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検索流入は減少でも売上維持|減ったのは購入意欲のない訪問

検索からの流入が3割減ったのに、売上はほとんど変わらない。この組み合わせは実際に起こります。AI要約が検索結果に出ると、リンクのクリック率は15%から8%へ下がるという調査があります。減っているのが調べものの訪問で、購入目的の訪問が残っているなら、売上は保たれます。ただし本当にそうなのかは、クリック数を見ていても判断できません。見分けるには、1訪問あたりの売上(RPS)がどちらへ動いたかを見ます。流入が減った月に見るべき基準と、その確かめ方を整理します。

検索流入は減少でも売上維持|減ったのは購入意欲のない訪問

検索からの流入が減っているのに、売上はほとんど変わっていない。この場合、減った分は取り戻しにいくべきでしょうか? クリック数のグラフを見ているかぎり、この問いには答えが出ません。

この記事のまとめ#

  • 検索結果にAI要約が出た場合、利用者がリンクをクリックした割合は8%。出なかった場合は15%だったという調査がある[1]
  • 減っている訪問が調べもの目的で、購入目的の訪問が残っていれば、流入が減っても売上は保たれる
  • 流入が減った月に見るべきなのはクリック数ではなくRPS(1訪問あたりの売上:売上÷セッション数)
  • 分岐は3つ。RPS上昇×売上維持は健全、RPS横ばい×売上減は実害、RPS上昇でも売上減は規模の目減り
  • Google Search Consoleは表示回数とクリックまでで、そのキーワードがいくら売上を生んだかは表示されない

1. 流入が3割減っても売上が変わらないことがある#

Google Search Consoleを開くと、先月より検索クリックがはっきり減っている。ところが売上のグラフはほぼ水平のまま。同じ月の数値なのに、片方だけが落ちています。

検索結果の見え方は、この1年で変わりました。Pew Research Centerが米国の成人900人の閲覧記録を調べたところ、検索結果にAIによる要約が表示された場合、その画面から通常の検索結果リンクへ進んだのは8%の閲覧でした。要約が表示されなかった場合は15%です[1]。2025年3月のデータで、対象は一般的な検索全般です。日本のEC向けの数値ではありませんが、要約が出る検索結果ではリンクへの遷移が減る傾向がある、という方向は読み取れます。

一方でGoogleは、AI機能を経由して毎週数十億回のクリックをサイトへ送っていると説明しています[2]。どちらが実態に近いかをここで判定はしません。市場全体の集計と自社サイトで起きていることは別だからです(AI検索は毎週数十億クリック|市場の合計と自社は別物)。

確かなのは、検索結果の上部で答えが完結する場面が増えれば、そこで満足して離脱する訪問から先に減る、ということです。「〇〇とは」「〇〇 やり方」で訪問していた人は要約を読んで直帰します。一方、商品名やブランド名で探している人、価格や在庫を確かめたい人は、要約を読んだうえで結局サイトを開きます。減る側と残る側の性質が異なるので、流入が3割減っても売上が2%しか変わらない、という結果になり得ます。

ここで注意したいのは、AI検索が原因だと言い切れるものではないことです。季節性でも、競合の参入でも、扱う商品の入れ替えでも同じ形は出ます。原因を先に決めず、まず自社で何が起きているのかを確かめる順番になります。

2. 判断の基準をクリック数からRPSに替える#

流入が減った月に開くべきなのは、クリック数のグラフではありません。RPS(Revenue Per Session=1訪問あたりの売上)です。

RPS = 売上 ÷ セッション数

売上が保たれたままセッションが減れば、RPSは計算上かならず上がります。逆に言えば、RPSが変わっていないのに流入だけ減っているなら、減った分には売上を生んでいた訪問も含まれているということです。

流入が減った月の判定分岐。売上が保たれているかを見て、次にRPSが上がったかを見る。健全、実害、規模の目減りの3つの出口に分かれる。説明用のイメージ

出口は3つに分かれます。

  • 健全|RPSが上がって売上は保たれている。減ったのは購入につながらない訪問で、実害は出ていない
  • 実害|売上が落ちていて、RPSは横ばいか下がっている。購入目的の訪問まで減っている
  • 規模の目減り|RPSは上がったのに売上は落ちている。1訪問あたりの効率は良くなったが、分母の減り方が勝っている

同じ「流入が減った」でも、次の手は出口ごとに逆を向きます。健全なら急いで取り戻す必要はなく、残っている訪問の受け皿を厚くするほうが効きます。実害なら流入の中身を戻す話に、規模の目減りなら効率の良くなった入口を広げる話になります。クリック数だけを見ていると、これが全部同じ「減った」に見えます。

流入が増える局面でも同じことが起きます。流入は伸びているのに売上がついてこない場合は、RPSが下がっています(流入は伸びたのに売上が伸びない)。増えるときも減るときも、判定に使うのは同じ1本の指標です。

3. 減ったのがどの検索キーワードかを確かめる#

RPSで方向が分かったら、次は減った中身です。Google Search Consoleのクエリ一覧を、調べもの目的のキーワードと購入目的のキーワードに分けて眺めます。

前者は「〇〇とは」「〇〇 やり方」「〇〇 計算方法」のような形。後者は商品名、ブランド名、「価格」「送料」「在庫」などが付いた形です。前者だけが大きく減り、後者が保たれているなら、1章で書いた「減る側と残る側の性質が異なる」がそのまま自社でも起きていることになります。

私たちの自社サイトでも、この形は出ています。直近30日で最も表示回数が多かった日本語のキーワードは用語の定義を尋ねるもので、掲載順位は8位台と検索結果の1ページ目に入っているにもかかわらず、クリック率は0.1%を下回りました。英語側の定義系キーワードにいたっては、表示回数だけが積み上がる一方でクリック率は0%のままです。順位が悪いわけではなく、順位が良くてもクリックが起きていません。

ただし、これを「AI要約に取られた」と断定はできません。検索結果の上部が別の要素で占められている場合も、そもそも定義を知りたいだけの検索でクリックが起きにくい場合も、同じ数値になります(検索順位は同じなのにクリックが減る)。分かるのは、表示回数が多いキーワードが必ずしも売上の入口ではない、というところまでです。

そしてGoogle Search Consoleでできるのはここまでです。クエリごとに出るのは表示回数、クリック、掲載順位、クリック率の4つで[3]、そのキーワードから入った訪問がいくら売上を生んだかは表示されません。生成AI検索のパフォーマンスレポートが追加されましたが、こちらに出るのも表示回数です[4]。ブログ100個を4年追跡した調査では検索流入の中央値が85%減という結果も報告されていて[5]、流入側の変化そのものは以前から続いています(【調査報告】ブログ100個・検索流入85%減)。

そしてこの判定は、サイト全体のRPSでは足りません。全体の値には指名検索もリピーターも混在するので、どの入口が減って、どの入口の効率が上がったのかは、分けて見ないと出てきません。流入元ごとにセッションと売上が並んで初めて、3つの出口のどれに当たるかが決まります。

RevenueScopeの解決策

RevenueScopeは、セッション・売上・RPSを同じ期間の同じ画面で表示します。前の期間との比較が各指標に付くため、流入が減った月にRPSがどちらへ動いたかを、計算し直さずに読み取れます。

チャネル別の内訳では、検索・AI経由・広告・SNSなどの流入元ごとにセッションと売上とRPSが表示されます。全体のRPSは指名検索やリピーターが混在するため、どの入口が減ってどの入口の効率が上がったのかは、分けて見て初めて分かります。指名検索が混在することで実力が見えにくくなる問題は別記事で扱っています(流入は増えたのに新規が増えない)。

検索キーワード側では、Google Search Consoleのクリック数に検索経由のRPSを掛けた推定売上を各キーワードに添えます。クリックが減ったキーワードのうち、どれが売上を生んでいた入口だったのかを、推定の範囲で切り分けられます。

健全な形は、こういう並びになる#

架空店舗Aを例に、3か月前と今月を置いてみます。

指標3か月前今月
セッション1万7,000
売上100万円98万円
RPS100円140円
CVR2%2.8%

※ 架空店舗Aの数値は説明用に丸めた作例です。デモ画面のほうは見本ECのライブデータで動いているため、表示される値はこの表とは一致しません。

セッションは3割減っていますが、売上はほぼそのまま。RPSは100円から140円へ上がり、CVRも2%から2.8%へ動いています。3つの出口でいえば健全にあたる形で、購入につながらない訪問が減っただけの状態です。ここまで読み取れれば、流入を取り戻す施策に予算を回す判断は先送りできます。

架空店舗Aの3か月前と今月の比較。3か月前を100としたとき、セッションは70へ下がり、売上は98でほぼ横ばい、RPSは140へ上がる。説明用のイメージ

FAQ#

よくある質問#

Q. RPSが上がっていれば、流入が減っても放っておいていいのですか?

A. その月は放っておけます。ただし翌月も同じ形が続くかは別の話です。RPSが上がったまま売上が落ち始めたら規模の目減りに移っているので、そこからは入口を広げる判断に切り替わります。1回の確認で終わらせず、毎月同じ2つの値を並べて記録してください。

Q. RPSはどのくらい変化すれば「上がった」と見ていいですか?

A. 母数が小さいと数%の変動は簡単に出ます。セッションが数百に満たない期間では、注文が1件増減しただけでRPSが大きく振れるので、比率の優劣で判断しないでください。判断できる母数がたまるまでは、セッション数と注文件数そのものの推移を見るほうが確かです。

Q. うちも検索流入が減っています。AI検索が原因ですか?

A. それは自社のデータを見ないと分かりません。季節性、競合の参入、商品の入れ替え、サイトの改修でも同じ形は出ます。原因を決める前に、減ったのがどの検索キーワードで、そのキーワードが売上を生んでいたかどうかを確かめる順番になります。

Q. Google Search Consoleの生成AI検索のレポートを見れば分かりますか?

A. AIによる検索面での表示回数は分かります。ただしそこに出るのは表示回数で[4]、クリックからいくら売上になったかは表示されません。流入側の変化を知る材料にはなりますが、実害かどうかの判定には売上側の数値が必要になります。

まとめ#

検索流入が減った月に、クリック数のグラフだけを見て慌てて手を打つと、減らしてよかった訪問を取り戻すために予算を使うことになります。AI要約が表示された検索結果ではリンクへの遷移が減る傾向が報告されており[1]、減る側は調べもの目的の訪問から始まります。購入目的の訪問が残っていれば、流入が3割減っても売上はほとんど変わりません。

見分けるには、売上をセッションで割ったRPSがどちらへ変化したかを見ます。上がって売上も保たれていれば健全、横ばいで売上が落ちていれば実害、上がったのに売上が落ちていれば規模の目減り。この3つで次の手は変わります。そしてこの変化は進行中なので、一度確かめて終わりにはできません。

流入が減った月に見るべき基準は、クリック数ではなくRPSの推移です。

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