Yahoo!広告に費用をかけて売れているのに、GA4を開くと広告の売上が立たず、自然検索の売上だけが伸びている。GA4のレポートでは「オーガニック検索」と表示されます。これは故障ではなく、GA4がチャネルを決めるときに読む材料が2つしかないことから生まれます。
目次
この記事のまとめ#
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GA4のチャネル判定に、yclidは材料として入っていない
参照元プラットフォームによる自動判定は、Googleの5系統だけに用意されています
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有料検索は2つの条件のAND、オーガニック検索は2つの条件のOR
この非対称のせいで、utmの付いていない広告流入はオーガニック検索側へ落ちます
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混ざると、広告とSEOの成績が同時に反対へずれる
広告は実力より低く、オーガニック検索は実力より高く見えます
1. yclidは、GA4のチャネル判定に一度も出てこない#
参照元がYahooとして渡っている場合、Yahoo!広告の売上がオーガニック検索の側に積まれるのは、不具合ではなく仕様です。
仕様だと言い切れるのは、GA4が何を読んでチャネルを決めているかが公開されているからです。読む材料はutmと参照元の2つで、Yahoo!広告のクリックに付くyclidはそこに入っていません。設定を疑って管理画面を往復しても、修正できる対象は見つかりません。
まず、自動タグ設定がリンク先URLに何をしているかを確認します。広告アカウントの自動タグ設定を「設定する」にすると、広告がクリックされた際、最初に遷移するURLにクリックID「YCLID」が付きます[1]。付き方は末尾への追記です。?a=bbb の付いたURLなら ?a=bbb&yclid=... になり、先に書いてあったパラメータはそのまま残ります[1]。utmを書いていたなら、utmは無傷です。設定はアカウント単位なので、検索広告とディスプレイ広告でアカウントを分けているなら、それぞれ確認が要ります[1]。Yahoo!広告側のコンバージョン測定は、補完機能そのものがyclidを前提に組まれています[2]。
つまずくのは、その次の段です。GA4がチャネルを自動で判定してくれるのは、参照元プラットフォームと連携している媒体だけです。用意されているのは5系統だけ。Google広告、ディスプレイ&ビデオ360、キャンペーンマネージャー360、検索広告360、Merchant Centerです[3]。Yahoo!広告はこの中にありません。残るのは「手動トラフィック用のチャネル」の規則だけで、そこにクリックIDを読む条件は1つも書かれていません[3]。
Google側のクリックIDとは扱いが大きく異なります。GA4の公式は、既存のGCLIDの値とともにキャンペーンの手動による値を含めると、アトリビューションが誤って行われる可能性がある、と注意しています[4]。競合が起きるということは、GCLIDには読まれる階層があるということです。yclidには、その階層自体がありません。Google広告側で数が合わない話はGoogle広告とGA4で数が合わないときにまとめました。
つまり、yclidが付いていても付いていなくても、GA4のチャネルはまったく変わりません。考える軸は「タグの設定が正しいか」から、「utmが落ちていた期間の売上をどう扱うか」へ移ります。

2. 有料検索はANDで、オーガニック検索はORになっている#
GA4の2つのチャネルは、条件の組み方が対称ではありません。
公式の定義を並べます。有料検索は「参照元 - 検索サイトのリストに一致 かつ メディア - 正規表現に一致 - ^(.*cp.*|ppc|retargeting|paid.*)$」[3]。オーガニック検索は「参照元 - 一致 - [SOURCE_CATEGORY_SEARCH] に記載されている検索サイトのリスト または メディア - 完全一致 - organic」[3]。
片方は「かつ」で、もう片方は「または」。有料検索に入るには参照元とメディアの両方が要るのに、オーガニック検索は参照元がリストに一致するだけで成立します。Yahoo!広告のクリックで参照元がYahooと判定された場合、utmが1つも付いていなければ、その流入が満たすのはオーガニック検索の条件だけです。参照元がそもそも渡らずノーリファラーに入る経路もあり、そちらの原因はGA4でDirectが増える原因にまとめています。
落とし穴はもう1つあります。GA4は参照元とカテゴリの一覧を配布しています。そこに検索サイトとして載っているYahooの表記のうち、日本のYahooに当たるのは yahoo・yahoo.co.jp・yahoo.com です(ほかは国別の検索ホスト)。yahoo_ads や ydn のような社内で決めた表記は、この一覧に載っていません[5]。utm_mediumに cpc を付けても参照元の側が一致しないので、有料検索の条件は満たされない。行き先は「その他(有料)」になります。
まとめると、utmを付けなければオーガニック検索、独自の表記で付ければその他(有料)、一覧にある表記で付けたときだけ有料検索。同じ広告のクリックが3つに割れます。utm_mediumの正規表現の読み方はMeta広告のutm_mediumと公式の正規表現にまとめています。utm_sourceの決め方そのものはMeta広告のutm_sourceの付け方にあります。

規模の大きい事業者には抜け道があります。検索広告360のエンジンアカウントタイプが「yahoo.jp」などであれば、GA4は自動で有料検索へ振り分けます[3]。ただしこれは検索広告360を使う前提の話で、自社で入稿している中小ECには効きません。
3. 混ざると、広告とSEOの成績が同時に反対へずれる#
ずれるのは片側だけではありません。2つの方向へ同時にずれます。
広告費をかけたチャネルの売上が、費用のかかっていない流入の売上に足し込まれます。オーガニック検索のRPSは実力より高く、Yahoo!広告のRPSは実力より低く、ときにはゼロに見えます。RPSはセッションあたりの売上のことです。次の予算配分をこの2つのデータで決めると、効いている媒体を止めて、効いていない面を増やす方向へ判断が傾きます。1つの間違いが両側から効くので、正解との距離は2倍の速さで開きます。
集客の側でも同じことが起きます。Google Search Consoleのクリック数は伸びていないのに、GA4のオーガニック検索のセッションと売上だけが増える。この食い違いは説明がつかないまま残り、SEO施策の効果測定そのものが成り立たなくなります。
さらに厄介なのは、オーガニック検索という1つのまとまりの中に、Yahoo!広告の流入とYahoo検索の自然流入とGoogle検索の自然流入が同居することです。3つとも費用も打ち手も異なるのに、レポートの上では1本の線として表示されます。utmが正しく飛んでいるかどうかを確かめる手順はGA4のキャンペーンパラメータ診断にあります。

ここで多くの人が、Yahoo!広告の管理画面のコンバージョン数をGA4の売上の隣に置いて突き合わせようとします。ところが管理画面が集計しているのはyclidを起点にしたクリック単位のコンバージョンで、GA4のチャネル別売上はセッション単位です。集計の単位が異なるまま割り算をしても、出てきた値が何を表しているかは決まりません。ここで必要になるのは、単位を揃えたうえでのチャネル別の売上です。
RevenueScopeの解決策
判定に使う材料を1つ増やすと、この分岐は解けます。RevenueScope のチャネル分類は、utmの既知の表記、クリックID、utm_medium、参照元の順に4段階で判定します。2段目にyclidがあるため、utm_sourceを yahoo_ads のような独自の表記で書いていても、その流入はYahoo! Adsとして集計されます。分類は流入を受け取った時点で決まるので、yclidが届いている限り、設定を入れた日から先のYahoo!広告の売上は、utmの表記に関係なく独立したチャネルとして積み上がります。
なお、キャンペーン名の表記ゆれは別の話です。Flyer-Insert-08 と flyer-insert-2608 は、RevenueScope でも別のキャンペーンとして集計されます。ここで解いているのは、クリックをどのチャネルへ置くかだけです。
架空店舗ソラの30日を RevenueScope にたずねると(イメージ)
| チャネル | セッション | 売上 | RPS |
|---|---|---|---|
| Google検索 | 9,000 | 90万円 | 100円 |
| Yahoo!検索 | 6,000 | 30万円 | 50円 |
| Yahoo! Ads | 4,000 | 60万円 | 150円 |
| Direct | 1,000 | 10万円 | 100円 |
※この表は読み方を示すために作った一例で、実在の店舗のものではありません。CTAから開くデモ画面は見本ECのサンプルデータ(日々更新)で描かれているため、同じ切り口を選んでも数値は一致しません。
目を引くのはYahoo! AdsのRPS 150円です。セッションは4,000で4つのうち最少ですが、1セッションあたりが生む売上はGoogle検索の1.5倍あります。この分類が効いていなければ、60万円はYahoo!検索の30万円に足し込まれ、10,000セッションで90万円、RPS 90円の1つのまとまりとして表示されます。本当は50円のYahoo!検索が90円に見え、150円のYahoo!広告は画面のどこにも残りません。実力より8割高いデータを見ながら、150円の広告を止めるかどうかを検討することになります。
この30日を前半と後半に分けて出すと、RPSの首位はYahoo! AdsからGoogle検索へ入れ替わります。入稿ツールを差し替えた後半はutmが付いていませんが、yclidは付いたままなので、Yahoo! Adsは前半にも後半にも独立したチャネルとして残ります。1か月をひとまとめにした表だけで来月の配分を固定すると、この入れ替わりを見落とします。次の一手は、まず期間を半分に割って同じ4チャネルを出し、後半でもRPSを保っていたほうへ予算を寄せることです。
FAQ#
よくある質問#
Q. 自動タグ設定をオンにすれば、GA4でもYahoo!広告が分かれますか?
A. 分かれません。自動タグ設定が付けるのはyclidで[1]、GA4のチャネル判定にクリックIDを読む条件がないためです[3]。自動タグ設定は、Yahoo!広告側のコンバージョン測定を補完するための仕組みです[2]。
Q. utm_sourceを検索サイトの一覧にある表記にすれば解決しますか?
A. チャネルの分類だけなら成立します。参照元が一覧にある表記と一致し、メディアが指定の正規表現に一致すれば、有料検索の条件を満たします[3]。ただし前提になるのは、入稿URLを人が毎回正しく書き続けることです。代理店や入稿ツールが変わるたびに、同じ確認が要ります。
Q. Yahoo!広告の管理画面のコンバージョン数とGA4のコンバージョン数は一致しますか?
A. 一致しません。管理画面のコンバージョン測定はyclidを起点に組まれており[2]、GA4はセッション単位で集計しています。差の大小を追いかけるのではなく、集計の単位が異なるものとして扱ってください。
まとめ#
Yahoo!広告の売上がGA4のオーガニック検索に混ざるのは、GA4がチャネルを決めるときに読む材料がutmと参照元の2つしかないからです。クリックに付いているyclidは判定に使われず、参照元がYahooとして渡る限り、そこからYahoo!広告とYahoo検索を分けることはできません。有料と自然を分けられる材料は、構造上utmの1本だけになります。
utmは人が毎回書くもので、代理店や入稿ツールが変わるたびに崩れます。崩れた期間の売上は自然検索の側に積まれ、広告とSEOの成績が同時に反対へずれる。見るべきは管理画面のタグ設定ではなく、有料と自然が分かれた状態のチャネル別のRPSです。
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