「先月、結局どの広告が効いたんだっけ?」。月初の予算会議の前に、管理画面をいくつも開いてこの問いに答えようとした経験は、EC を運営していれば一度はあるはずです。各媒体の数字は出ているのに、来月どこに寄せるかを決め切れない——理由は、単月の大小しか見ていないことが多いです。
結論:予算会議で見るべきは、チャネルごとの効率を 先月比でそろえて見比べた状態 です。先月だけの売上やクリック数を眺めても「伸びたのか落ちたのか」が分からず、来月の配分を決められません。同じチャネルを前々月と先月で見比べて初めて、効いた広告と落ちている広告が分かれます。
本記事では、予算会議で先月比を見るべき理由、会議前の 5 分でまとめる 3 段取り、それを毎月手作業で続けるのが重い理由、そして手間を 1 画面に畳む見方まで、EC 事業者の実務目線で整理します。
まとめ解説動画
この記事のまとめ#
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見るべきは単月でなく「先月比」
先月だけの売上やクリックでは「伸びたか落ちたか」が分からない。同じチャネルを前々月と先月で見比べて初めて、効いた広告が分かる
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会議前にそろえるのは3点
期間を先月・前々月にそろえる/チャネル別に分ける/bot と出どころ不明の流入を除外する。この3点で「先月比のチャネル別効率」が出る
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重いのは毎月そろえ続けること
考え方は簡単。難しいのは、全チャネル分を毎月・同じ基準でそろえ直す手間。GA4 には先月比のチャネル別効率を1画面でそろえるビューが標準にない
1.予算会議で見るべきは単月でなく先月比#
結論:予算配分を決めるには、チャネルごとの効率を先月比で見比べる必要があります。
月初の予算会議でやりたいのは、来月どのチャネルに予算を寄せ、どこを絞るかを決めることです。そのために必要なのは、各チャネルが先月どう動いたか——前々月と比べて伸びたのか落ちたのか、という変化です。先月だけの数字をいくら眺めても、その大小が「もともとの規模」なのか「先月の伸び」なのかが分かりません。

たとえば先月の売上が SNS 広告 95 万円、検索広告 165 万円だったとします。単月で見れば検索広告のほうが大きいので「検索が好調」に見えます。しかし前々月と比べると、検索広告は 120 万円から 165 万円へ伸び、SNS 広告は 140 万円から 95 万円へ落ちています。先月比で見て初めて、伸びているのは検索、テコ入れが要るのは SNS、と分かれます。単月の大小で予算を寄せると、実は落ちているチャネルに追加投資してしまうことがあります。
1.1売上とセッション、2つのレンズで見る#
先月比は「売上」と「集客」の 2 つのレンズで見ると判断がぶれません。
- 売上のレンズ:チャネル別の売上や、表示・訪問あたりの売上(RPS)を先月比で見て、効率が上がったか下がったかを判断します。表示あたり売上の考え方は RPS(訪問あたり売上)の基本|チャネルの質を売上で測る で整理しています。
- 集客のレンズ:チャネル別のセッション数を先月比で見て、集客力そのものが伸びたか落ちたかを見ます。広告のないチャネル(メール・自然検索など)も同じ基準で比べたいときの考え方は 自社の非広告チャネルの効率を測る|ROASでなくRPSで見る にまとめています。
この 2 レンズを分けておくと、「売上は落ちたが集客は伸びている(質を上げるべき)」「集客が落ちている(露出を増やすべき)」を取り違えずに済みます。
2.会議前の5分でまとめる3段取り#
結論:先月比のチャネル別効率は、期間をそろえる・チャネルで分ける・bot を除く、の 3 段取りで出せます。
考え方そのものは簡単です。会議の前に、次の順でデータをそろえれば、「どのチャネルが先月比で効いたか」を話せる状態になります。

- 期間を先月と前々月にそろえる :比較の土台。同じ日数・同じ区切りでそろえないと、月の長さの違いだけで数字がぶれます
- チャネル別に売上とセッションを分ける :チャネルの分け方をそろえ、売上と集客の両方を並べて出します。チャネルの分類は GA4 のデフォルトチャネルグループが基準になります[1]
- bot と出どころ不明の流入を除外する :bot の表示・クリックや、出どころ不明で Direct に紛れた流入を切り分けます。これを残すと、効率が実態より良く(または悪く)見えます[2]
この 3 点をそろえれば、前々月と先月のチャネル別効率が並び、先月比の増減が読めます。どの広告から来たかを正しく分けるには UTM の付け方も土台になります[3]。UTM の正しい付け方は UTMパラメータの正しい使い方 で整理しています。
2.1チャネル別ROASを併用するときの注意#
広告チャネルだけを見るなら、先月比の売上に加えてチャネル別 ROAS も併用できます。ただし媒体ごとに ROAS の基準がそろっていないと比較になりません。チャネル別 ROAS の目標設定の考え方は チャネル別のROAS目標の決め方、媒体合算の見方との違いは MERと媒体別ROASの違い|全体効率と個別効率を分けて見る で整理しています。
3.毎月手作業で続けるのが重い理由#
結論:考え方は簡単でも、全チャネル分を毎月・同じ基準でそろえ直す手間が重く、続きません。
ここまでの 3 段取りは、1 回やるだけなら難しくありません。重いのは、それを 毎月・全チャネル分・同じ基準で 回し続けることです。期間を先月と前々月にそろえ直し、チャネルの分け方を統一し、bot を見分けて除き、表計算で先月比を組み直す——この下ごしらえを毎月手作業で続けるのは、現場では続きません。
しかも GA4 の標準レポートには、「チャネル別の効率を先月比でそろえて見比べる」ビューが構造的にありません。GA4 は単月のチャネル別売上やセッションは出しますし、期間を指定して 2 つの期間を比べる機能もあります。ただ、チャネル別の効率(売上・セッション・RPS など)を 先月比の増減つきで 1 画面にそろえて見比べる 形は、標準では用意されていません。結果として、毎月の会議前に同じ手作業が発生します。

この「考え方は簡単/毎月の反復が重い」という非対称が、月次レビューが形骸化する一番の理由です。完璧な集計を目指すより、まず先月比・チャネル別・bot 除外の 3 点を毎月そろえる仕組みを持つことが先決です。売上が落ちた月にどこから疑うかの順番は EC売上が落ちたときのKPI診断手順 でも整理しています。
3.1bot混在で先月比がゆがむ#
bot の表示・クリックが混ざると、先月比の比較そのものがゆがみます。bot のアクセスは全チャネルに均一に来るわけではなく、特定のチャネルに偏って混ざるためです。除外せずに先月比を出すと、bot が増えた月だけセッションが水増しされ、「集客が伸びた」と誤読してしまいます。チャネルによって bot の混ざり方が違うことで起きる比較のゆがみは botトラフィックがチャネル別の数字をゆがめる仕組み で整理しています。先月比を信頼できる比較にするには、bot 除外を毎月の段取りに必ず入れます。
RevenueScopeの解決策
毎月の予算会議で重いのは、先月比・チャネル別・bot 除外をそろえる下ごしらえでした。RevenueScope は、自前のトラッキングで bot を除外し、出どころ不明で Direct に紛れた流入を本来のチャネルへ振り戻したうえで、チャネルごとの売上・セッション・RPS・購入率を、選んだ期間どうしの比較つきで見比べられるようにします。
| チャネル | 先月の売上 | 先月のRPS | 全体の前月比 |
|---|---|---|---|
| 検索広告 | 165万円 | ¥210 | +8% |
| SNS広告 | 95万円 | ¥120 | +8% |
| メール | 78万円 | ¥340 | +8% |
| 自然検索 | 96万円 | ¥180 | +8% |
RevenueScope のチャネル別ビュー(表示はデモデータ)。チャネルごとの先月の効率(売上・RPS)を bot 除外後の数字で並べ、全体の前月比を添えて返します。チャネル別の前月比そのものを 1 コールで返すわけではなく、先月のチャネル別効率を共通の基準でそろえ、全体の増減を添えて見比べやすくする、という形です。
ここまで bot を除いて同じ基準でそろえて初めて、「来月どのチャネルに寄せ、どこを絞るか」を感覚でなく売上で決められます。なお RevenueScope が扱うのは Revenue・AOV・RPS・CVR・Sessions の 5 つの指標とその分解(チャネル別・新規/リピート別など)で、LTV・粗利・在庫は対象外です。これらは別のツールで見る領域です。
よくある質問#
Q. なぜ単月の数字だけでは判断できないの?
単月の売上やクリックは「大きいか小さいか」しか教えてくれず、「伸びたか落ちたか」が分からないためです。来月の予算配分は変化を見て決めるものなので、前々月と比べた先月比が要ります。規模の大きいチャネルが、実は先月落ちている、ということは珍しくありません。
Q. GA4の期間比較機能を使えば足りる?
期間比較は 2 つの期間の数字を並べる土台にはなります。ただし、チャネル別に分け、bot を除外し、売上・セッション・効率を先月比でそろえて 1 画面で見比べる、という最後のひと手間は手作業になりがちです。期間比較は出発点で、チャネル別効率の先月比までは別途そろえる必要があります。
Q. 広告のないチャネル(メール・自然検索)も同じように比べられる?
比べられます。ただし ROAS は広告費のあるチャネルにしか使えないため、広告と非広告を同じ基準で比べるには、訪問あたりの売上(RPS)など共通の指標で見ます。詳しくは 自社の非広告チャネルの効率を測る を参照してください。
まとめ#
月初の予算会議で「どの広告が効いたか」を判断するには、単月の数字でなく、チャネルごとの効率を先月比でそろえて見比べる必要があります。会議前にそろえるのは、期間を先月・前々月にそろえる/チャネル別に売上とセッションを分ける/bot と出どころ不明の流入を除外する、の 3 点です。
考え方そのものは簡単ですが、これを毎月・全チャネル分・同じ基準でそろえ直すのは重く、GA4 の標準レポートにも先月比のチャネル別効率を 1 画面でそろえるビューはありません。だからこそ、先月比・チャネル別・bot 除外を毎月そろえる仕組みを持つことが、月次レビューを形だけで終わらせない近道になります。
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