「うちのリピーター率は、平均と比べて高いのか低いのか」——そう気になって検索する方は多いはずです。
ですが、平均との比較でわかることは、思ったより少ないのです。リピーター率は業態で桁違いに動きますし、そもそも「率が平均以上か」は安心材料で終わりがちです。本当に効くのは、新規とリピーターを売上で分けて、どちらがどれだけ稼いでいるかを見ること。本記事では、まず平均の目安に即答し、定義の注意点を押さえます。そのうえで、なぜ率より売上で見るべきなのか、その差が客単価でなく購入率から生まれる理由を、順番に整理します。
この記事のまとめ#
- よく言われるリピーター率の目安は3〜4割前後。ただし大規模な購買データの実測では2割前後という報告もあり、実際の調査とは開きがあります
- リピーター率は業態で桁違いに動きます。買い切り型はほとんどリピートが起きず、定期購入型は7割近くが再購入になることもあります
- 平均との比較は入口にすぎません。判断材料になるのは、新規とリピーターを売上で分けた数字です。見本ECの実測では訪問あたりの売上に約20倍の差が出ます
- しかもその差は客単価でなく購入率から生まれます。リピーターは「単価が高いから」でなく「来れば買うから」効率が高いのです
1. リピーター率の平均はどれくらいか#
リピーター率の目安は、EC全般で3〜4割前後とされることが多いです。ただし、この数字はそのまま自分の店に当てはめられません。
まず、よく紹介される数字を見てみます。EC支援会社の解説では、EC全般で30%程度、アパレルで35%、化粧品で50%前後といった業界別の目安が示されています[1]。海外の解説でも、ECの平均は25〜30%あたりで、20%を下回ると改善の余地が大きい、という整理が一般的です[2]。ここまで見ると「3〜4割が普通なら、うちはどうか」と比べたくなります。
ところが、実際の購買データを大規模に集計すると、数字はもっと低く出ます。海外のDTCブランド15万人超を対象にした調査では、365日以内に2回目を買った人は18.8%でした[3]。つまり約8割は、1回きりで終わっていたことになります。よく言われる目安と、実測の数字には、それだけの開きがあるわけです。
これほどズレるのは、リピーター率という言葉が指すものが、条件でまるで変わるからです。分母の取り方(全顧客か、初めて買った人に限るか)でも、集計期間(30日か1年か)でも数字は動きます。そして何より、業態です。一生ものの道具のような買い切り型の商材では、そもそもリピートがほとんど起きず、率は1割にも届きません。一方で消耗品や定期購入型では、7割近くが再購入になることもあります。同じ「リピーター率」でも、桁が違うのです。
だから、業界平均に届いたかどうかは、安心材料にしかなりません。大事なのは「自社の構造では、何が正常か」を知ること。平均は入口にすぎないのです。なお、率そのものを引き上げる打ち手はリピート率を上げる方法で別に整理しています。

2. 率より売上、リピーターは新規の約20倍#
リピーター率の数字を見比べるより、リピーターと新規が「訪問あたりいくら売上を生むか」を見た方が、打ち手に直結します。
ここで使うのが、訪問あたりの売上(RPS)です。RPSは、売上を訪問数で割った数字で、1回の訪問が平均していくら売上を生んだかを表します。見本EC(サンプルデータのフィクションサイト)の直近30日で見ると、このRPSは、リピーターが新規の約20倍でした。率を比べる以前に、1訪問の稼ぐ力がこれだけ違うわけです。
ただし、この倍率はそのまま受け取れません。見本ECではリピーターの訪問は全体の2.0%(1,081件のうち22件)と少なく、母数が小さいと数字は外れ値ひとつで大きく動きます。小規模なECほど、少数の大口の常連が率も売上も押し上げてしまい、平均が簡単に歪みます。ですから倍率そのものは店舗で大きく変わる、という前提でご覧ください。ここで押さえたいのは「約20倍」という値そのものより、率だけ見ていては1訪問の稼ぐ力の差が見えない、という点です。
率と売上効率は、別の話です。リピーター率が平均以上でも、そのリピーターが売上をどれだけ生んでいるかは、率からはわかりません。呼び戻す価値が大きいのか小さいのかは、率でなく売上効率で決まります。ここが見えると、打ち手が変わります。「客単価を上げる」より先に、効率のよいリピーターを取りこぼさず呼び戻す——そちらが先になります。客単価そのものの考え方は客単価の基本で扱っています。

3. 差の正体は、単価でなく購入率#
約20倍の差は、客単価の差ではありません。客単価はほぼ互角で、むしろ新規のほうがわずかに高いくらい。差のほとんどは、購入率から生まれています。
見本ECの数字を分解してみます。1回の購入金額の平均である客単価(AOV)は、リピーターと新規でほぼ同じでした。倍率にすると約0.9倍で、わずかに新規のほうが上でした。一方で、訪問のうち何%が購入に至ったかを表す購入率(CVR)は、リピーターが新規の約23倍。訪問あたりの売上(RPS)の約20倍の差は、この購入率の差でほぼ説明がつきます。単価ではなく、買う確率が段違いなのです。
言い換えると、リピーターは「単価が高いから」効率が高いのではありません。「来れば買うから」効率が高いのです。だとすれば、打ち手は客単価を動かすことではなく、買ってくれる人にもう一度来てもらう仕組みをつくることになります。平均との比較からは、この結論は出てきません。売上を新規とリピーターに分けて、購入率と客単価まで分解して初めて見えてきます。
問題は、この分解を続けるのが重たいことです。新規とリピーターをどう線引きするか定義をそろえ、自動プログラム(bot)を除き、そのうえで新規・リピ別にCVR・AOV・RPSをまとめて出す。この一枚は、GA4の標準レポートには用意されていません[4]。最初の一回はできても、施策を打つたびに同じ条件でそろえ直し、毎月見比べ続けるのは大変です。手順そのものは難しくないのに、反復のコストで続かなくなります。分析が定着しない一番の原因は、ここにあります。なお、新規とリピーターをどう分けるか、そして「新規」の数字が水増しされやすい計測の落とし穴については新規とリピーターで売上を分けるで詳しく扱っています。顧客をさらに細かく分けたいならRFM分析が次の一歩です。

RevenueScopeの解決策
新規とリピーターを売上で切り分けようとすると、最後は決まって同じ壁に行き着きます。定義をそろえ、自動プログラム(bot)を除き、そのうえで訪問あたりの売上(RPS)・購入率(CVR)・客単価(AOV)を一枚の表にまとめ、毎月そろえ直して見比べ続けること。ここが重たくなります。
RevenueScope は、この毎月の反復を自動化します。新規とリピーターに分けて、セッション・売上・購入率(CVR)・客単価(AOV)・訪問あたりの売上(RPS)を、1つの表で表示します。自動プログラム(bot)のアクセスを除いたうえでの数字です。
下の表は一事例(イメージ)です。数値は架空の例で、実際の画面の数値ではありません。
| 区分 | セッション | 売上 | RPS | CVR | AOV |
|---|---|---|---|---|---|
| リピーター | 260 | ¥850,000 | ¥3,270 | 71.0% | ¥4,600 |
| 新規 | 10,400 | ¥1,660,000 | ¥160 | 3.4% | ¥4,750 |
この事例の特徴は、購入率(CVR)の差が、そのまま訪問あたりの売上(RPS)の差になっている点です。客単価(AOV)はほぼ互角で、リピーターの効率の高さは単価でなく購入率から来ています。母数の大きい新規(10,400)にはまだ伸びしろがあり、少数でも効率の高いリピーター(260)は取りこぼしたくない。新規とリピーターに分けて表示されれば、どちらに投資すべきかを、感覚でなく売上効率の数字で選べます。
RevenueScope が特化するのは、新規とリピーターを売上ベースで分けた効率(CVR・AOV・RPS)の分解です。リピーター率というひとつの割合ではなく、リピーターの購入率の高さまで含めた売上効率を、新規と同じ条件でそろえて表示します。だから、次の一手が「呼び戻すか、育てるか」で判断できます。
FAQ#
よくある質問#
Q. リピーター率は、どう計算するのですか?
A. 一般には「対象期間の顧客のうち、2回以上買った人の割合」で計算します。ただし、全顧客を分母にするか、その期間に初めて買った人を分母にするかで数字が変わります。集計する期間(30日か1年か)でも変わります。まずは社内で定義をそろえることが、平均と比べるより先です。
Q. うちのリピーター率は平均より低いです。問題でしょうか?
A. 必ずしも問題とは限りません。リピーター率は業態で桁違いに動くので、業界平均と比べても打ち手は出てきません。買い切り型の商材なら、低くて当然です。大事なのは、自社の構造では何が正常かを知り、リピーターが生む売上を取りこぼしていないかを見ることです。
Q. リピーター率を上げれば、売上は伸びますか?
A. 率を上げること自体より、リピーターが生む売上を逃していないかが先です。率が同じでも、売上効率は店によって違います。まずは効率の高いリピーターを呼び戻せているかを確かめ、そのうえで母数の大きい新規をどう育てるかを考えると、次に伸ばす場所が見えてきます。
まとめ#
リピーター率の目安は、よく言われる3〜4割と、大規模な実測の2割前後とで、それなりに開きがあります。業態でも桁違いに動くので、業界平均に届いたかどうかで分かることは多くありません。平均は入口にすぎないのです。
鍵は、新規とリピーターを売上で分けることです。見本ECの実測では、訪問あたりの売上(RPS)にリピーターと新規で約20倍の差があり、その差は客単価でなく購入率から生まれていました。リピーターは「単価が高いから」でなく「来れば買うから」効率が高い。だから打ち手は、単価をいじることでなく、買ってくれる人にもう一度来てもらうことに向きます。
定義をそろえ、botを除き、新規・リピ別に購入率と客単価まで分解して毎月見比べる。その反復が手作業だと重たい分、一枚で表示できれば、呼び戻すか育てるかの判断を、感覚でなく売上の数字で下せます。
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