動画広告の視聴回数は増えたのに、サイト来訪や購入は増えていない。このとき、視聴回数だけを見て動画を作り直すと、見直す対象を誤ることがあります。表示から売上までを4段階に分け、Google広告側と自社サイト側で確認先を変える方法を解説します。
目次
この記事のまとめ#
- TrueView視聴回数とサイト来訪は別の指標
- 表示から売上までは4段階に分けて確認する
- 表示・視聴・クリックはGoogle広告、セッション・売上は自社サイト側のデータを使う
- 隣り合う指標の差を、離脱した人数とはみなさない
1.視聴回数はサイト来訪回数ではない#
TrueView視聴回数が増えた事実だけでは、サイトに来た人数は分かりません。
Google広告のTrueView視聴回数は、広告が一定の条件まで見られた回数です。スキップ可能なインストリーム広告では、30秒間の視聴が主な条件です。30秒未満の広告なら、最後までの視聴で集計されます[1]。
ただし、視聴時間だけで決まるわけではありません。視聴者がカスタム外部リンクやカードなどをクリックした場合も、TrueView視聴回数とクリック数の両方に入ります[1]。インフィード動画広告では、サムネイルをクリックして動画再生ページへ移った操作はTrueView視聴回数に入りますが、クリック数には入りません[1]。
つまり、「視聴」と「クリック」の関係は広告形式で変わります。TrueView視聴回数とクリック数は、視聴した人の一部がクリックしたという単純な関係ではありません。

Google広告はTrueView視聴率を、TrueView視聴回数をインプレッション(表示回数)で割った値として示しています[1]。この率は、動画の冒頭と配信対象が合っているかを判断する材料です。一方、サイトへの誘導を目的にするなら、Googleもクリック率を主要な指標にできると説明しています[2]。
視聴率が高くても、クリック率が低ければサイト来訪は増えにくい。反対に、クリック率が上がっても、着地後のセッションが増えるとは限りません。動画広告の効果測定では、隣り合う指標を1段ずつ確認する必要があります。
2.表示から売上までを4段階に分ける#
5つの指標を並べるだけでなく、隣り合う指標の変化を4段階で確認します。
以下の4段階は、TrueView視聴回数が計測される広告形式を同じ条件で比べるための整理です。バンパー広告とスキップ不可インストリーム広告ではTrueView視聴回数が計測されないため、表示からTrueView視聴の段階は使いません[1]。

段階1:表示からTrueView視聴#
Google広告で表示回数とTrueView視聴率を確認します。ここで変化が大きいなら、動画の冒頭、広告形式、配信対象の設定を確認します。Googleは短い動画や複数の広告、冒頭部分、行動を促す言葉の調整を改善案に挙げています[2]。
段階2:TrueView視聴からクリック#
Google広告でクリック数とクリック率を確認します。視聴率が高く、クリック率だけが低いなら、動画は見られていてもサイトへ移る理由が弱い状態です。リンク先で得られる内容と、動画内の案内が合っているかを見ます。
段階3:クリックからセッション#
ここがGoogle広告と自社サイト側の境目です。セッションとは、ユーザーがサイトやアプリを操作する時間のまとまりです。Googleアナリティクスでは、現在のセッションがない状態でページを表示すると始まり、初期設定では30分間操作がないと終了します[3]。
クリック後にページが開く前に戻れば、広告側にクリックがあってもセッションは始まりません。転送の途中でUTMパラメータやgclidが欠けると、訪問は記録されても広告のセッションに分類されない場合があります。クリック後の技術的な確認は、Google広告とGA4で数が合わないときで詳しく扱っています。
段階4:セッションから売上#
自社サイト側で、広告経由のセッション、売上、RPSを確認します。RPSを見ると、1回のセッションが平均でいくらの売上につながったかが分かります。セッションが増えても売上が増えないなら、動画ではなく着地先の商品、価格、購入までの流れを確認します。
この4段階を分けると、動画や着地先を改善すべきか、リンクや計測設定を修正すべきかを判断できます。
3.変化が大きい段階で確認先を変える#
隣り合う指標の差が大きくても、その差を離脱した人数とは断定しないでください。
架空のYouTube広告キャンペーンを例にします。30日間で表示16万回、TrueView視聴3,600回、クリック240回、広告経由として記録されたセッション190件、売上57万円だったとします。

表示からTrueView視聴への割合は2.25%です。ここだけ前月から大きく下がったなら、Google広告で動画の冒頭と配信対象を確認します。TrueView視聴からクリックへの割合は6.7%ですが、これは同じ人の移動率ではありません。広告形式によって、クリック自体がTrueView視聴回数に含まれるためです。
クリック240回とセッション190件の差は50です。この50件を、ページを開く前に離脱した人と決めることもできません。同じ人の複数クリック、ページが開く前の終了、計測タグの未作動、パラメータ欠落が混ざり得ます。クリックはGoogle広告、セッションは自社サイト側と、出所も異なります。
最後は、190セッションが57万円の売上を生んだため、RPSは3,000円です。この段階では売上があるので、クリック数だけでキャンペーンを止める判断は早すぎます。同じ期間の別キャンペーンとRPSを比べ、予算を残す価値があるかを判断します。
見るべきなのは、指標同士の差を人数に換算した値ではありません。前月や別キャンペーンと比べたとき、どの段階の割合が大きく変わったかです。
4.2つの計測元を同じ期間で記録する#
毎回同じ条件で比較するには、Google広告側と自社サイト側を分けて記録します。
おすすめの記録項目は次のとおりです。
| 段階 | 記録する数字 | 出所 | 主な確認対象 |
|---|---|---|---|
| 1 | 表示回数・TrueView視聴回数・視聴率 | Google広告 | 動画の冒頭・広告形式・配信対象 |
| 2 | クリック数・クリック率 | Google広告 | 行動を促す言葉・リンク先との一致 |
| 3 | セッション | 自社サイト側 | ページ表示・転送・UTM・計測タグ |
| 4 | 売上・RPS | 自社サイト側 | 商品・価格・購入までの流れ |
期間、キャンペーン名、広告形式も一緒に残します。広告形式によってTrueView視聴回数の条件が変わり、バンパー広告とスキップ不可インストリーム広告では計測されません。合計値だけを前月と比べても、原因は絞れません。
UTMは、広告からサイトへ移るURLに付ける識別情報です。utm_sourceには媒体、utm_campaignにはキャンペーンを入れます。名前を途中で変えると、自社サイト側では別のキャンペーンとして集計されるので、配信中は表記を固定します。
段階1・2の割合が低いなら、Google広告で動画と配信条件を確認します。段階3でクリック数に対してセッション数が少ないなら、広告クリック後のセッションがゼロになる原因とUTMキャンペーンの設定へ進みます。段階4でセッション数に対して売上が少ないなら、チャネルやutm_campaign別にセッションと売上を確認します。
この記録を1回作るのは難しくありません。負担になるのは、キャンペーンを増やすたびに同じ集計を繰り返すことです。特に自社サイト側では、セッションと売上をキャンペーン別に対応させる工程が毎月残ります。
RevenueScopeの解決策
Google広告では表示、TrueView視聴、クリックを確認し、RevenueScopeではサイトへ着地した後のセッション、売上、RPSを確認します。クリックからセッションの段階は、両方を同じ期間とキャンペーン名で見比べます。
架空のECサイト・30日間の動画キャンペーン(イメージ)
| utm_campaign | セッション | 売上 | RPS |
|---|---|---|---|
| video_product_30s | 420 | 84万円 | 2,000円 |
| video_short_10s | 680 | 61万円 | 897円 |
| video_brand_15s | 190 | 38万円 | 2,000円 |
※ 読み方を示すための一例です。サイト名と数値は架空で、丸めた値を掲載しています。CTAの先は見本ECのサンプルデータ(日々更新)なので、表示される数値は異なります。
セッション数が最も多いのはvideo_short_10sです。しかし、RPSは897円で、ほかの2キャンペーンの半分未満です。視聴率やクリック率だけでは、この差は分かりません。着地後の売上まで見ることで、次の予算をセッション数だけで決めずに済みます。
RevenueScopeが扱うのは、サイトへ着地した後のデータです。動画の表示回数、TrueView視聴回数、再生時間はGoogle広告で確認します。クリックを伴わない視聴を、first_touchで動画広告経由として扱うこともありません。動画の視聴回数とサイト着地後のセッションを混ぜずに、チャネルとutm_campaignごとのセッション、売上、RPSを継続して評価できます。
FAQ#
よくある質問#
Q. TrueView視聴回数が増えれば、サイト来訪も増えますか?
A. 必ずしも増えません。TrueView視聴回数とクリック数は別の指標です。サイト誘導が目的なら、視聴率に加えてクリック率とクリック数を確認します。
Q. 表示回数から売上までの差は、途中で離脱した人数ですか?
A. 異なります。表示、視聴、クリック、セッションは集計条件と出所が異なります。同じ人の複数操作も含まれるので、単純差を人数として扱わないでください。
Q. RevenueScopeでYouTube広告の視聴回数を確認できますか?
A. 視聴回数はGoogle広告で確認します。RevenueScopeでは、サイトへ着地した後のセッション、売上、RPSをチャネル別またはutm_campaign別に確認できます。
Q. クリック数とセッション数が合わないときは、どこから確認しますか?
A. まず期間とキャンペーン名をそろえます。次にリンク先の表示、転送、UTM、計測タグを確認します。詳しい順番はGoogle広告とGA4で数が合わないときにまとめました。
まとめ#
動画広告の効果測定では、表示からTrueView視聴、TrueView視聴からクリック、クリックからセッション、セッションから売上の4段階に分けます。表示からクリックまではGoogle広告、クリックからセッションはGoogle広告と自社サイト側を見比べ、セッションから売上は自社サイト側で確認します。
4段階は、同じ人が順番に減っていくファネルではありません。広告形式によってクリックがTrueView視聴回数にも入り、クリックとセッションでは計測元も変わります。指標同士の差を離脱した人数とみなさず、前月や別キャンペーンと比べて変化が大きい段階を探してください。
視聴率が課題なら、動画と配信対象を確認します。クリック率が課題なら、行動を促す言葉を確認します。セッションが少ないなら着地後のページ表示と計測を、RPSが低いなら商品と購入までの流れを確認します。この順番で確認すれば、視聴回数だけで動画広告を止めず、売上に近い段階から改善点を判断できます。
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