GA4に、キャンペーン計測についての新しい診断が登場しました[1]。警告そのものは、リンクを直せば消えます。ただ、消す前に確かめることが1つあります。そのURLに着地している流入が、今いくらの売上に関わっているか。直す順番は、そこで決まります。
この記事のまとめ#
- 2026年7月30日、GBRAIDとgad_がURLから欠けているプロパティに新しい診断が登場した
- 公式の説明にあるのは問題のあるURLと解決方法までで、そのURLに関わる売上の大きさへの言及はない
- 公式のヘルプは、サイトにリダイレクトが含まれている場合、リダイレクトにパラメータを使用していることが重要だと明記している
- 直す順番は、診断のリストの上からではなく、そのキャンペーンの売上の大きさで決める
- チャネル1行のRPSは中のキャンペーンの加重平均で、その数字に一致する配信が中に1本も無いこともある
1. GA4に新しく登場した診断警告の中身#
2026年7月30日、GA4に新しい診断が追加されました[1]。対象は、GBRAIDとgad_という集計IDがURLから欠けているプロパティです。診断が返すのは2つで、問題のあるURLと、解決方法[1]。キャンペーンのデータの精度に関わるものだと説明されています[1]。
集計ID(GBRAIDやgad_で始まるURLパラメータ)は、標準のGCLIDまたはDCLIDを使ってGA4がGoogleの広告プラットフォームからキャンペーン情報を自動的に取得できない場合に、レポートの精度を維持するためのURLパラメータです[2]。GBRAIDのほうは、キャンペーンのデータを個別のユーザーやイベントにリンクせず、一意ではない方法で測定するプライバシーに配慮した識別子だと説明されています[2]。
gad_*には役割の違うものが含まれます。1つ目のgad_sourceは、広告トラフィックのソース(Google検索、ディスプレイネットワークなど)を識別します。2つ目のgad_campaignidは、クリックにつながった具体的なキャンペーンを識別します[2]。どちらもGoogle広告側のURLパラメータです[3][4]。

公式のヘルプには、アトリビューションと測定の精度を最大限に高めるには、ランディングページURLから集計IDを削除したりブロックしたりしないでください、と書かれています[2]。運用側から見ると、付けるものというより落とさないもの、という位置づけです。
パラメータが付く位置と、落ちる箇所についても記載があります。&gad_*は最終ページURLの末尾に追加され、フラグメント識別子(「#」に続く文字列)がある場合はその前に入ります[2]。そして、ウェブサイトにリダイレクトが含まれている場合は、リダイレクトにURLパラメータ&gad_*を使用していることが重要だと明記されています。Google広告タグとGoogleアナリティクスタグが、タグの読み込まれるページの最上位パラメータとして&gad_*を想定して動作するためです[2]。
リダイレクトを挟む構成は珍しくありません。短縮URL、計測用の中継ページ、旧ドメインからの転送。どれも運用の都合で入っているもので、パラメータを引き継ぐ設定になっているかどうかは、入れた時期の担当者によって違います。UTMも同じ場所で落ちます。付け方そのものはUTMパラメータの正しい使い方にまとめました。
2. 直す前に、順番を1つ入れ替える#
直す作業の中身は、たいてい合っています。リダイレクトの設定を見て、パラメータが引き継がれるようにする。ずれているのは順番のほうです。診断が出したリストの上から手を付けると、売上の小さいキャンペーンの着地URLを先に直して、大きいほうが後回しになります。
先に埋めるものが2つあります。そのURLに着地している流入がどのキャンペーンのものかという対応と、そのキャンペーンの直近30日の売上です。この2つが揃ってから、リストを金額の順に組み替えます。

公式の説明にあるのは、問題のあるURLと解決方法までです[1]。そのURLがいくらの売上に関わっているかへの言及はありません。売上そのものはGA4の別のレポートで確認できます。ただし、診断が名指ししたURLと、レポート側のキャンペーン名を突き合わせる作業は手作業になります。片方はURLの一覧、もう片方はキャンペーン単位の集計です。粒度の違うものを手で合わせる形になるので、URLが数十本あると、この前作業のほうが修正本体より長く時間がかかります。
金額さえ出れば、分岐は単純です。売上の大きいキャンペーンの着地URLは当日中に直す。小さいものは、次に配信設定を触るときにまとめて直す。全部直すことは変わらないので、対象を減らすわけではなく、順番の話です。キャンペーン単位で売上を確認する考え方はキャンペーン別の売上効率で扱っています。
3. 売上への影響は、チャネルの平均では分からない#
架空店舗Wの広告キャンペーンは4本です。直近30日の売上は、上が210万円、下が12万円。17倍以上の開きがあります。

この4本は、チャネル別の一覧では「Google広告」という1つの数字に集約されます。合計355万円、という形です。丸めた数字は、来月どのチャネルに広告費を寄せるかを考えるときには役に立ちます。修正の順番を決めるときには足りません。210万円の着地URLと12万円の着地URLが、同じ緊急度に見えてしまうからです。
丸めた後の数字では、直した効果の確認も難しくなります。下位2本(新色ファンデ告知と送料無料キャンペーン)の計測を先に直したとして、合わせて57万円。チャネル合計355万円の一部なので、翌月にGoogle広告の1行を確認しても、直した分が入ったのか、単に配信が伸びたのかを分けられません。作業の当否を確かめる箇所は、丸める前の4本のほうにあります。
もう1つ、この4本のどこにも出てこない流入があります。パラメータが引き継がれずに着地した分です。キャンペーン名が付かなかった流入も、一覧から消えるわけではありません。(not set)やDirectの行に混ざって、金額としては表示されます。表示されないのは帰属のほうで、その金額が4本のどれの分だったのかは、その行からは分かりません。欠けたという表示が出るわけでもありません。4本のどれかが少なく計上されるだけなので、月末に合計を確認しても、減ったのか元からその規模なのかを判別できません。抜けを確かめるには、キャンペーン名の付かない流入を1行として表示し、それがどのチャネルの下に付いているかまで見える一覧が必要です。分類から外れた流入がどこへ入るかは、GA4のDirect/(none)が増える原因でも同じ形をしています。
RevenueScopeの解決策
修正の順番を金額で決めるには、キャンペーン単位の売上が必要です。この部分を RevenueScope が解決します。チャネル別にセッション・売上・RPS(セッションあたり売上)を表示し、行を開くと、そのチャネルの中のキャンペーン別に売上・RPS・AOV(注文単価)・CVR(購入率)を表示します。キャンペーン名の付いていない流入は(none)の行として表示します。
集計IDが欠けていること自体を判定するのは診断の役目で、直す先もリンクとリダイレクトの設定です。RevenueScope が提供するのは金額のほう、つまりUTMの付いた流入についてのキャンペーン別の実売上です。
「先月、広告経由のキャンペーンはどれがいくら売れた?」とMCP経由でChatGPTなどのAIアシスタントに尋ねると、Google広告の中身が次の形で返ってきます。説明のために架空店舗Rで書き出します。
| キャンペーン | 売上 | RPS | AOV | CVR |
|---|---|---|---|---|
| 指名キーワード | 64万円 | 320円 | 8,000円 | 4.0% |
| 汎用キーワード | 36万円 | 45円 | 9,000円 | 0.5% |
(none) | 100万円 | 100円 | 10,000円 | 1.0% |
※ 確かめてほしいのは金額の一致ではなく、チャネルの行を開いた先に何が出るかという形のほうです。上の表はこの記事の説明用に置いた架空店舗Rの数値で、デモ画面が読んでいる見本ECのサンプルデータ(日々更新)とは一致しません。
この店のチャネル別の一覧では、Google広告は1行で、RPSは100円と表示されています。その100円で回っている配信を上の3行から探すと、見つかりません。指名キーワードは320円、汎用キーワードは45円。100円に一致するのはキャンペーン名の付いていない(none)だけです。100円は3行の売上合計をセッション合計で割った値で、手を入れる対象としては実在しません。修正の順番を決めるときに読む単位は、チャネルの1行ではなく、この3行のほうです。
(none)は、utm_campaignが付かないまま着地した流入の集約行です。utm_sourceとutm_mediumが残っていれば、チャネルはGoogle広告と判定されるので、キャンペーン名だけが欠けた分はこのチャネルの中の(none)へ集約されます。一方、リダイレクトでパラメータが丸ごと落ちる構成では、チャネルを判定する材料まで同時に失われます。この場合の行き先は2つに割れます。参照元も一緒に落ちればDirectへ、参照元がgoogle.comとして残れば自然検索へ回ります。後者では広告の売上が検索の売上に混ざるので、Google広告のキャンペーンの一覧をいくら開いても該当分は出てきません(GA4のDirect/(none)が増える原因)。売上100万円はこのチャネルの半分にあたるので、今日直す着地URLは、まず(none)に分類されている配信のものです。
FAQ#
よくある質問#
Q. この診断が出たら、広告の配信を止めたほうがいいですか?
A. 止める必要はありません。診断が指しているのは着地URLに付くパラメータの話で、配信そのものの良し悪しではありません。ただし、パラメータが欠けていた期間のキャンペーン別の実績だけを根拠に配分を決めるのは避けてください。取れていない分がどこにも表示されないまま、判断材料になってしまいます。
Q. GBRAIDやgad_は、自分で付けるパラメータですか?
A. どちらもGoogle広告側のURLパラメータです[3][4]。公式のヘルプは、アトリビューションと測定の精度を最大限に高めるには、ランディングページURLから集計IDを削除したりブロックしたりしないでください、と明記しています[2]。運用側は、付ける作業は不要で、落とさない設定を維持することが仕事になります。
Q. 診断に出たURLは、全部直す必要がありますか?
A. 対象としては全部です。ただし同じ日に全部を直す必要はありません。売上の大きいキャンペーンの着地URLから手を付けて、残りは次に配信設定を触るときにまとめてください。順番を金額で決めるだけで、初日に守れる売上の量が変わります。
Q. 原因はリダイレクトだと決めてしまっていいですか?
A. 公式は原因の頻度順を書いていないので、リダイレクトが主因だと断定はできません。ただし、ウェブサイトにリダイレクトが含まれている場合はリダイレクトにURLパラメータ&gad_*を使用していることが重要だと明記されていて、タグは最上位パラメータとして&gad_*を想定して動作するとも書かれています[2]。リダイレクトを挟む構成なら、最初に確認する箇所になります。
まとめ#
2026年7月30日、GBRAIDとgad_がURLから欠けているプロパティに、新しい診断が登場しました[1]。ただし、この診断は緊急度の情報を持ちません。どのURLで欠けているかは分かっても、そのURLを後回しにしたときに何円ぶんの計測が崩れたままなのかは、別のレポートで調べることになります。
直す作業の中身は変わりません。変えるのは順番です。先にキャンペーン別の売上を出し、金額の大きい着地URLから直す。小さいものは、次に配信設定を触るときでかまいません。チャネル1行のRPSは中のキャンペーンの加重平均なので、その数字のまま緊急度を決めると、210万円と12万円が同じ扱いになります。
今日やることは1つです。診断に出たURLの一覧を、キャンペーン別の売上の横に置いてください。上から3行分の着地URLが、今日直す分です。
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