TikTok広告の管理画面に出るROASと、自社サイトで集計した売上が合いません。理由の1つは、成果として計上する接点の範囲が媒体ごとに異なることです。まずTikTokが何を成果に含めているかを確認し、次に期間の設定を合わせても差が残る理由を見ます。
目次
この記事のまとめ#
- TikTok広告には、クリック・6秒以上の視聴・視聴という3つのアトリビューションタイプが存在します
- TikTokのヘルプは、6秒以上視聴された広告の成果をコンバージョン列に含めると明記しています
- Google広告のヘルプは、ビュースルーコンバージョンをレポート専用と定めています
- 期間の設定を両方の画面で合わせても、購入件数の差は残ります
- 配分を決める材料は、媒体の設定で値が変わらない自社サイト側の売上に固定します
1.TikTok広告の成果には、クリックしていない購入が入っている#
TikTok広告には3つのアトリビューションタイプがあり、どれをコンバージョン列に含めるかは広告セットの設定で決まります。
アトリビューションとは、発生した購入をどの広告の成果として計上するかを決める仕組みです。ROASは、広告費に対して何倍の売上が生まれたかを表す比率です。
TikTok広告マネージャーでは、クリック経由(CTA)・エンゲージビュー経由(EVTA)・ビュー経由(VTA)のそれぞれに、成果として計上する期間を設定できます。ただし選べる範囲は、ウィンドウの一覧を示すヘルプと、EVTA専用のヘルプとで記載が分かれています[1][2]。前者はアプリ計測の解説に置かれたページでもあります。数値をどちらかに決めず、ここで押さえるのは期間の値ではなく、どの接点が成果に入るかのほうです。
CTAは、広告をクリックした後に発生した購入を成果とします。VTAは、広告が視聴されたもののその場ではクリックされず、その後の対象期間内に発生したコンバージョンを測定します[3]。
中心にあるのはEVTAです。TikTokのヘルプは、EVTAを次のように定義しています[2]。
広告が6秒以上視聴された場合、または6秒未満の動画の場合には全再生時間視聴した場合に、広告にクレジットを割り当てる
そして同じヘルプは、このEVTAコンバージョンについても明記しています。「キャンペーン作成時に定義されたアトリビューション設定に基づいて、コンバージョン列に含められます」[2]。つまり購入者が広告をクリックしていなくても、6秒の視聴があれば成果として計上される設定が存在します。EVTAを使えるのは、アプリプロモーション・リードジェネレーション・売上の3つの目的です[2]。
自社の広告セットで何が有効になっているかは、設定画面で確認します。TikTok広告マネージャーには、VTA・CTA・EVTAに分割して確認できるカスタム列の機能もあります[2]。3つの区分を分けずに1つのROASとして読むと、6秒の視聴で計上された購入がその中に混ざったままになります。
2.クリックしていない購入の扱いは、媒体ごとに異なる#
同じ「コンバージョン」でも、クリックしていない購入を主要な列に含めるかどうかは媒体ごとに異なります。
Google広告のヘルプは、ビュースルーコンバージョンを「レポート専用」と定めています。「[コンバージョン]列には含まれず、[ビュースルー コンバージョン]列と[すべてのコンバージョン]列にのみ含まれます」[4]。例外はGoogle広告の3種類で、実店舗の目標に基づくP-MAX・アプリ・デマンドジェネレーションの各キャンペーンです[4]。
計測期間についても、Google広告のヘルプは固定の日数を示していません。「推奨されるデフォルトの期間は、トラッキングしているコンバージョンの種類によって異なる場合があります」という記述にとどまります[5]。
Meta広告は、ウェブサイトと店頭のコンバージョンについて標準アトリビューション設定を3つ挙げています[6]。クリックスルーはリンククリックから1日または7日以内です。ビュースルーはインプレッションから1日以内、エンゲージスルーはリンク以外のクリックから1日以内です。動画広告の場合、エンゲージスルーには動画が5秒以上再生されたときも含まれます[6]。

3媒体のROASを1つの表に置いた時点で、割られる側に入っている接点の範囲が合っていません。ディスプレイ広告のビュースルーを外して測り直す方法は、視聴経由の成果を分離する一般的な手順を扱っています。MetaのAdvantage+とビュースルーの差は自動化の度合いが主題で、ビュースルーはその説明材料です。
3.アトリビューション期間を合わせても、ズレは残る#
期間の設定を合わせても差が消えないのは、2つの数値が最初から別の対象を集計しているからです。
どちらを信じるかを選ぶ作業には、答えがありません。管理画面のROASも自社サイトの売上も、それぞれの定義の中では正しく算出されています。決めるべきは正誤ではなく、来月の配分をどちらの数値で判断するかです。
TikTokと自社の計測ツールの両方を7日クリック・1日ビューに合わせたうえで、購入件数が3倍近く異なることがあります。設定を合わせる作業は必要ですが、それだけでは差は残ります。運用者が挙げる原因は、大きく3つに分かれます。
1つ目は、媒体側が取得できなかったコンバージョンを推定で補完していることです。これはTikTokに限った動作ではなく、広告運用者からは他の媒体でも同じ指摘が出ています。2つ目は、自社側の集計がクリック由来の購入だけを対象にし、さらにチャネルをまたいで重複を除いていることです。3つ目は、着地URLに付くクリックID(TikTok広告ではttclidという値)を保存していないと、後から広告と購入を結び直せないことです。
差は片方向にだけ出るわけでもありません。売上が発生しているのに、管理画面のコンバージョンが数日0のままになることもあります。「媒体は多めに計上する」と一律に読むと、止めるべきでない配信を止める判断につながります。
設定は集計だけの話でもありません。TikTokはアプリ計測の解説で、VTAコンバージョンが突然オフになった場合に触れています。システムが新しいシグナルソースに適応するまで2〜3週間、パフォーマンスが大幅に変動する可能性がある、という記述です[3]。設定は成果の集計方法であると同時に、配信最適化の入力でもあります。

代理店レポートと自社データのズレは、同じ機序を代理店の報告を主語にして扱っています。
4.判断に使う売上を、自社サイト側の1本に決める#
2つの数値を一致させるのではなく、媒体の設定で値が変わらない数値を1本決めます。
100%正確なアトリビューションは、いまの計測環境では成立しません。この前提に立つと、作業は「どちらが正しいかの検証」から「どの数値で来月の配分を決めるかの選択」に変わります。
無料でできる打ち手が3つあります。いずれも考え方は簡単で、続けることが重い作業です。
クリックIDの保存です。TikTok広告の着地URLにはttclidが付くので、保存しておけば後から広告と購入を結び直せます。ただし保存の仕組みは自分で作ることになり、壊れていないかを運用し続ける必要があります。
地域を分けたテストです。配信する地域と配信しない地域を作り、売上の差を見ます。結論が出るまでに2〜4週かかります。
MER(広告費全体に対する売上の比率)の比較です。TikTokへの配信を止めた前後で全体の比率を見ます。測るために配信を止める必要があり、止めている間の売上は戻りません。
媒体の数値は媒体自身の申告なので自社側でも集計する、という結論そのものは汎用の話です。広告管理画面のCV数とGA4のCV数が合わない理由で扱いました。TikTokに固有なのは、その差が6秒という具体的な基準から生まれている点です。
判断の単位をキャンペーンまで下ろすと、見え方が変わることもあります。管理画面でコンバージョン件数の多いキャンペーンと、自社サイトの着地売上が多いキャンペーンが入れ替わる場合です。カスタム列で3区分を分けても、それは媒体側の計測の中での分解にとどまります。

地域を分けたテストは2〜4週、配信を止める比較はその期間の売上を戻せません。来月の配分を決める日は、その結論より先に来ます。
RevenueScopeの解決策
RevenueScopeは、自社サイトに着地した購入を集計し、チャネル別・キャンペーン別に売上とRPSを表示します。RPSは1セッションが生んだ売上で、媒体側の成果定義には左右されません。媒体の設定を変更しても、この数値は変わりません。
架空の化粧品ECにおけるTikTok広告のキャンペーン別実績(イメージ)
| キャンペーン | セッション | 売上 | RPS |
|---|---|---|---|
| 春の新作_動画A | 4,200 | 0円 | 0円 |
| 春の新作_動画B | 1,300 | 78万円 | 600円 |
| 定番_リタゲ | 900 | 45万円 | 500円 |
※この表は説明のために組み立てた一例です。デモ画面には見本ECのサンプルデータ(日々更新)が入っているため、数値はこの表と一致しません。
セッションが最も多いのは春の新作_動画Aですが、売上は0円です。集めた訪問の量と、購入まで届いた訪問の量が一致していません。次に予算を寄せる先は、セッションが3分の1以下でも78万円を生んでいる春の新作_動画Bです。管理画面側でこの動画Aに6秒以上の視聴が積み上がっていれば、同じキャンペーンが両方の画面で逆の評価を受けることになります。
チャネル単位であれば、実測ROASも算出できます。広告費を年・月・チャネルのフォームから入力するか、CSVで一括アップロードする方法です。TikTok Adsは入力できる14チャネルに含まれます。またRevenueScopeは着地URLに付くttclidを自動で取得し、UTMパラメータが付いていないTikTok広告の流入もチャネル判定に使います。UTMパラメータ側の設定はTikTokとLinkedInのutm_source公式ガイドで扱っています。
管理画面に表示されるコンバージョン件数やCV値は、TikTok広告マネージャーの側で確認します。RevenueScopeが算出するのは、自社サイトで発生した購入に基づく売上と、その配分です。定義が1つに固定されているので、来月の増額と減額の判断をその日のうちに終えられます。
FAQ#
よくある質問#
Q. TikTok広告のROASが高く出るのは、数値が水増しされているからですか?
A. 水増しではなく、成果に含める接点の範囲が異なるためです。TikTokのヘルプは、6秒以上視聴された広告のコンバージョンをコンバージョン列に含めると明記しています[2]。定義の中では正しく算出されています。
Q. EVTAをオフにすれば、自社の集計と一致しますか?
A. 一致するとは限りません。媒体側の推定による補完、自社側のクリック限定の集計と重複除去、クリックIDの欠落が残るためです。
Q. Google広告やMeta広告でも同じことが起きますか?
A. 扱いは3社で異なります。Google広告のヘルプはビュースルーコンバージョンをレポート専用と定め、[コンバージョン]列には含めないとしています[4]。Metaは標準アトリビューション設定に、インプレッションから1日以内のビュースルーを置いています[6]。
Q. 管理画面のコンバージョンが0のままなのに、実際には売れています。どう扱いますか?
A. ズレは両方向に出ます。自社サイト側の売上を先に確認し、配信を止める判断を管理画面の件数だけで下さないようにします。
まとめ#
TikTok広告のROASと自社サイトの売上が合わない理由の1つは、成果に含める接点の範囲にあります。TikTokは、クリック・6秒以上の視聴・視聴の3つを別のアトリビューションタイプとして区分しています。
同じ「コンバージョン」でも、クリックしていない購入の扱いは媒体ごとに異なります。Google広告はレポート専用と定め、Metaは標準設定にインプレッションから1日以内のビュースルーを置いています。
期間の設定を合わせても差は残ります。だからこそ、配分を決める材料は媒体の外に固定します。自社サイトに着地した購入から算出した売上であれば、媒体側で設定を変更しても値は変わりません。
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参考文献#
- [1] TikTok for Business 「TikTok広告マネージャーのアトリビューションウィンドウについて」 2025
- [2] TikTok for Business 「エンゲージビュースルーアトリビューションについて」 2025
- [3] TikTok for Business 「ビュースルーアトリビューション(VTA)」 2025
- [4] Google広告ヘルプ 「ビュースルー コンバージョンについて」 2026
- [5] Google広告ヘルプ 「ビュースルー コンバージョン計測期間」 2026
- [6] Metaビジネスヘルプセンター 「アトリビューションモデルとアトリビューション設定について」 2026





