばいでも、新規客の質は落ちている。これも、平均という1つの数字がならして隠す典型例です。

同じ平均ROAS3.0でも中身が正反対であることを示した対比表。パターンAは検索3.0・Meta3.2・メルマガ2.8と全チャネルが横並びで安定し全て黒字。パターンBは検索10.0で突出して稼ぐ一方Meta1.0・メルマガ0.8と赤字で、ならすと同じ平均3.0になる。前者は全体に予算を増やしてよいが、後者は赤字チャネルから引いて稼ぐチャネルへ寄せるべきで、打つ手が正反対になることを示す

3. 平均から分解へ|予算は「どこから引くか」で決まる#

ここまで見てきたように、予算配分の判断に、平均や合計の数字はほとんど役に立ちません。「全体が黒字か」ではなく、「どのチャネルから引いて、どのチャネルへ寄せるか」——これが予算配分の本質だからです。そのためには、平均を分解して、チャネルごとに見るしかありません。

チャネル別に見るとき、ROASだけだと足りない場面があります。ROASは広告費に対する売上の倍率なので、広告を出していないチャネル(検索の自然流入やメルマガ)の効率は測れません。そこで併せて見たいのが、売上効率(RPS、Revenue Per Session=1セッションあたりの売上)です。RPSは「訪問1回が平均いくらの売上を生んだか」を表すので、広告のあるなしに関係なく、すべてのチャネルを同じ尺度で比べられます。チャネル別にROASとRPSと売上を1画面に並べれば、「広告費をかけている割に売上効率が低いチャネル」と「広告費はかけていないのに効率よく稼いでいるチャネル」が、はっきり見分けられます。

考え方そのものは、むずかしくありません。むずかしいのは、これを毎月続けることです。チャネル別のROASを出すには、各広告媒体の広告費と、サイト側の売上・セッションを、チャネルごとに突き合わせる必要があります。ところが、広告費は各媒体の管理画面に、売上やセッションはアクセス解析(GA4など)にあり、置き場所がばらばらです。しかもGA4は広告費そのものを取り込まないので、チャネル別のROASはGA4の標準レポートには出てきません。結局、毎月いくつもの画面から数字を集めてきて、手作業で1つの表に組み直す——その手間が、判断にたどり着く前に立ちはだかります。

チャネル別の売上効率(RPS、1セッションあたりの売上)を比べた棒グラフ。検索の自然流入は128円、Google検索広告は100円、Meta広告は60円、メルマガは225円。広告費をかけていないメルマガが最も効率よく稼ぎ、最も広告費をかけているMeta広告が最も低い。RPSは広告のあるなしに関係なく全チャネルを同じ尺度で比べられるため、平均では見えなかった本当に稼ぐチャネルが分かることを示す

RevenueScopeの解決策

平均で予算を決められないとわかっても、最後にぶつかるのは同じ壁です。「チャネル別のROASと売上効率を知りたいのに、そのための数字が複数の画面に散らばっていて、毎月まとめ直さないと見えない」ことです。

RevenueScope は、その散らばった数字を1画面に集約します。各広告媒体の広告費(read-onlyのGoogle Ads連携、または手入力)と、サイト側の売上・セッションを突き合わせ、チャネルごとにROASと売上効率(RPS)と売上を並べて見せます(表示はデモデータ)。

チャネル広告費売上ROASRPS(売上効率)
検索(自然流入)¥320,000¥128
検索広告(Google)¥50,000¥300,0006.0¥100
広告(Meta)¥160,000¥240,0001.5¥60
メルマガ¥180,000¥225

この表を1画面で見ると、全体平均では隠れていたものが、すぐに浮かびます。いちばん広告費をかけているMeta広告は、ROASが1.5。損益分岐点が2.0なら、ここは出すほど赤字です。いっぽうメルマガは広告費をかけていないのに、RPS(1訪問あたりの売上)は225円と全チャネルで最も高い。つまり次の一手は、「Metaの予算を引きあげて、効率の高いメルマガや検索広告の強化へ回す」という方向だと見えてきます。全体ROAS 3.0という1つの数字を眺めていたら、決してたどり着けない判断です。

ひとつ、はっきりさせておきます。RevenueScope がやるのは、チャネルごとにROAS・売上効率(RPS)・売上を分けて、1画面に並べることです。いくらの予算をどう動かすか、その最終判断はあなたが下します。また、利益率(粗利)や顧客生涯価値(LTV)といった会計・顧客管理側の数字は RevenueScope では扱いません。出すのは、売上と、広告費に対する効率と、その出どころまで。どこから予算を引いてどこへ寄せるかの材料はそろえますが、ハンドルを握るのはあなたです。

FAQ#

よくある質問#

Q. 全体のROASが損益分岐点を超えていれば、問題ないのでは?

A. 全体で超えていても、内訳に赤字チャネルが混ざっていることはよくあります。稼いでいるチャネルが、赤字チャネルの損失を覆い隠しているだけです。その状態を放置すると、赤字チャネルに使った予算は、本来もっと効率よく稼げたチャネルに回せたはずのお金です。全体が黒字でも、チャネル別に見て「ここは引きあげて、こちらへ寄せる」と組み替えれば、同じ予算で利益はさらに伸びます。

Q. ROASだけ見ていればよいですか。RPSも必要ですか?

A. ROASは広告費に対する売上の倍率なので、広告を出していないチャネル(検索の自然流入やメルマガ)の効率は測れません。RPS(1セッションあたりの売上)は広告のあるなしに関係なく全チャネルを同じ尺度で比べられるので、両方を並べると「広告費をかけている割に効率が低いチャネル」と「広告なしで効率よく稼ぐチャネル」が見分けられます。予算をどこへ寄せるか決めるには、この両方があると判断が安定します。

Q. GA4でチャネル別のROASは見られますか?

A. GA4は広告費そのものを取り込まないため、チャネル別のROASは標準レポートには出てきません。売上やセッションはGA4で見られますが、ROASを出すには各広告媒体の広告費を別途持ってきて、チャネルごとに手作業で突き合わせる必要があります。その月次の集計作業が、平均から分解へ進むときの最大のハードルになります。

まとめ#

平均ROASや平均客単価は、強いチャネルが弱いチャネルを覆い隠します。全体が黒字に見えても、内訳には予算を溶かしている赤字チャネルが混ざっていることがある。同じ「平均ROAS 3.0」でも、全チャネル横並びの安定型と、1チャネルが突出して他は赤字の型とでは、打つべき手は正反対です。

予算配分は「全体が黒字か」ではなく、「どこから引いて、どこへ寄せるか」で決まります。そのためには、平均を分解して、チャネルごとにROASと売上効率(RPS)と売上を並べて見ること。まずは一度、全体ROASを忘れて、チャネル別に数字を分けてみてください。平均が覆い隠していた赤字チャネルが見えた瞬間、来月の予算の組み方が変わります。

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