Google広告の管理画面ではクリック数が1万、GA4で同じ期間の同じ広告のセッション数は8,500。この差は故障ではなく、2つが別の対象を集計しているために生まれます。どこでクリックが訪問として記録されないのか、差の大きさが経路ごとに異なるのはなぜかを整理します。
目次
この記事のまとめ#
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広告のクリック数とGA4のセッション数は、集計対象が異なる
広告は無効クリックを除いた請求対象のクリック、GA4は30分単位の訪問のまとまり
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クリックが訪問として記録されない場所は、着地の直前に集中する
読み込み前の離脱、リダイレクト、自動タグ設定のオフで大半が説明できます
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記録されない割合はチャネルごとに異なる
全体で1つの数字を出しても、次に手を入れる経路は決まりません
1.クリック数とセッション数は、集計している対象が異なる#
2つの数字は、同じ出来事を別の単位で集計しています。
Google広告のクリック数は、広告がクリックされた回数から無効と判定された分を除いた請求対象のクリック数です。GA4のセッションは、サイトで発生した一連の操作のまとまり。30分間操作がないと終了し、次の操作から新しいセッションになります[1]。
単位が異なると、正常でも数は一致しません。同じ人が30分のあいだに同じ広告を2回クリックして戻ってくると、広告のクリック数は2、GA4のセッション数は1です。セッションという単位そのものの定義はGA4のイベント数とセッション数の違いにまとめました。

この差を見つけたときの選択肢は、だいたい2つです。設定を直して数を近づけにいくか、誤差として放置するか。前者は工数がかかり、後者は判断を先送りします。どちらを選んでも、払った広告費が売上になったかは分からないままです。立て直したいのは、そこの問いです。
2.記録されないのは、ほとんどが着地の直前#
差が生まれる場所は、広告がクリックされてからページの計測タグが読み込まれるまでの数秒間に集中しています。
主な経路は4つあります。
いちばん多いのは、読み込みが終わる前の離脱です。クリックのあと、ページが表示される前に戻ると、計測タグが動く前なのでセッションが記録されません。読み込みまでの時間がこの2つに与える影響は、公式の資料が単独で扱っています[2]。
広告のリンク先が別のURLへ転送される構成も、同じ結果になります。途中でgclidが落ちることがあるからです。gclidは、広告のクリックごとに付くIDを指します[3]。
自動タグ設定がオフのときは、様子が少し違います。自動タグ設定は、広告のリンク先URLにgclidを付ける機能です[4]。オフだと広告経由と判定されないので、セッションは記録されているのに広告の集計からだけ外れます。
残る1つが母集団の切り分けです。広告は無効と判定したクリックを最初から外し、GA4は自分の基準でbotを判定するので、同じアクセスが片方だけに残ることもあります。課金を守る除外と分析を守る除外の違いは無効クリック対策とbot除外の違いで整理しました。
向きが常に同じわけでもありません。公式は、自動タグ設定がオンの場合にセッション数がクリック数を上回ることがある、とも書いています[5]。gclidの付いたURLをブックマークして再訪すると、クリックを伴わないセッションが広告に分類されるためです。
自分で手を入れられるのは、自動タグ設定とリダイレクトの2つです。設定の状態を確認し、リンク先が余計な転送を挟んでいないかを見る。費用も専門知識も要りません。重いのはその先で、キャンペーンを追加したときもLPを差し替えたときも、同じ確認をやり直します。直ったかどうかも、チャネルごとにクリック数とセッション数を毎月比べないと判定できません。

直した週に増えるのは、記録されるセッションだけです。クリック数も売上も変わりません。増えたのは売上ではなく、判断に使えるデータです。
3.記録されない割合は、チャネルごとに異なる#
クリック数に対して記録されたセッションの割合を実質流入率と呼ぶことにします。この値は、サイト全体で1つの数字にはなりません。
リンク先の作りも、タグを入れた時期も、ページが表示されるまでの時間も、広告媒体ごとに異なるからです。全体の実質流入率を1つ計算しても、次にどの経路へ手を入れるかは決まりません。

見るべき軸は2つです。実質流入率と、その経路が記録できている分で生んでいる売上効率。どちらも低い経路は、直しても得られるものが小さい。逆に実質流入率が低くて売上効率が高い経路は、記録されていない訪問の先に売上があった見込みが大きく、優先度が上がります。この2軸は独立していて、片方から他方は読めません。
ある月だけ量の指標が急に増えたなら、P-MAXでクリックが急増したときのように集計範囲の変更が原因の一過性という線もあります。ここで扱うのは、毎月続く恒常的な差です。
この2軸をチャネル別に見るには、突き合わせが要ります。広告の管理画面から媒体ごとのクリック数を書き出し、GA4の参照元/メディア別のセッションと対応づける作業です。ところが手が止まるのは突き合わせ本体ではなく、その前の下ごしらえでした。媒体名と参照元/メディアの表記が一致しないので対応表を作り直し、期間の切り方も変換する。広告はクリックが発生した日、GA4はセッションが始まった日で集計するためです。ここまでで割り算が1回でき、翌月にはまた同じ工程が待っています。
RevenueScopeの解決策
RevenueScope は、この毎月の突き合わせを自動化します。媒体が申告したクリック数と、RevenueScope が計測したセッション・売上を、同じチャネル一覧に表示します。ただし、ここでも同じ表記の問題は残ります。広告側で utm_source を付けている場合、Meta広告で instagram を指定しているようなときは、媒体の申告値と計測セッションが別の行に分かれることがあります。前の節で書いた「媒体名と参照元/メディアの表記が一致しない」という壁は、自動化しても消えるわけではありません。
出所は2系統です。クリック数は広告媒体の申告値をそのまま通した値で、RevenueScope の計測ではありません。セッションと売上が RevenueScope の自前計測です。実質流入率は、計測されたセッション数を申告されたクリック数で割った値の、この記事での呼び方です。
架空店舗ブルーミの広告チャネルを RevenueScope にたずねると(イメージ)
| 広告チャネル | クリック(申告) | セッション | 実質流入率 | RPS |
|---|---|---|---|---|
| Google広告 | 10,000 | 8,500 | 85% | 220円 |
| Meta広告 | 6,000 | 4,200 | 70% | 180円 |
| Yahoo!広告 | 3,000 | 900 | 30% | 40円 |
| LINE広告 | 500 | 450 | 90% | 20円 |
※上の表は説明のために作った一例です。実質流入率は画面にある列ではなく、クリックとセッションから本記事で計算したものです。Meta広告のように広告側で utm_source を指定している場合、申告値とセッションが別の行に分かれて、この形に並ばないことがあります。CTAから開く見本ECはサンプルデータ(日々更新)で動いているため、同じ切り口でも数値は違います。
RPSはセッションあたりの売上です。最初に目が行くのはYahoo!広告の30%で、3,000クリックのうち2,100が記録されていません。ただし記録できた900セッションのRPSは40円で、4つのうち最も低い。記録されていない量が多くても、その先に売上があった見込みは小さいままです。一方Meta広告は70%で、6,000クリックのうち1,800が記録されていません。RPSは180円。先に手を入れるのはMeta広告です。
実質流入率だけを見れば、いちばん健全なのはLINE広告の90%です。ただしセッションは450で、ほかの3つと桁が違います。母数の小さい経路は割合が振れやすく、90%は健全さの証明になりません。LINE広告は判断から外します。差が小さいことと、その経路が健全であることは別です。
FAQ#
よくある質問#
Q. 実質流入率が最も低いチャネルから直せばよいですか?
A. 割合だけでは決まりません。記録できているセッションのRPSと併せて判断します。実質流入率もRPSも低い経路は、記録が戻っても配分の判断が変わりにくいからです。
Q. GA4のセッション数とGoogle Search Consoleのクリック数が合わないのも、同じ原因ですか?
A. 別の話です。あちらは検索結果に表示されてからのクリックで、検索数の少ないキーワードの匿名化が主な原因になります。仕組みはサーチコンソールのクリック数が合わないときにあります。
Q. コンバージョン数のずれも、同じ経路で説明できますか?
A. こちらも別です。件数のずれには帰属の定義や重複の扱いが絡みます。要因の整理は広告とGA4のCV数が合わないときにまとめました。
まとめ#
Google広告のクリック数とGA4のセッション数が合わないのは、2つが集計している対象が異なるためです。差が生まれる場所はクリックから計測タグが読み込まれるまでの数秒間に集中し、自動タグ設定がオフなら広告の分類そのものから外れます。
ここまではどの広告チャネルにも共通します。共通しないのは差の大きさで、実質流入率は経路ごとにばらつきます。見るのはチャネル別の実質流入率と、記録できている分の売上効率の2つ。手を入れる順番は、記録されていない量ではなく、その先に売上があった見込みの大きさで決まります。
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