RPSの数字が下がったら、業界平均を探す前に、自社の前期と比べます。次にチャネル別へ分け、変化を作った流入だけを新規とリピーターに分けます。この順なら、全体平均の上下だけで広告やSEOを評価せずに済みます。RPSはRevenue Per Sessionの略で、売上をセッション数で割った数字です。計算方法はRPSとは|計算式とGA4での出し方で説明しています。
目次
この記事のまとめ#
- RPSの数字は、同じ定義と期間で自社の前期と比べる
- 全体RPSの変化は、チャネル構成の変化と各チャネル自身の変化に分ける
- 原因の候補を絞ってから、新規とリピーターの客層差を確かめる
- bot除外、期間、売上の帰属方法を固定しないと、月ごとの数字を比べられない
1. RPSの数字は、まず自社の前期と比べる#
RPSの数字を見る最初の基準は、同じ条件で集計した自社の前期です。
売上は「セッション数×RPS」で表せます。例えば、前期が4,000セッション、売上56万円なら、RPSは140円です。今期にInstagram経由の5,000セッションと売上15万円が加わると、全体は9,000セッション、売上71万円になります。セッション数は2倍以上ですが、全体RPSは79円へ下がります。
この数字から分かるのは、増えたセッションに対して売上の増加が小さかったことです。ただし、79円だけを見ても高いか低いかは決められません。業種、価格帯、購入頻度によってRPSの水準は変わるからです。まず、期間の長さと売上の数え方をそろえた前期の140円と比べます。業種別の目安を使う場合も、自社内の変化を確認した後の参考にします。判断基準の詳しい分け方はRPSの業界別目安にまとめています。
RPSの低下だけで、広告を止めるとは決めません。新しい流入が増えた直後は、全体の構成が変わった可能性があります。反対に、以前からあるチャネルのRPSが下がった可能性もあります。次に見る数字は、この2つを分けるためのチャネル別RPSです。

2. 全体RPSの変化をチャネル別に分ける#
全体RPSが動いた理由は、流入の構成と各チャネル自身の変化に分けて確認します。
全体RPSは、Email、Google検索、Instagramなどを混ぜた平均です。チャネル別に分けると、平均が下がる経路を2つに整理できます。1つは、もともとRPSが低いチャネルのセッション比率が増えることです。もう1つは、Google検索やEmailなど、既存チャネル自身のRPSが前期より下がることです。
図の架空例では、Emailが200円、Google検索が120円、Instagramが30円です。今期から加わったInstagramのセッションが5,000件あるため、全体平均は79円まで下がりました。ここで言えるのは、この例ではInstagramが加わったことで流入構成が変わり、全体RPSが下がったということだけです。Instagramは一般にRPSが低い、広告を止めるべきだ、とは判断できません。
施策を決めるには、今期から加わったInstagramと、以前からあるチャネルを分けて扱います。Instagramには前期値がないため、まず流入構成の変化として確認します。Google検索やEmailなど以前からあるチャネルは、それぞれの今期と前期を比べます。これらも同時に下がっているなら、購入画面や商品構成など、流入元以外の変化も候補になります。

3. 必要なチャネルを新規とリピーターに分ける#
チャネルで原因の候補を絞った後に、新規とリピーターの客層差を確かめます。
チャネル別RPSだけでは、同じチャネル内で誰が増えたかまでは分かりません。例えば、今期から加わったInstagramのRPSが30円でも、新規セッションの比率が高いのか、新規とリピーターの両方でRPSが低いのかでは、次に調べる場所が違います。新規の定義や計測上の注意は新規とリピーターの売上を分ける方法で説明しています。
ただし、新規はRPSが低い、リピーターは高いとは決めつけません。商品や施策によって関係は変わります。全チャネルを細かく分けるのではなく、前期差とチャネル差で候補になった流入だけを分けます。これなら、全体→チャネル→客層という順序を保てます。
比較条件も固定します。自動プログラムによるアクセスが混ざると、セッション数だけが増え、RPSが低く見えることがあります。売上をどのチャネルへ付けるかという帰属方法を変えても、チャネル別RPSは変わります。期間の長さ、bot除外、帰属方法、新規・リピーターの定義をそろえて初めて、前期差を施策の判断に使えます。
GA4のトラフィック獲得レポートは、セッションのチャネル、セッション数、合計収益を確認できます[1]。Data APIの標準スキーマにもセッションと合計収益はありますが、RPSという標準指標はありません[2]。1回の計算は難しくなくても、条件を固定して毎月同じ粒度で比べるには、集計の手順を残して繰り返す必要があります。

RevenueScopeの解決策
RevenueScopeでは、同じ期間とアトリビューションモデルのまま、RPSを段階的に確認できます。まず、サイト全体のRPSを当期、前期、日次推移で比べます。次に、チャネル別のセッション、売上、RPSを表示します。原因の候補が見えたら、選んだチャネルを新規またはリピーターに絞って、RPS、注文数、客単価、購入率を確認できます。
チャネル別の数字は、自動プログラムと判定したセッションを人の指標から除いた後の値です。比較するときは、期間と売上の帰属方法も固定します。
| チャネル | セッション | 売上 | CVR | RPS |
|---|---|---|---|---|
| 1,000 | ¥200,000 | 3.0% | ¥200 | |
| Google検索 | 3,000 | ¥360,000 | 1.5% | ¥120 |
| 5,000 | ¥150,000 | 0.4% | ¥30 |
これは架空店舗をlast_touchモデルで集計した一例で、実際のデータではありません。各チャネルは注文10件以上としてCVRを表示しています。
この事例では、Instagramのセッション数が最大ですが、RPSは30円です。前期の全体RPS140円との差を作った候補として、このチャネルを新規とリピーターに分けます。客層の構成が変わったのか、両方のRPSが低いのかを確認してから、広告の訴求や着地ページを調べる順番です。
毎月同じ条件で集計すれば、前回と違う計算方法を比べる事故を減らせます。RPSの式を1回計算するためではなく、全体から原因候補まで同じ条件でたどり直すために使います。
FAQ#
よくある質問#
Q. RPSはいくらなら高いと判断できますか?
A. まず、自社の前期と同じ条件で比べます。RPSの水準は業種や価格帯で変わるため、単一の数字を全社共通の合格点にはできません。自社内の変化を確認し、必要に応じて業種別の目安を参考にします。
Q. RPSと購入率(CVR)は、どちらを先に見ますか?
A. 売上の変化を調べる初手ではRPSを見ます。RPSは客単価とCVRの両方の影響を受けるためです。RPSが動いたチャネルを見つけた後に、客単価とCVRへ分けます。2指標の関係はRPSとCVRの違いで説明しています。
Q. botを除けば正しいRPSになりますか?
A. bot除外は、セッション数だけが増えてRPSが低く見える影響を減らします。ただし、判定は完全ではありません。bot除外だけで数字が正しいと決めず、期間、売上の帰属方法、新規・リピーターの定義もそろえて比べます。
まとめ#
RPSの数字は、全体平均だけで良し悪しを決めません。まず同じ条件の前期と比べ、次にチャネル別へ分けます。全体の変化が、流入構成の変化で起きたのか、各チャネル自身の変化で起きたのかを分けるためです。
チャネルで候補を絞ったら、新規とリピーターに分けます。bot除外、期間、売上の帰属方法を固定し、全体→チャネル→客層の順で繰り返すと、次に調べる施策を数字から選べます。
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