掲載順位は3位のままなのに、クリックだけが前の月の6割に落ちている。原因はAI Overviewだろう、というところまでは見当がつきます。困るのはその先で、どのキーワードで減ったのかがGoogle Search Consoleには書かれていません。全部を検索して回るのは無理なので、減った幅と売上の2つで数キーワードまで絞ります。
目次
この記事のまとめ#
- Seer Interactive社が53ブランド・約547万件の検索キーワードを追跡したデータでは、AI Overviewが出た検索のクリック率は2.36%、出なかった検索は3.82%[7]
- 日本語でも、購入意図のキーワードの46.9%にAI Overviewが表示されていたという2026年4月時点の調査がある[5]
- 生成AIパフォーマンスレポートが答えるのは表示回数までで、クリックの減り方はキーワード別に追えない[2]
- AI Overview内の表示とクリックは通常の検索パフォーマンスに合算され、別カウントにはならない[1]
- 全数の目視は無理なので、減っている語と売上の大きい語が重なる数語まで対象を落とす
1. 順位は変わらないまま、クリックだけが減る#
この変化は順位表に出てきません。掲載順位は3位のまま、クリックだけが前の月の6割に落ちる。順位が下がったのなら原因の見当はつきますが、順位が動いていないと手掛かりが残りません。順位を上げる打ち手も、すでに3位なので打てません。
背景の数字は出そろっています。米国のマーケティング会社Seer Interactiveが53ブランド・約547万件の検索キーワードを追跡したデータでは、AI Overviewが表示された検索のオーガニック検索のクリック率は2.36%、表示されなかった検索は3.82%でした(2026年2月時点[7])。同じデータでAI Overviewありのクリック率は2025年12月の1.31%から戻ってきており、差は縮まりつつあります。ただ、埋まってはいません。Ahrefsが米国のGoogleで情報を調べる種類のキーワードを測ったところ、1位のクリック率はAI Overviewがある場合に約34.5%低くなっていました[6]。
日本語検索の側では、2,609キーワードを対象にした2026年4月時点の調査があります。購入意図のキーワードの46.9%にAI Overview(日本語の表記は「AIによる概要」)が表示されていました[5]。1時点のスナップショットなので増えたか減ったかまでは読めませんが、購入に近いキーワードでも半数近くで出ている、という状態は分かります。日本語でクリック率がどれだけ下がったかを測った一次データは見当たらないため、日本でも同様の傾向が推測される、という以上のことは言えません。

順位が変わらないままクリックが減ったとき、最初にやることは切り分けです。AI Overviewに答えを取られてクリックが消えたのか、それとも引用元として選ばれた結果なのかを分けます。見分け方は別記事で扱っています(順位は同じなのにクリックが減るときの見分け方)。
この記事が扱うのは、その切り分けが済んだ後です。影響を受けているらしいと分かったキーワードについて、守る順番の決め方だけを書きます。
2. どのキーワードに出ているのか、Google Search Consoleでは特定できない#
自社のGoogle Search Consoleの数値だけでは、どのキーワードにAI Overviewが出てクリックが減ったのかを、キーワード別に確かめることはできません。
まず思いつくのは生成AIパフォーマンスレポートでしょう。AIモードとAI Overviewでの露出を扱うレポートですが、2026年7月時点のヘルプに載っているのは表示回数のみです[2]。クリックも掲載順位も、このレポートの数値には出てきません。
次に見るのは、通常の検索パフォーマンスレポートです。AI Overviewの中にサイトのリンクが出た場合、その表示回数とクリックは「ウェブ」タイプの検索パフォーマンスに含めて数えられます[1]。AI Overview分だけを取り出した行は用意されていません。最初から合算された数値を見ています。
掲載順位も同様です。AI Overviewが複数のサイトへのリンクを含んでいても、検索結果の中では1つの位置として数えられます[3]。表示される掲載順位はAI Overviewが置かれた位置の値で、その中で何番目に載ったかは反映されません。

この3つを重ねると、手元の数値で分かる範囲が決まります。表示回数とクリックはAI Overview分を含んだ合計で、掲載順位はAI Overviewが置かれた位置。減ったクリックのうち何件がAI Overviewによるものだったかを、キーワード別に切り出す列はどこにもありません。「AI Overviewでクリックが減った」を、自社の生数値だけで直接検証することはできません。
3. 守るキーワードは、減少幅と売上で決める#
数値から特定できない以上、残るのは実際に検索して目で確かめる方法です。対象のキーワードをGoogleで検索し、AI Overviewが出るかどうかを見る。ここは無料でできます。
ただし、これで確認できるのはその瞬間の状態だけです。AIによる概要は生成AIが作る要約で[4]、表示されるのはシステムが有用と判断した場合に限られます[1]。同じキーワードでも出る時と出ない時があります。検索する人の状況や使っている端末によっても見え方は変わりますし、月が変われば様子も変わります。1回見て出ていなかったことは、そのキーワードが影響を受けていない証明にはなりません。
そして、その前に片づけるべき問題があります。どのキーワードを見るかを先に決めなければいけないことです。数百のキーワードを毎月検索して回るのは無理があり、しかも1回では足りません。確認する対象を絞る作業が先に来ます。
絞る条件は2つです。クリックが前の期間より減っていること、そして売上を生んでいること。両方に当てはまるキーワードだけを目視の対象にします。減っていても売上に関係ないキーワードは後回しでよく、売上が大きくてもクリックが減っていないキーワードは今は放っておけます。上げにいく順位を選ぶときも考え方は同じで、順位そのものではなく売上への効き方で選びます(上げる価値のある順位の選び方)。

守ると決めた語について進める方向は2通りです。AI Overviewに答えを取られている側なら、引用元として選ばれる側に回ることを狙います(AIによる概要の引用元調査)。すでに引用で選ばれているなら、クリックが減っていても記事の形を崩さないほうが得です(0クリックでもChatGPTが選ぶ記事)。どちらへ進むかは各記事に譲ります。この記事で扱うのは、その判断を下す対象を数キーワードまで絞るところまでです。
RevenueScopeの解決策
守るキーワードを決めるために手元に要るのは、キーワードごとのクリック前期比と、そのキーワードが生んだ売上の2列です。Google Search Consoleはクリックをキーワード別に出しますが、売上はキーワード別に出ません。目視の対象を絞る段階で、ここでつまずきます(検索キーワード別の売上がGSC連携でも出ない理由)。
RevenueScopeは、この空いている2列目を推定売上として埋めます。推定売上とクリックはどちらも前の期間と比べた変化率が表示されるので、減っているキーワードを推定売上の大きい順に並べ替えれば、目視に回す数キーワードが上から取れます。推定売上は検索経由の売上から割り戻した近似値で、確定した売上ではありません。対象はGoogle検索のデータで、反映には2〜3日の遅れがあります。
絞り込みは、こういう並びになる#
架空の化粧品ストアを例に、4キーワードを比べてみます。
| キーワード | クリック前期比 | 推定売上 | 売上前期比 |
|---|---|---|---|
| 保湿クリーム 敏感肌 | -42% | 38万円 | -31% |
| 導入美容液 使い方 | -55% | 24万円 | -40% |
| スキンケア 順番 | -48% | 2万円 | -45% |
| 化粧水 プチプラ | -6% | 31万円 | +2% |
※ この数字がそのまま皆さんの画面に出るわけではありません。上の表は説明のために丸めた作例で、デモ画面のほうは見本ECのデータで動いています。
読み方は単純です。上の2キーワードはクリックが4割から5割超まで減っていて、推定売上も大きい。目視で確認するのはこの2キーワードで足ります。3キーワード目は減り方こそ大きいものの売上が小さく、4キーワード目は売上が大きいままクリックがほとんど減っていません。数百のキーワードのうち、実際に検索して見にいくのは数キーワードで済みます。
この2列を毎月更新する作業が、AI Overviewが広がっていく間ずっと続きます。RevenueScopeはその更新を自動で行います。
FAQ#
よくある質問#
Q. RevenueScopeを見れば、AI Overviewが出ているキーワードが分かりますか?
A. 表示の有無はGoogleの検索結果を実際に見て確認するものです。RevenueScopeが提供するのは、その確認をどのキーワードから始めるかを決める材料で、検索キーワード別のクリック前期比と推定売上です。
Q. 推定売上は実際の売上とどれくらい違いますか?
A. 推定売上は、検索から入ったセッション1件あたりの売上を、そのキーワードのクリック数に当てはめて出した値です。低めに出る作りで、確定した売上ではありません。金額の絶対値を報告に使うのではなく、キーワード同士の大小を比べる用途で使ってください。
Q. 目視での確認は、どのくらいの頻度で行えばいいですか?
A. 守ると決めたキーワードについては月に1回が目安です。AI Overviewは同じキーワードでも出る時と出ない時があるため[1]、1回の結果を長く使い回さないでください。対象を数語に絞っておけば、毎月の確認でも負担になりません。
まとめ#
AI Overviewが広がった検索結果で、全部のキーワードを守りにいくことはできません。Seer Interactiveが53ブランドを追跡したデータでは、AI Overviewが出た検索のオーガニック検索のクリック率は2.36%、出なかった検索は3.82%[7]。日本語でも、購入意図のキーワードの46.9%に表示されていた調査があります[5]。
そして、どのキーワードで自社のクリックが減ったのかは、Google Search Consoleの数値だけからキーワード別に確かめられません[1][2][3]。確認する手段は実際の検索結果を見ることだけで、それは全数では回れません。
だから対象を先に絞ります。守るかどうかは順位ではなく、クリックの前期比が減っているか・推定売上が大きいか、の2つで決めます。
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参考文献#
- [1] Google 「AI Features and Your Website」 2026
- [2] Google Search Console ヘルプ 「生成AIパフォーマンスレポート(検索)」 2026
- [3] Google Search Console ヘルプ 「表示回数、掲載順位、クリック数について」 2026
- [4] Google 検索ヘルプ 「AIによる概要」 2026
- [5] はちのす制作 「AIO表示率調査(2,609キーワード)」 2026
- [6] Ahrefs 「AI Overviews Reduce Clicks」 2026
- [7] Seer Interactive 「AIO Impact on Google CTR」 2026


