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新規とリピーターで売上を分ける|計測の落とし穴

売上を新規とリピーターに分けて見ると、客単価(AOV)も訪問あたりの売上(RPS)も大きく違うことが分かります。ところが、その「新規」の数字は水増しされやすい——cookieが消えると、同じリピーターが新規として数え直されるからです。新規とリピーターを正しく分けて売上を見る測り方と、AOVの違い、そして計測の落とし穴を、専門用語を避けて整理します。

新規とリピーターで売上を分ける|計測の落とし穴

「リピーターを増やそう」とよく言いますが、では自分のお店で、新規とリピーターはそれぞれどれだけ売上を生んでいるのか——数字でぱっと答えられるでしょうか。多くの場合、全体の売上は見ていても、新規とリピーターに分けては見ていません。

ですが、分けて見ると景色が変わります。新規とリピーターでは、買ってくれる割合(購入率=CVR)も、一度に買う金額(客単価=AOV)も、訪問あたりの売上(RPS)も、かなり違うからです。リピーターのほうが効率よく売れていることがほとんどで、その差は混ぜた平均だけ見ていると見えません。さらにやっかいなのが、「新規」の数字は水増しされやすいという計測の落とし穴です。本記事では、新規とリピーターを分けて売上を見る測り方、AOVがどう違うのか、そしてなぜ新規が水増しされるのかを、順番に整理します。

まとめ解説動画

この記事のまとめ#

  • 新規とリピーターでは、購入率(CVR)も客単価(AOV)も訪問あたりの売上(RPS)も違います。多くの場合、リピーターのほうが効率よく売れています
  • 混ぜた平均だけ見ていると、この差は見えません。だから「リピーターがどれだけ稼いでいるか」を分けて測ることが、次の一手の材料になります
  • ただし「新規」の数字は水増しされやすいです。cookieが消えると、同じリピーターが新規として数え直されるためです

1. 新規とリピーターでは、売上の中身が違う#

結論から言うと、新規とリピーターでは、同じ「1訪問」でも、生む売上がまるで違います。

リピーターは、すでにお店を知っていて、一度買って満足した人たちです。だから、買ってくれる割合(購入率=CVR)が高く、まとめ買いや単価の高い商品も選ばれやすいので、客単価(AOV)も高めに出ます。AOVとは、Average Order Valueの略で、1回の購入金額の平均のこと。いっぽう新規は、まだお店を知ったばかりで、ようすを見ている段階の訪問が多く、購入率も客単価も低めに出やすい。

数字にすると差は歴然です。たとえば、新規は購入率1.5%・客単価5,000円で、訪問あたりの売上(RPS)は75円。リピーターは購入率4.0%・客単価8,000円で、RPSは320円。リピーターは新規の4倍以上、効率よく売れている計算です。ところが、全体の売上を「平均RPS136円」のように混ぜて見ていると、この4倍の差はまるで見えません。新規とリピーターを分けて初めて、「リピーターがどれだけ稼いでいるか」「新規をどこまで育てる余地があるか」が、数字で見えてきます。

新規とリピーターでは売上の中身が違うことを示した表。新規は購入率CVRが1.5%、客単価AOVが5000円、訪問あたり売上RPSが75円。リピーターは購入率4.0%、客単価8000円、訪問あたり売上RPSが320円。リピーターは新規の4倍以上効率よく売れているが、全体の売上を平均RPS136円のように混ぜて見るとこの差はまるで見えず、新規とリピーターを分けて初めてリピーターがどれだけ稼いでいるかが数字で見えることを示す

2. 「新規」の数字は、水増しされやすい#

結論から言うと、アクセス解析の「新規」は、実際より多めに数えられがちです。だから、新規の数字はそのまま鵜呑みにできません。

なぜ水増しされるのか。多くのアクセス解析は、訪問者のブラウザに小さな目印(cookie)を残し、次に来たときに同じ目印があれば「リピーター」、なければ「新規」と判定します。ところが、この目印は消えやすい。ユーザーが履歴を消したり、目印に期限が来たり、スマホとPCで別の端末から来たりすると、目印は引き継がれません。すると、本当はリピーターなのに、目印が見つからず「新規」として数え直されてしまいます。とくにiPhoneなどのプライバシー保護(ITP)では、目印の寿命が最短で数日に縮められることがあり、リピーターが新規としてカウントされやすくなっています。

この水増しが起きると、何が困るか。新規の訪問数だけがふくらむので、新規の購入率やRPSが実際より低く見えます。そして、本来リピーターが生んだ売上の一部が新規に混ざり込み、リピーターの貢献が過小評価されます。「新規がぜんぜん育たない」「リピーターの数が思ったより少ない」と感じたら、まずこの水増しを疑う価値があります。新規・リピーターを分けて見るときは、この目印のもろさを前提に置いておくことが大切です。

新規の数字は水増しされやすいことを示した図。多くのアクセス解析はブラウザに残す目印cookieで新規かリピーターかを判定するが、ユーザーが履歴を消したり目印に期限が来たりスマホとPCで別端末から来たりすると目印が引き継がれず、本当はリピーターなのに新規として数え直される。とくにiPhoneのプライバシー保護ITPでは目印の寿命が最短数日に縮むためリピーターが新規にカウントされやすい。結果として新規の訪問数だけふくらみ新規の購入率やRPSが実際より低く見え、リピーターの貢献が過小評価されることを示す

3. 同じ条件でそろえて毎月見るのが、手作業だと重い#

結論から言うと、新規とリピーターを分けて見る考え方は簡単です。重いのは、その分け方を正しい条件にそろえて、毎月くり返すことです。

まず、新規・リピーターの定義をそろえる手間があります。前の章のとおり、目印(cookie)だけを基準にすると水増しが混じります。より正確に分けるには、購入時の会員IDや注文の履歴など、自前の基準で「初めて買った人か、また買った人か」を見分ける工夫が要ります。次に、自動プログラム(bot)を除く手間。botは目印を持たない訪問が多く、新規として数えられやすいので、新規をさらに水増しします。さらに、客単価(AOV)まで分けてそろえる手間もあります。新規とリピーターそれぞれのCVR・AOV・RPSをひとそろいにした表は、標準のレポートには用意されていません。

一度だけならできます。でも、施策を打つたびに、毎月この前処理(定義そろえ・bot除外・AOVまで分解)をやり直して見比べ続けるのは、地味に重い。考え方はシンプルでも、続けるのが大変——ここが、新規とリピーターの分析が長続きしない理由です。

同じ条件でそろえて毎月見るのが手作業だと重いことを示した表。第一に新規リピーターの定義をそろえる手間があり、目印cookieだけを基準にすると水増しが混じるため購入時の会員IDや注文履歴など自前の基準が要る。第二にbotを除く手間があり、botは目印を持たない訪問が多く新規として数えられやすく新規をさらに水増しする。第三に新規リピ別に客単価AOVまでそろえる手間があり、新規とリピーターそれぞれのCVR・AOV・RPSをひとそろいにした表は標準レポートにない。一度ならできても毎月くり返すのが重いことを示す

RevenueScopeの解決策

新規とリピーターを分けて売上を見ようとすると、結局ぶつかるのは同じ壁です。目印のもろさをふまえて新規・リピーターをそろえ、自動プログラム(bot)を除く。そのうえで、それぞれの購入率(CVR)・客単価(AOV)・訪問あたりの売上(RPS)を、毎月くり返し1画面で見比べられるか。ここが壁になります。

RevenueScope は、この見比べを肩代わりします。新規とリピーターごとのセッション・売上・購入率(CVR)・客単価(AOV)・訪問あたりの売上(RPS)を、1画面にまとめて表示します。自動プログラム(bot)のアクセスは除いたうえでの数字です(表示はデモデータ)。

客層セッション売上購入率(CVR)客単価(AOV)訪問あたり売上(RPS)
リピーター2,000¥640,0004.0%¥8,000¥320
新規6,000¥450,0001.5%¥5,000¥75

この表の読みどころは、客層による効率の差です。リピーターはセッション(2,000)こそ少ないのに、客単価は8,000円、RPSは320円と、新規を大きく上回ります。新規は訪問数(6,000)は多いものの、客単価5,000円・RPS75円と、まだ伸びしろの段階です。混ぜた平均で見ていたら、この差は埋もれてしまいます。分けて見えると、打てる手がはっきりします。RPSの高いリピーターをもっと呼び戻すのか、母数の大きい新規の客単価を引き上げるのか。新規・リピ別に客単価までそろうと、「どちらにどう手を入れるか」の判断材料になります。

ひとつ、はっきりさせておきます。RevenueScope が示すのは、売上ベースの新規・リピーター別の効率です。一人の顧客が生涯で生む売上の合計(LTV)や、解約率の管理までは行いません。そこは別の道具の領域です。RevenueScope が肩代わりするのは、目印のもろさとbotをふまえて新規・リピーターを同じ条件でそろえ、客単価まで分けて「どちらにどう手を入れるか」を見分ける材料を整えるところ。どこから手をつけるかは、あなたが決めます。

FAQ#

よくある質問#

Q. 新規とリピーターは、どこで線を引くのですか?

A. 一般には「期間内に初めて買った人=新規」「2回目以降の人=リピーター」と分けます。ただし、訪問の目印(cookie)だけで判定すると、本記事のとおり水増しが起きます。より正確に分けたいなら、購入時の会員IDや注文履歴をもとに「過去に買ったことがあるか」で見分けるのがおすすめです。どの基準で分けたかによって数字が変わるので、社内で定義をそろえておくことが大切です。

Q. 新規のAOVが低いのは、悪いことですか?

A. かならずしも悪いとは限りません。新規は「お試し」で一品だけ買う人が多く、AOVが低めに出るのは自然な面があります。大事なのは、新規をリピーターに育てられているか。最初は単品でも、2回目・3回目と買ううちにAOVが上がっていくなら、新規獲得は機能しています。逆に、新規のAOVが低いまま再訪につながっていないなら、商品の見せ方や初回後のフォローを見直す入り口になります。

Q. 「新規」と「リピーター」、まず増やすべきはどちらですか?

A. お店の状況によります。一般に、リピーターは購入率も客単価も高く、すでにいる顧客を呼び戻すほうが、新しい顧客を獲得するより手間も費用も小さく済むことが多いです。ですから、まずはリピーターのRPSを取りこぼしていないかを確認するのが手堅い順序です。そのうえで、母数の大きい新規をどう育てるかを考えると、売上の伸ばしどころが見えてきます。

まとめ#

新規とリピーターでは、購入率(CVR)も客単価(AOV)も、訪問あたりの売上(RPS)も違います。多くの場合、リピーターのほうが効率よく売れていて、その差は混ぜた平均だけ見ていると見えません。だから、新規とリピーターを分けて売上を測ることが、次の一手の材料になります。

ただし、「新規」の数字はそのまま鵜呑みにできません。訪問の目印(cookie)が消えると、同じリピーターが新規として数え直され、新規が水増しされるからです。新規の購入率やRPSが低く見え、リピーターの貢献が過小評価されることがあります。

目印のもろさとbotをふまえて新規・リピーターをそろえ、客単価まで分けて同じ条件で見比べる。それを毎月くり返すのは手作業だと重いぶん、ここを肩代わりできれば、どちらにどう手を入れるかを、勘でなく数字で決められます。

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