自社名で検索すると、1ページ目の上位に他社が入っている。指名検索が減った話ではなく、指名検索の結果画面を他社に取られている話です。ここでの取りこぼしは1クリックあたりの損が最も大きく、しかも自社のデータには表れにくいという特徴があります。
目次
この記事のまとめ#
- 指名検索の結果画面は自社だけのものではない。比較サイト、モール内の自社店舗、口コミサイトが同じ1ページ目を占める
- Google Search Consoleの平均掲載順位は、自社のリンクに付いた最上位の順位を平均した値[2][3]。上に誰がいたかは記録の対象外
- まれな検索キーワードは省略され、表示される行数にも上限がある[1]。指名の取りこぼしは実数では出ない
- 自社サイトで集計すると、平均掲載順位が10位以内のキーワードの95.1%はクリックが0だった
- 比較記事、構造化データ、サイト名の指定はどれも正しい打ち手。ただし、どれが効くかは上に何が並んでいるかで変わる
1. 自社名の検索結果で、いま起きていること#
自社名で検索して他社が上位に入るのは、順位が落ちたからとは限りません。
社名や商品名で検索する人は、すでに買う場所を決めかけています。その画面の上のほうを他社が占めていれば、購入の一歩手前で行き先が変わります。ほかの検索キーワードを全部足しても、指名1キーワードの取りこぼしを埋められないことがあります。
現れ方はいくつかあります。自社サイトが1位に入っていない。1位ではあるものの、その周りを比較サイトや口コミサイトが囲んでいる。社名の検索キーワードが、そもそもGoogle Search Consoleの一覧に表示されない。
自社のデータでは上位に見えているのに、手元の端末で社名を検索すると1ページ目に自社が見当たらない。占めているのが競合企業とは限らず、口コミサイトや動画サイトのこともあります。
指名検索そのものが減っているケースは、別の記事で扱っています(指名検索が減った原因)。あちらは名前で検索する人の数が減る話で、本記事は検索する人の数が変わらないまま結果画面の取り分が変わる話です。

ここで手が伸びる打ち手は、比較記事を足す、構造化データを入れる、サイト名を指定する、あたりです。どれも指名まわりでは正しい打ち手です。ただ、上に何が並んでいるかを確かめる前にどれかを選ぶと、効かない打ち手に数か月を使うことになります。比較サイトが上なら比較記事、モール内の自社店舗が上なら正規化とサイト名、口コミサイトが上ならまた別の対応です。
2. 取りこぼしの大きさは、どこまで測れるのか#
取りこぼしの実数は出せません。測れるのは前期比と比率までです。
Google Search Consoleの平均掲載順位は、自社のリンクに付いた最上位の順位です[2][3]。それを、そのキーワードのすべての検索で平均します[2]。同じ検索結果に自社のページが2位、4位、6位で表示されていれば、記録されるのは2位です[2]。
まれな検索キーワードは省略されます[1]。実行回数が非常に少ないキーワードや、個人情報を含むキーワードは記録されないことがあります[1]。匿名化されたキーワードは一覧に表示されません[1]。表に表示される行数にも1,000行の上限があります[1]。社名の派生キーワードは検索回数が小さくなりがちなので、取りこぼしが起きている当のキーワードほど一覧から抜け落ちます。
自社サイトでも確かめてみます。2026年7月13日から8月12日までの30日間について、検索キーワードの一覧をクリックの多い順に1,000件まで取り出して集計しました。上の1,000行の上限とは別で、こちらは私が指定した取得件数です。

クリックが1以上あるキーワードは、この1,000件のうち2.6%でした。平均掲載順位が10位以内のキーワードは42.8%あり、そのうち95.1%はクリックが0です。同じ期間にGoogle検索から着地したセッションは、この一覧のクリック合計の14.5倍ありました。この倍率そのものは別の記事で詳しく扱っています(サーチコンソールのクリック数が合わない)。
1ページ目に入っているキーワードの大半に、クリックが生まれていない。このパターンは、順位だけでは取りこぼしを説明できないことを示しています。実数でいくら失ったかを出す道は、ここにはありません。

代わりに使えるのが、同じキーワードの前期と当期を比べた変化率です。表示回数がほぼ変わらないのにクリックだけ落ちているなら、その名前で検索する人の数は変わっていません。変わったのは、その画面で誰が選ばれたかのほうです。
なお、指名検索を除いてSEOの実力を見る方法は別に整理しています(流入は増えたのに新規が増えない)。あちらは指名を外して読む話で、本記事は指名そのものの取りこぼしを扱います。
3. 自社の順位は記録されるが、その上位は記録されない#
自社のデータに残るのは自社の位置だけです。その1つ上に何があったかは、どこにも残っていません。
Google Search Consoleが掲載順位として記録するのは、検索結果に表示された自社のリンクの位置です[2]。順位が記録されるためには、そのリンクが実際に表示されている必要があります[2]。記録の対象になっているのは、自社のリンクが出たかどうかと、出たならその位置。それだけです。
上位に何があったかは、この仕組みの対象に入っていません。1位でも8位でも、残るのは番号だけで、その番号の上に置かれていたものの名前はどこにもありません。
手元で社名を検索して、目に見えるものを確かめる方法はあります。最初の1回としては、これで足ります。ただし限界が3つあります。
- 検索結果は人によって異なります。地域や過去の行動で並びが変わります
- 見えたものは、その瞬間の1回にすぎません
- 毎週続けなければ、上の顔ぶれが入れ替わったことに気づけません
この方法は最初の確認には向いていて、続けて測る用途には向きません。
打ち手の1つであるサイト名についても、書けることには線があります。サイト名はホームページの内容とウェブ上の参照元ページを考慮して自動的に生成され、自動生成されたサイト名を手動で変更することはできません[4]。指定できるのは代替名までです[4]。
競合が獲得していて自社が持っていないキーワードを探す話は、別に整理しています(競合が集客するキーワード)。あちらは未獲得のキーワードの広さを見る話。本記事は、自社がすでに順位を持つ1つのキーワードの中の、縦の並びを見る話です。
AIの回答の中で自社がどう扱われるかも、検索結果とはまた別の話になります(ChatGPTで自社名を1回聞いて確かめる限界/中堅ECのAI可視性チェック)。
自社の計測が答えられるのは、自分が何位だったかまでです。その1つ上に置かれていたものは、記録の対象そのものに入っていません。上の顔ぶれを知るには、自社の記録の外を見にいくことになります。手元の検索で毎週確かめるか、追跡する相手を決めて外部のSERPデータで順位を追うか、どちらかです。
RevenueScopeの解決策
RevenueScopeは、検索キーワードごとのクリック・表示回数・クリック率・平均掲載順位・推定売上を、クリックと推定売上の前期比とあわせて表示します。指名まわりのキーワードがどれだけ落ちたかは、この前期比で確認します。
同じダッシュボードの中に、追跡している競合ドメインがGoogle検索で獲得しているキーワードの一覧も入っています。キーワードごとに、順位・月間検索数・前回の調査からの順位変化が付きます。こちらは外部のSERPデータで、自社のGoogle Search Consoleとは取得元が異なります。取得した時点が明示されるので、いつの検索結果を見ているかが分かります。
落ち幅が最大のキーワードは、毎月同じとは限らない#
架空店舗Aで、社名まわりのキーワードを取り出した一例です。
| キーワード | クリック | 掲載順位 | クリック前期比 | 推定売上 |
|---|---|---|---|---|
| 架空店舗A | 120 | 1.4 | −12% | 48,000円 |
| 架空店舗A 口コミ | 90 | 4.2 | −38% | 36,000円 |
| 架空店舗A 送料 | 40 | 2.1 | +5% | 16,000円 |
※ 推定売上はクリック数に比例する概算なので、並び順はクリックと同じになります。どのキーワードから手を付けるかは、推定売上ではなく前期比と掲載順位で決めます。
※ この表は説明のために作った一例です。デモ画面は見本ECのサンプルデータ(日々更新)で動いているため、同じ形の表を開いても値は異なります。
目を向けるのは前期比です。落ち幅が最も大きいのは社名そのものではなく、口コミの派生語でした。掲載順位も4.2位まで下がっています。
先月の同じ表では、落ち幅が最大だったのは社名そのものでした。今月は口コミの派生語に移っています。1か月分の表だけを見て比較記事を作ると決めると、翌月は別のキーワードで取りこぼします。
次にやることは2つに分かれます。まず、口コミの派生語で追跡中の競合ドメインが順位を持っているかを、外部のSERPデータ側で確認する。ここで分かるのは登録したドメインについてだけなので、口コミサイトや動画サイトを含めた顔ぶれ全体は、§3で書いた手元の検索で確かめます。上にいるのが比較サイトなのか、口コミサイトなのか、モール内の自社店舗なのかで、選ぶ打ち手が変わります。
FAQ#
よくある質問#
Q. 社名で検索しても、クエリ一覧に自社名が表示されません。指名検索はゼロということですか?
A. そうとは限りません。実行回数が非常に少ない検索キーワードは記録されないことがあり[1]、匿名化されたキーワードは一覧に表示されません[1]。表示される行数にも上限があります[1]。一覧に無いことは、検索されていないことの証明にはなりません。
Q. 自社が1位なら、取りこぼしは無いと考えてよいですか?
A. 1位は自社のリンクの位置を表すだけです。同じ1ページ目には他社の掲載も並ぶので、1位が必ず選ばれるわけではありません。表示回数が変わらないままクリックだけ落ちているなら、1位でも取りこぼしが起きています。
Q. 競合が自社ブランド語で上位に表示されているのは、違反ではないのですか?
A. 多くは通常のSEOの結果です。比較記事やまとめ記事が社名を含む検索で上位に入るのは、その内容が検索した人の求めるものと合っているからです。向かう先は申し立てではなく、自社側の情報を厚くする方向です。
Q. モール内の自社店舗が、自社サイトより上に表示されています。問題ですか?
A. 売上が立っている限り損失ではありませんが、手数料の分だけ1件あたりの利益は下がります。自社サイト側の情報が薄いために順番が入れ替わっていることもあります。先に確認するのは、どちらが上かではなく、どちらの前期比が落ちているかです。
まとめ#
自社名で検索して他社が上にいるとき、起きているのは順位の低下ではなく、結果画面の取り分の変化です。指名検索は購入に最も近い場所なので、ここでの取りこぼしは1クリックあたりの損が最大になります。
ただし実数は出せません。まれな検索キーワードは省略され、表示される行数にも上限があるからです[1]。測れるのは、同じキーワードの前期と当期の変化率です。表示回数が変わらないままクリックだけ落ちていれば、選ばれ方が変わったと読めます。
打ち手を選ぶのは、そのあとです。比較記事を足すのか、モール内の店舗との関係を整理するのか、サイト名の代替名を指定するのか[4]。上に何が並んでいるかを確かめてから決めれば、効かない打ち手に数か月を使わずに済みます。
月に1度、社名まわりのキーワードのクリックの前期比を記録してください。落ち幅が最大のキーワードが先月と入れ替わっていたら、そこが次に見る場所です。
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