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bot対策後、アクセスが減少|売上が同じなら弾けたのはbot

CDNやWAFでbot対策を入れた翌日から、アクセスが目に見えて減った。設定を戻すかどうかを決める前に、確かめる場所が1つあります。同じ期間の日次売上です。売上の線が水平のまま続いているなら、消えたのは買わない訪問で、戻す理由はありません。ただし全体のセッション数を見ているだけでは、落ちた1つのチャネルには届きません。検証済みクローラーまで巻き込んだ場合は、数字に出るのが数週間遅れます。弾いた相手が何だったのかを、通り抜けたアクセスの側から確かめる順番を整理しました。

bot対策後、アクセスが減少|売上が同じなら弾けたのはbot

bot対策を入れた翌日から、アクセスが目に見えて減りました。原因は分かっています。自分で入れた設定です。ここで決めるのは、戻すかどうかではありません。先に確かめる場所が1つあります。

この記事のまとめ#

  • 最初に見るのは、セッションが落ちた同じ期間の日次売上
  • 売上の線が水平のまま続いているなら、消えたのは買わない訪問
  • 全体のセッション数を開いていても、落ちた1つのチャネルには降りていけない
  • 検証済みクローラーまで巻き込むと、影響が出るのはクロールの側で、数週間遅れる
  • 弾かれたアクセスは計測タグより手前で終わるので、通り抜けた側から相手を推定する

1. 売上は変わったか|最初に見る1か所#

bot対策を入れた直後に開くのは、同じ期間の日次売上です。

セッションの折れ線に、日次の売上を重ねます。設定を入れた日で区切って、その前後を同じ縮尺で表示します。見るのは、売上の線に段差ができているかどうかだけです。

架空店舗ノクトの日次推移。bot対策を入れた日を境に、セッションだけが約2割低い水準へ落ち、日次の売上はほぼ水平のまま続いている

売上の線が水平のまま続いているなら、消えたアクセスは売上を1円も持っていなかった側です。買わない訪問が減っただけで、失ったものはありません。売上の線も同じ日から下がっているなら、消えたアクセスの中に買う人がいたことになります。

ここで、RPS(1セッションあたりの売上)も一緒に控えておいてください。売上をセッションで割った値です。セッションだけが落ちて売上が保たれていれば、RPSは上がります。この上がり方は不具合ではなく、買わない訪問が抜けた結果です。

確かめる場所は、この1か所だけです。そして、線がどちらだったかで、この先に読む節が変わります。売上が水平だったなら、次の節へ進んでください。売上まで落ちていたなら、2節目を飛ばして3節目から読んでください。弾いた相手を特定する話がそこにあります。

なお、GA4にも既知のボットを除外する仕組みが既定で入っています[1]。CDN側で止めた分と重なることがあるので、両方の減少を足し合わせて読まないようにしてください。

向きが逆の症状もあります。アクセスが急に増えたときに何を疑うかはアクセスが急に増えた|喜ぶ前にbot流入を疑うで扱いました。botがそもそも何を指すのかはbotトラフィックとはにまとめてあります。

2. 落ちたのは全体か、1つのチャネルか#

減り方には形があります。全体に薄く広がる形と、1つのチャネルだけに寄る形です。

チャネルごとにセッションを分けて、設定を入れる前と後の2時点を線で結びます。前後の2つの値さえあれば作れる図です。

チャネル別のセッションを、bot対策を入れる前と後の2時点で結んだ図。5本のうち4本はほぼ水平で、1本だけが大きく下がり、チャネルの順位が入れ替わっている

4本はほぼ水平で、1本だけが急に下がっています。全体では約2割の減少ですが、その2割はほぼこの1本から出ています。残りのチャネルは、設定を入れる前とほとんど変わっていません。

落ちた1本が外部サイト経由の流入なら、そこはもともと自動アクセスの通り道になりやすい場所です。検索や広告の行が落ちているなら、話は変わります。そちらは人が来ていた経路なので、実際の訪問者を止めた可能性が上がります。

流入が減っても売上が保たれる組み合わせ自体は、bot対策とは関係なく起こります。その読み方は検索流入は減少でも売上維持|減ったのは購入意欲のない訪問で扱いました。

3. 弾いた相手を確かめる|検証済みクローラーと社内からのアクセス#

止まった相手はbotだけとは限りません。確かめるのは、検証済みクローラーと、社内からのアクセスです。

bot対策は「botを全部止める」設定ではありません。Cloudflareには検証済みbotという分類があり、検索エンジンの巡回のように出どころを確認できるクローラーはここに入ります[2]。この分類を外す設定にしていると、検索エンジンの巡回まで止まります。

そのとき落ちるのはセッションではありません。クロールとインデックスの側です。順位や表示回数に出るまでには時間がかかるので、アクセス解析の画面をどれだけ見ていても気づけません。確認先はGoogle Search Consoleのクロール統計です。

もう1つが社内からのアクセスです。Cloudflareの場合、bot判定は二値ではなくスコアで表現されます[3]。しきい値を厳しくするほど、人間の訪問が巻き込まれます。会社の共有回線、VPN、クラウド経由の通信は、多くの利用者が1つの出口に集まるので、機械的なアクセスとして判定されやすい形になります。

私も、しきい値を強めたとき、利用者は通っているのに検証用のアクセスだけが判定に引っかかり、見え方だけが変わったことがあります。

なりすましも残ります。Googlebotを名乗るアクセスと本物は、IPアドレスの逆引きで見分けられます[4]。名乗りだけで通す設定にしていると、本物を止めて偽物を通す状態になりえます。CDN側でも、AIのクローラーの扱いは見直されつつあります[5]。自社サイトにとってどのAIが歓迎できる相手かは、Cloudflareが始めた「AI通行料」|自社サイトは歓迎すべきかで整理しました。

ここまでの確認は、2つの軸に落ちます。売上が落ちたかどうかと、bot除外の件数が減ったかどうかです。

弾いた相手を判定する4象限。縦軸は売上が落ちたか、横軸はbot除外数が減ったか。売上が落ちず除外数が減った象限は対策が効いた状態、売上が落ちて除外数が減った象限は誤爆、売上が落ちて除外数が変わらない象限は実流入の減少、売上が落ちず除外数も変わらない象限は買わない訪問を弾いたか計測側の問題で3節の社内アクセス確認へ進む

セッションが減る原因は、bot対策だけではありません。同意管理バナーを入れた場合の減り方は同意バナー導入でGA4の数値が減少|計測の問題か売上の問題かで扱いました。原因が重なると、どちらの分だけを引くべきかが決まらなくなります。

そのうえで、2節目の図をもう一度見てください。落ちていたのは1本だけでした。ところが、設定を戻すか迷った人が最初に開く画面に出ているのは、全体のセッション数という1つの数字です。チャネル別まで降りることはできますが、降りた先の行に、売上とRPSとbot除外数は並んでいません。「全体が2割落ちた」という事実と、「戻す必要のない行が1つある」という事実は、同じ画面には表示されません。

RevenueScopeの解決策

RevenueScope は、チャネル別のセッション・売上・RPS・bot除外数を1つの表で表示します。セッションと売上は振る舞いベースでbotを除いたあとの数字で、除外した件数が同じ行に付きます。

表示するのは、通り抜けたアクセスの側です。CDNで止まったアクセスは計測タグより手前で終わるので、相手はこの4つの数字から推定します。売上とRPSが変わらないまま、bot除外数だけが下がった行。それが、手前で消えたのがbotだった行です。

「直近30日、チャネル別のセッション・売上・RPS・bot除外数は?」とMCP経由でChatGPTなどのAIアシスタントに尋ねると、次の形で返ってきます。説明のために架空店舗ノクトで書き出します。

架空店舗ノクトのチャネル別の内訳(イメージ)

チャネルセッション売上RPSbot除外数
Google検索4,00060万円150円260
Direct2,50030万円120円80
Meta広告1,80018万円100円210
Referral1,2009万円75円20
メールマガジン5008万円160円5

※ 上の表は説明のために置いた架空店舗の一例で、数値は丸めてあります。デモ画面が読んでいるのは見本ECのサンプルデータ(日々更新)なので、チャネルの顔ぶれも金額も上の表とは一致しません。

読み方は2つに分けます。セッションがどれだけ減ったかと、RPSが保たれたかどうかです。設定を入れる前の期間を同じ形で出して並べると、行ごとの変化が見えます。

Referralは、2節目の図で急に下がっていた行です。ところが、この表のセッションはbotを除いたあとの数です。図で急落して見えた分の大半は、RevenueScope がもともと除外していたbotでした。除外後のセッションはほとんど減っていないので、売上9万円もRPS75円も設定を入れる前と変わりません。bot除外数のほうは20まで下がっています。RevenueScope が除いていた分が、手前で消えたということです。この行に手を触れる必要はありません。

残るのはMeta広告です。セッションの減りはReferralよりずっと小さいのに、RPSは下がっています。bot除外数は210のままで、減っていません。消えたのはbot以外です。設定を見直す候補は、この1行だけになります。

FAQ#

よくある質問#

Q. bot対策を入れた直後にアクセスが減ったら、設定はすぐ戻すべきですか?

A. 先に同じ期間の日次売上を確認してください。売上の線が水平のまま続いているなら、消えたのは買わない訪問です。戻す理由はありません。売上まで下がっている行があれば、その行だけを見直します。

Q. GA4にも既知のボットを除外する仕組みがあると聞きました。CDN側の対策は不要ですか?

A. GA4の除外はレポートに出す前の処理で、サーバーへのアクセス自体は届いています[1]。CDN側は届く前で止めます。役割が別なので、両方が働いている前提で読んでください。

Q. 検索順位への影響は、どこを見れば分かりますか?

A. Google Search Consoleのクロール統計です。検証済みクローラーを外す設定にしていると[2]、巡回そのものが減ります。アクセス解析の画面に出るのは順位が変わったあとなので、こちらのほうが先に分かります。

Q. 社内からのアクセスが弾かれているかは、どう確かめますか?

A. 社内の回線から自社サイトを開き、その訪問がセッションとして記録されるかを見ます。共有回線やVPNは多くの利用者が1つの出口に集まるので、機械的なアクセスとして判定されることがあります[3]。

まとめ#

bot対策の後にアクセスが減ったら、開くのは同じ期間の日次売上です。売上の線が水平のまま続いているなら、消えたのは売上を持っていなかった訪問で、設定を戻す理由はありません。

ただし、全体のセッション数だけでは、落ちた行がどれかまで届きません。チャネルごとに前後を結べば、下がっている線が1本だけだという形が表示されます。検証済みクローラーを外していた場合は、影響が出るのがクロールの側なので、Google Search Consoleのクロール統計を別に見てください[2]。

弾かれたアクセスそのものは、計測タグより手前で終わります。だから相手は、通り抜けた側から推定します。売上とRPSが保たれたまま除外の件数だけが下がった行は、手を触れなくてよい行として外せます。残った行にだけ、設定を見直す時間を使ってください。

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参考文献#

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