ネットショップを運営していると、「広告はいつ強める?」「メールは何時に送る?」「タイムセールは何曜日がいい?」と迷います。多くの人はアクセスが多い時間に手を寄せますが、アクセスが多い時間と、実際に売れる時間は、同じとは限りません。本記事では、なぜ「アクセスの山」と「売上の山」がずれるのか、売れる曜日と時間帯をどう見つけるのか、そしてその山に広告やメールの時刻をどう寄せるのかを、専門用語を避けて順番に整理します。
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目次
この記事のまとめ#
- アクセスが多い時間と、実際に売れる時間は同じとは限りません。見るべきは人の多さではなく、訪問あたりの売上(RPS)の山です
- 曜日や時間帯で売上に山ができることは研究でも報告されています。ただし決まった法則ではなく、実際の山はお店ごとに違います
- 売上の山は、曜日と時間帯を「別々の軸」で見て、人が頭の中で重ねて読むのが現実的です。曜日×時間帯をかけ合わせた細かい表(クロス集計)は作りません
- 売れる曜日と時間帯が分かれば、広告の入札・メール配信・タイムセールの時刻を、その山に寄せられます
1. アクセスが多い時間と売れる時間は違う#
結論から言うと、アクセスが多い時間と、実際に売れる時間は、同じとは限りません。
多くのお店は、アクセス解析を見て「いちばん人が来ている時間」に広告やメールを寄せます。でも、たくさん人が来る時間に、たくさん売れているとは限りません。例えば、休日は見るだけの人が増えてアクセスは伸びるのに、実際に買う人の割合は下がる、ということがよくあります。逆に、平日のある時間帯は、来る人は少なくても、来た人がよく買う。つまり「人の多さ」と「売れ方」は別の動きをするのです。
ここで、訪問あたりの売上(RPS)という見方を使います。RPSは、売上をセッション数(訪問の数)で割った数字で、「1回の訪問が平均していくら売上を生んだか」を表します。アクセスの数ではなく、このRPSで時間を見ると、「いつ人が多いか」ではなく「いつ効率よく売れているか」が分かります。RPSの基本はRPSとは|広告チャネル比較の指標・計算式・GA4での出し方でくわしく扱っています。
なお、訪問者を分けて見る切り口はいくつかあります。本記事は「いつ(曜日・時間帯)」で分けます。これとは別に、「誰が(新規かリピーターか)」で分ける見方は新規とリピーターで売上を分ける|計測の落とし穴、「どの端末か(スマホかPCか)」で分ける見方はスマホとPCで売上が違う|デバイス別の見方で扱っています。どれも同じ「訪問を分けて売上を見る」仲間ですが、分ける軸が違うだけです。
下の図は、曜日ごとに「アクセスの多さ」と「RPS(売上効率)」を見比べたものです。アクセスは週末に山ができますが、RPSの山は平日のほうに出ています。2つの山がずれているのが分かります。

2. 売れる曜日と時間帯は研究でも裏づけられる#
結論から言うと、曜日や時間帯で売上に山ができることは、研究でも報告されています。
ここで、もとになった研究を一つ紹介します。『オンライン買い物客の肖像』(原題 "Portrait of an Online Shopper: Understanding and Predicting Consumer Behavior")という研究で、大規模なオンライン購買のログを題材に、人がいつ・何を買うかのパターンを調べたものです[1]。
この研究では、月曜の購入が日曜より約32.6%多いと報告されています[1]。また、購入は平日の午前から早い午後にかけて山ができやすい、という一日の中での規則的なリズムも示されています[1]。さらに、高い商品ほど前の買い物からの間隔が空きやすい、つまり財布が回復してから次を買う傾向があることも報告されています[1]。
下の図は、この「週内の購入の山」をイメージで表したものです。平日が高く、週末は低い。月曜がいちばん高い、という形です。

ひとつ、はっきり断っておきます。この研究が題材にしたのは特定の大規模な購買ログで、数値そのものはその題材の話です。曜日や時間帯で購入に山ができる、という骨組みは多くのECサイトにも当てはまると考えられますが、当てはまり方はお店や商材によって違います。だから、これを「どんなサイトにも当てはまる決まった法則」として受け取らず、自分のサイトのデータで実際の山を確かめるのが正確です。研究は「こういう傾向がある」という地図で、実際の山は自分のサイトで測る、という順番です。
3. 売上の山は曜日と時間帯を別々に見て重ねる#
結論から言うと、売上の山は、曜日と時間帯を別々の軸で見て、それを頭の中で重ねて読むのが現実的です。
さきほどの曜日の図に続いて、今度は時間帯で見てみます。下の図は、時間帯ごとの訪問あたりの売上(RPS)です。時間帯は、早朝・午前・午後・夜の4つの区分で見ます(1時間ごとの細かい区切りではありません)。この例では、RPSの山は夜に出ています。

ここで大事なのは、曜日の山(さきほどの図)と時間帯の山を「別々の軸」として見ている、ということです。「火曜の夜がいくら売れたか」のような、曜日と時間帯をかけ合わせた一枚の表(クロス集計)は、ここでは作っていません。また、前の期間と比べた増減(前期比)も、この見方では脇に置きます。やることはシンプルで、曜日は曜日で山を見て、時間帯は時間帯で山を見て、人が頭の中で「火曜は強い、夜は強い、だから火曜の夜あたりに手を寄せよう」と重ねて読む。これで十分に判断できますし、かけ合わせの細かい表を作り込むより、かえって見落としが減ります。マスを細かく割るほど一つひとつの数字は小さくなり、たまたまのブレに振り回されやすくなるからです。
4. 山が分かれば広告とメールの時刻を寄せられる#
結論から言うと、売れる曜日と時間帯が分かれば、広告・メール・タイムセールの時刻を、その山に寄せられます。
打ち手の考え方そのものは、とても簡単です。売れる時間に手を寄せるだけ。具体的には、広告の入札を強める時間帯を売上の山に合わせる、メールを送る時刻を「開封されやすく、かつ買われやすい」時間に寄せる、タイムセールを売れる曜日・時間に投下する、といったことです。1商品だけを扱うお店での広告予算の配り方は単品通販の広告予算、どう配る?でも扱っています。
下の図は、曜日の山と時間帯の山を1つの面に重ねて、どこに手を寄せるかを見分けるイメージです。横の軸がアクセス量、縦の軸が売上効率(RPS)です。右上(人も多く、効率も高い)が最優先。左上(人は少ないが効率は高い)は隠れた狙い目。右下(人は多いが効率は低い)は、数は出ても期待しすぎない場所です。

難しいのは、打ち手そのものではなく、「売れる時間」を毎回・正確につかむことのほうです。アクセス解析(GA4)でも、時間帯ごとに人がどれくらい来ているかの傾向はつかめます。これは入口としては役に立ちます。ただし、そこで見えるのはセッション数やユーザー数の山であって、訪問あたりの売上(RPS)の山ではありません。GA4の探索機能を使えば、時間帯と売上を結びつけて自分で組むこともできますが、それをページごと・月ごとに毎回やり直すのは重く、設定も壊れやすい。考え方は簡単でも、正確な山を毎回つかみ続けるところが、いちばん骨が折れるのです。
RevenueScopeの解決策
ここまでで、「いつアクセスが多いか」ではなく「いつ売れるか」で手を配ればいい、と見えてきました。残るのは、その「売れる曜日・時間帯」をどう正確につかむか、です。けれど自分でやろうとすると壁が2つあります。1つは、GA4が時間帯ごとに見せてくれるのはセッション数やユーザー数の山であって、訪問あたりの売上(RPS)の山ではないこと。もう1つは、GA4のAIアシスタント流入で分かること・分からないことでも触れたとおり、売上と時間帯を結びつけて毎ページ・毎月追い続けるのは、手作業だと構造的に重く、壊れやすいことです。
RevenueScopeは、この切り分けを肩代わりします。曜日別と時間帯別に、セッション数・訪問あたりの売上(RPS・売上÷セッション)・売上を、それぞれ1つの画面で見比べられるようにします(表示はデモデータ)。「いつアクセスが多いか」だけでなく「いつ売れているか」を、同じ画面でそろえて確認できます。
まず、曜日別に聞くとこう返ります。
| 曜日 | セッション | 訪問あたり売上(RPS) | 売上 |
|---|---|---|---|
| 月 | 420 | ¥980 | ¥411,600 |
| 火 | 380 | ¥1,520 | ¥577,600 |
| 水 | 360 | ¥1,210 | ¥435,600 |
| 木 | 390 | ¥1,090 | ¥425,100 |
| 金 | 410 | ¥1,160 | ¥475,600 |
| 土 | 520 | ¥640 | ¥332,800 |
| 日 | 560 | ¥590 | ¥330,400 |
次に、時間帯別に聞くとこう返ります。時間帯は4つの区分(早朝・午前・午後・夜)で返ります。
| 時間帯 | セッション | 訪問あたり売上(RPS) | 売上 |
|---|---|---|---|
| 早朝 | 180 | ¥720 | ¥129,600 |
| 午前 | 640 | ¥1,050 | ¥672,000 |
| 午後 | 980 | ¥860 | ¥842,800 |
| 夜 | 740 | ¥1,480 | ¥1,095,200 |
この2つの表の読みどころは、アクセスの数と訪問あたりの売上が、同じ順ではないことです。曜日では、日曜がいちばんアクセスを集めますが、RPSは低い。来た人がよく買うのは火曜で、売上でも上回ります。時間帯では、午後がいちばんアクセスを集めますが、RPSがいちばん高いのは夜です。もし「アクセスの多さ」だけを見ていたら、日曜と午後に手を寄せて、実際に売れる火曜と夜を後回しにしていたかもしれません。
ここで、はっきりさせておきます。RevenueScopeが返すのは、曜日の山と時間帯の山を、それぞれ別々の単独の軸としてです。「火曜の夜」「土曜の午前」のような曜日×時間帯のかけ合わせ(クロス集計)の表は出しません。前の期間と比べた増減(前期比)も、この属性別の画面では出しません。だから上の2つの表は、人が頭の中で重ねて読みます。それで「売れる曜日」と「売れる時間帯」の両方が見えれば、広告の入札を強める時間、メールを送る時刻、タイムセールを投下する曜日を、売上の山に寄せられます。どのLPがその売上を生んでいるかは売れるLPの見分け方|売上効率で比べるで扱う売上効率の見方と合わせると、さらに絞り込めます。
なお、RevenueScopeが扱うのは売上とセッションの範囲(売上・客単価・RPS・CVR・セッション数)です。粗利や在庫、1人の顧客が将来生む売上の合計(LTV)までは計算しません。RevenueScopeが肩代わりするのは、曜日別・時間帯別に「いつ売れているか」をそろえて見比べる材料を整えるところ。どの時間に手を寄せるかは、あなたが決めます。
FAQ#
よくある質問#
Q. アクセスが多い時間に広告を寄せれば、売上は増えますか?
A. 必ずではありません。アクセスが多い時間と、実際に売れる時間(RPSが高い時間)は、同じとは限らないからです。休日のように見るだけの人が増えて、アクセスは多いのに買う割合は下がる、ということがよくあります。広告やメールは「人が多い時間」ではなく「売れている時間(RPSの山)」に寄せると、同じ手間でも売上につながりやすくなります。
Q. 「火曜の夜」のように曜日と時間帯をかけ合わせて見たほうが正確では?
A. かけ合わせの細かい表(クロス集計)は、見た目は正確そうでも、マスの一つひとつの数字が小さくなって、たまたまのブレに振り回されやすくなります。現実的には、曜日の山と時間帯の山を別々に見て、「火曜は強い・夜は強い」と頭の中で重ねて読むほうが、見落としが減り、手も打ちやすい。まずは2つの軸を別々にはっきりさせるのがおすすめです。
Q. 売れる時間は、一度調べれば固定ですか?
A. いいえ。曜日や時間帯の山は、商品の入れ替え、季節、広告の出し方で動きます。研究も「こういう傾向がある」という地図であって、決まった法則ではありません。だから、一度きりで終わらせず、自分のサイトのデータで定期的に確かめ直すのが正確です。大事なのは、いつでも「いまの山」を見られる状態にしておくことです。
まとめ#
ネットショップの広告やメールは、つい「アクセスが多い時間」に寄せがちです。でも、アクセスの山と売上の山は、同じとは限りません。見るべきは、人の多さではなく、訪問あたりの売上(RPS)の山です。
曜日や時間帯で売上に山ができることは、研究でも報告されています。ただしそれは「こういう傾向がある」という地図で、実際の山はお店ごとに違います。だから、曜日の山と時間帯の山を別々の軸で見て、頭の中で重ねて読み、自分のサイトの「いまの山」を確かめるのが現実的です。曜日×時間帯をかけ合わせた細かい表は、かえって見落としを増やします。
売れる曜日と時間帯が分かれば、広告の入札、メールの配信、タイムセールの投下を、その山に寄せられます。「いつアクセスが多いか」ではなく「いつ売れるか」で予算と手間を配る。これが、同じ努力で売上を伸ばす近道です。
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