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広告は100クリック、セッションはゼロ|どこで消えたか?

広告の管理画面には100を超えるクリックがついているのに、自社側のチャネル別の集計ではセッションがほぼゼロ。売上も立っていません。ここで配信を止める前に確かめることがあります。クリックと人間のセッションの間で起こりうることは3系統に分かれ、着地の前に落ちたのか、人間として集計されなかったのか、広告のチャネルに分類されなかったのかで、次の一手は逆を向きます。見分けの手がかりになるのは、セッションと同じ画面に表示されるbot判定の除外件数です。自社サイトの直近30日の実測も添えて、止めるか残すかの決め方まで書きました。

広告は100クリック、セッションはゼロ|どこで消えたか?

広告の管理画面ではクリックが3桁ついているのに、自社側のチャネル別の集計を開くとセッションがほぼゼロ。売上も立っていません。この記事では、そのゼロを3種類に分けたうえで、そのチャネルを止めるか残すかの決め方まで書きます。

この記事のまとめ#

  • 「クリックはあるのに何も起きていない」には、打ち手がまったく異なる状態が混ざっている
  • 消える先は3系統に分かれる。着地の前に落ちた/人間として集計されなかった/広告のチャネルに分類されなかった
  • 系統ごとに次の一手は逆を向く。設定を正すのか、配信を絞るのか、計測を整えるのか
  • 見分けの手がかりは、セッションと同じ画面に表示されるbot判定の除外件数
  • 除外の量はチャネルによって大きく異なり、自社サイトの直近30日では20倍を超える開きがあった

1. 管理画面は100クリック、自社側は0セッション#

「クリックはあるのに何も起きていない」という1つの見え方の裏に、打ち手がまったく異なる状態が同居しています。

よくある形はこうです。新しく配信を始めた広告に、媒体の管理画面では100を超えるクリックがついている。ところが自社側のチャネル別の集計では、その媒体からのセッションが0か1桁のまま。売上も0円です。数日待っても数は変わりません。

ここで見落としやすいのは、媒体が集計しているのが「リンククリック」だという点です。Metaはこれを、広告上のリンクがクリックされた回数と説明しています[1]。ページが読み込まれた回数は「ランディングページビュー」という別の指標です。2つが一致しない理由の1つとして、リンククリックの後にウェブページが完全に読み込まれていないことが挙げられています[1]。

クリックとセッションが数%から数十%ずれること自体は、常時起きています。その一般的な仕組みはGoogle広告とGA4で数が合わないにまとめました。この記事が扱うのは、そのずれがほぼ全部まで開いた極端な状態のほうです。媒体側の成果が大きく見える別の仕組みはMetaのAdvantage+|成果が大きく見える仕組みで扱っています。

この状態で最初に手が伸びるのは、配信の停止です。ただ、同じ見え方の裏には、確かめる先の異なる3つの原因が同居しています。配信を絞れば収まるものもあれば、絞っても数がまったく変わらないものもあります。止めるかどうかを決めるのは、そのあとです。

(イメージ。広告4チャネルについて、媒体が申告したクリックと自社側で記録されたセッションを2系列の横バーで比べた図。Metaだけ自社側の記録がゼロで、他の3チャネルは両方の数が同じ向きに立っている)

2. どこで消えるかは3つに分かれる#

結論を先に書きます。クリックと人間のセッションの間で起こりうることは3系統で、確かめる先がそれぞれ異なります。

まず、着地の前に落ちた場合です。読み込みが終わる前に離脱した、計測タグが発火しなかった、リンク先が想定と異なるURLだった、といった状態がここに入ります。Metaが挙げている「ウェブページが完全に読み込まれていない」も同じ系統です[1]。この系統では訪問そのものが生成されないので、自社側には人間としてもbotとしても記録が残りません。

次に、着地したものの、人間として集計されなかった場合です。自動巡回のプログラムが広告のリンクを開くと、着地は起きますが、振る舞いからbotと判定されて人間の指標から外れます。Thalesの調査は、世界のウェブトラフィックのうちbotが過半数を占めるようになったと報告しています[2]。GA4にも、既知のbotとスパイダーを自動的に除外する仕組みがあります[3]。botとは何か、どう見分けるかはbotトラフィックとはに譲ります。なお、媒体側にも無効なクリックを課金の対象から外す仕組みがありますが[4]、これは請求を守るためのもので、分析の判断材料を作るためのものではありません。両者の境界は無効クリック対策とbot除外の違いで整理しました。

最後に、着地したものの、広告のチャネルに分類されなかった場合です。チャネルの分類は、計測側が受け取ったUTMパラメータ・クリックID・リファラーだけを見ます。この3つが1つも渡らなかったクリックは、広告のチャネルではなくDirectかReferralとして記録されます。サイト全体には届いているのに、広告のチャネルの側からだけ消えて見える状態です。

(イメージ。「クリックはあるのにセッションが極端に少ない」を起点に、着地したかどうかとチャネルに分類されたかどうかを確かめて、着地の前・人間として集計されず・チャネルに分類されずの3つの終端へ分岐する図。終端ごとに次の一手が添えられている)

3. 切るか残すかは、ゼロの種類で変わる#

結論を先に書きます。ゼロは1種類ではなく、種類ごとに次の一手が逆を向きます。

着地の前に落ちているなら、手を入れるのはリンク先・計測タグ・パラメータの設定です。配信は止めません。止めてしまうと、設定を正せば戻ったはずの流入まで一緒に失います。

人間として集計されていないなら、手を入れるのは配信面・ターゲティング・入札の対象です。着地そのものは起きているので、リンク先を作り替えても数は変わりません。

広告のチャネルに分類されていないだけなら、整えるのは計測のほうです。ここでチャネルを止めると、実際には届いている流入を自分の判断で切ることになります。3系統のうち、読み違えたときの損失が最も大きいのはこの型です。

その場で1回だけ確かめるなら、手がかりは2つあります。媒体側では、リンククリックとランディングページビューを同じ期間で見比べます。前者だけが立っていれば、着地の前に落ちている可能性が上がります[1]。カート側の集計にも流入元のレポートがあります。期間を絞れば、その媒体からの訪問が届いているかどうかを1回確認できます。

ただし、この確認が答えるのは、その媒体・その1回のキャンペーンについてだけです。チャネルを横断して毎月同じ判断を続けるなら、除外された量が判断に使う画面に表示されている必要があります。

止めるか残すかを決めたあとの配分は、広告予算を削るならどこからへ続きます。

4. 除外された量は、チャネルによって大きく異なる#

結論を先に書きます。同じサイトの中でも、人間と判定された訪問1件あたりの除外の量は、チャネルによって大きく異なります。

私が運用しているrevenuescope.jpのチャネル別の内訳を、直近30日(2026年7月20日〜8月19日)で算出しました。分母は、bot判定の除外後に残った人間のセッションです。分子は、同じチャネルで除外された件数です。売上の帰属モデルを切り替えても、セッションと除外の件数はどちらも変わりません。

人間と判定された訪問1件に対して、除外された件数はGoogle検索が0.1件、Bingが0.2件でした。一方でDirectは2.4件あり、Google検索との開きは20倍を超えます。参照元が渡らない流入には、検索経由より桁の多い除外が乗っているということです。これより高い倍率が出ているチャネルもありますが、人間と判定された訪問がごく少ないチャネルなので、月をまたぐと大きく振れます。倍率で並べるときは、訪問の多いチャネルから読んでください。

(自社サイトの実測。人間と判定された訪問1件あたりの除外件数をチャネル別に比べた横バーグラフ。Directが2.4件で、Google検索とBingは1件を大きく下回る)

除外された分は、量としてどこにも出てきません。媒体の管理画面が示すのはクリックまでで、自社側の集計が示すのは人間と判定された訪問だけです。どちらの画面にも「来たが人間として集計されなかった量」がありません。だから残る読み方は、「このチャネルからは来ていない」の1つになります。判断を変えるのは、その量が同じ画面に表示されていることです。

RevenueScopeの解決策

RevenueScope は、bot判定で除外した件数を残したまま集計します。チャネル別に、除外後のセッション・売上・RPS(1セッションあたりの売上)と、除外した件数を同じ画面に表示します。広告費を年・月・チャネル単位のフォームで入力するか、CSVでまとめて取り込むと、そのチャネルのROAS(自社計測の売上÷広告費)が売上の隣に並びます。

架空のEC店舗ノクトの広告まわりを RevenueScope にたずねると(イメージ)

媒体が申告した数

広告媒体表示回数クリック広告費
Meta24,0001038万円
Google Ads31,00024012万円

自社側で計測した数

チャネルセッションbot除外売上RPS
Meta096
Google Ads2101242万円2,000円
Referral400円0円

※上の2つの表は説明のための一例です。デモ画面が読み込むのは見本ECのサンプルデータ(日々更新)なので、件数も金額も日によって変わります。

この例で読み方が割れるのは、売上が立っていない2つのチャネルです。Metaはセッションが0で、bot判定による除外が96。着地そのものは起きていて、人間の訪問だけがありませんでした。Referralはセッションが4で除外が0。訪問は届いていますが、量がありません。同じ「売上が立っていない」でも、片方は配信の対象を絞る話、もう片方は量を増やす話になり、次の一手は逆を向きます。

この2つを同じ「成果なし」として一括で止めていたら、Metaは配信の設定を見直す機会を、Referralは伸ばす機会を、同時に手放していたことになります。

FAQ#

よくある質問#

Q. クリック数から人間のセッション数を引けば、除外された件数が出ますか?

A. 出ません。差は3つの経路に散ります。着地の前に落ちた分は訪問そのものが生成されないので、人間の記録にも除外の記録にも残りません。加えて、クリックは媒体の定義、セッションは自社側の計測の定義で、そもそも単位が異なります。

Q. 除外の件数が0で、セッションも極端に少ないときは、どう読めばよいですか?

A. 着地の痕跡が乏しい状態なので、まずリンク先・計測タグ・パラメータの設定を確認します。配信の設定に手を入れるのは、着地が起きていると分かってからです。

Q. 広告のチャネルに分類されなかった流入は、どこに記録されますか?

A. DirectかReferralとして記録されます。分類が見るのはUTMパラメータ・クリックID・リファラーの3つだけなので、どれも渡らなければ広告のチャネルには入りません。広告の側からは消えて見えても、サイト全体では届いています。

まとめ#

広告の管理画面に100クリック、自社側に0セッション。この状態は1種類ではありません。着地の前に落ちたのか、着地したうえで人間として集計されなかったのか、着地したうえで広告のチャネルに分類されなかったのかで、手を入れる先が別々になります。

3系統は、次の一手が逆を向きます。設定を正すべきときに配信を止めれば、戻ったはずの流入を失います。計測を整えるべきときにチャネルを止めれば、実際に届いている流入を切ります。見分けの手がかりは、セッションと同じ画面に表示される除外の件数です。今月の配分を決める前に、ゼロのチャネルを1本、その件数まで含めて確かめてみてください。

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