見覚えのないドメインからの参照が増えて、セッションだけが伸びている。除外リストを探す前に決めることがあります。この記事では、参照元の名前でなく訪問の中身から実在性を判定する見方と、消す順番を扱います。
この記事のまとめ#
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参照元の名前では、実在の訪問かどうかは決まらない
新しいbotは毎日増えるので、ドメインの一覧では追いつきません
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判定は行動と分布の2段で行う
滞在・回遊・購入の有無を見たうえで、3つの偏りが同じ時期に重なったかを確かめます
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消すときは、取り消せる手から順に打つ
レポート側のフィルタは元に戻せます。参照の除外設定は過去のレポートを直しません。国単位のブロックは、実在の訪問まで巻き込みます
1.覚えのない参照元が増える2つの経路#
見覚えのない参照元は、実際にサイトへ来ている流入と、来ていないのに記録だけが残る流入に分かれます。切り分けに使う箇所は1つで、その参照元に紐づくページ閲覧が、実在するページに付いているかどうかです。
前者は、クローラーやスクレイパーが本当にページを開いている型です。計測タグも発火し、サーバー側のアクセスログにも同じ時刻のリクエストが残ります。訪問は実在していて、購入する意思がないだけです。
後者はゴースト参照元と呼ばれる型です。GA4には、HTTPリクエストでイベントを直接送信する経路も公式に用意されています[5]。ページに置いたタグを経由しなくてもデータは受け取られるので、ページが開かれていなくても計測データだけが届くことが起こりえます。この型では、記録されたページパスが自社に存在しなかったり、何年も前に削除したURLだったりします。同じ時刻のアクセスログを開いても、対応するリクエストは見つかりません。後半で扱うネットワーク側の遮断が効くのは前者だけです。
Thalesの調査は、世界のウェブトラフィックのうちbotが過半数を占めるようになったと報告しています[4]。見覚えのない参照元が増えること自体は、異常というより既定の状態です。チャネル評価が狂う仕組みはbotトラフィックとはで扱っています。
2.ドメイン名では決まらない#
「リファラースパム 一覧」で検索してたどり着いた人もいると思います。先に書くと、この記事に一覧は載せません。一覧では判定できないからです。
新しいbotは毎日生まれます。利用者の代わりにサイトを見にいくAIエージェントのように、悪意はないが人間でもない訪問も増えました。GA4は既知のbotとスパイダーを自動的に除外していますが、識別に使うのはGoogleの調査とIABが管理するリストの組み合わせです[2]。載っていないものは除外されません。一覧が古くなる速度のほうが、集める速度より速いのです。
だから判定の軸を、名前から行動へ移します。見るのは平均滞在時間、スクロールの有無、1セッションあたりの閲覧ページ数、購入の有無の4つ。購入まで到達している参照元は、名前が読めなくても実在の訪問です。逆に、滞在0秒台で1ページだけ読んで去る訪問が数百件続くなら、ドメインが有名かどうかは関係ありません。

除外という行為の性質にも触れておきます。行動指標は実在の訪問を疑わしい側へ寄せます。4G回線で表示に8秒かかって離脱した人の記録は、滞在が短く回遊もゼロで、自動巡回とよく似た形です。VPN経由の訪問も、同じ経路から連続して届くため怪しく見えます。判定を1つの指標に預けると、こうした訪問を切り捨てる側へ倒れます。急増をチャネルで検証する手順はアクセスが急に増えたにまとめました。
3.判定は1件でなく分布で行う#
分布のずれは単独では判定になりません。複数が同じ時期に重なったときだけ意味を持ちます。見るのは3つ。
まず、参照元が記録されない訪問の比率が平常時から離れているかどうか。ただしこの比率は、計測タグの設置漏れやアプリ内ブラウザ経由でも上がります。候補はGA4「Direct/(none)」が増える5つの原因に整理しました。
次に、特定URLへの集中です。流入の大半が、数年前に削除したページや公開した覚えのないパスに集まります。これも1本の記事がSNSで拡散した週には普通に起こります。
そして、特定の国への偏りです。1つの国が流入の大半を占めます。越境ECを伸ばす店舗にとっては、これは成果そのもの。国別の流入を売上で評価する見方は海外からのアクセスは売上になっているかで扱っています。
3つとも、単独なら通常の変動として説明がつきます。

4.消す順番を間違えない#
消す順番は、取り消せる手から取り消せない手へ、が正解です。飛ばすと、汚染と一緒に実在の訪問まで記録から消えます。
第一手はレポート側のフィルタです。表示の対象から外すだけなので、判定を誤っても解除すれば元に戻ります。限界は2つ。参照元が増えるたびに条件を足すことと、何件を外したのかがレポートのどこにも残らないことです。
次が参照の除外設定です。条件に一致したイベントに ignore_referrer が付き、その参照URLが参照トラフィックから外れます[1]。訪問そのものが消えるのではなく、参照元として集計されなくなるだけ。しかも設定はGoogleタグが動作する以降のデータに適用されるので、汚染された過去のレポートは直りません。操作手順はGoogle公式の説明[1]に譲ります。
データフィルタという設定もありますが、この用途には噛み合いません。受信したイベントを処理の対象から外す機能で、影響は恒久的。指定できる種類もデベロッパー・内部トラフィック・ウェブホスト名の3つで、参照元ドメインを条件にはできません[3]。
最後が国単位やCDN側でのブロックです。ここは不可逆で、実在の訪問を確実に巻き込みます。ブロックした国からの購入は、翌月からレポートにも売上にも現れません。

汚染を放置すると、社内の判断が鈍るだけでは済みません。そのレポートを渡された代理店や取引先の担当者からは、数値が壊れているようにしか読めません。
さきほどの3系列のグラフに戻ります。参照元不明の比率だけを取り出すと、上がり幅は月ごとのぶれの範囲に収まっています。3つが同じ週に揃って離れたから異常だと言い切れたのであって、別々のレポートで順番に開いていた人にとって、この週は何事もなく過ぎています。同時性の判定には3つが同じ期間・同じ画面に必要で、除外を始めた後はそこに「何件を外したのか」が加わります。
RevenueScopeの解決策
RevenueScope は、除外した件数を残したまま集計します。チャネルごとに、bot判定で除外したあとのセッション数と除外件数を同じ行で返します。売上とRPS(1セッションあたりの売上)も同じ行にあり、分母は除外後のセッションです。bot判定だけのチャネルも、セッション0・除外件数ありの形で残します。
架空のEC店舗Aの流入内訳を RevenueScope にたずねると(イメージ)
| チャネル | セッション | bot除外 | 売上 | RPS |
|---|---|---|---|---|
| Google検索 | 1,200 | 40 | 60万円 | 500円 |
| Direct | 400 | 20 | 8万円 | 200円 |
| Referral | 30 | 480 | 0円 | 0円 |
※上の表は説明のための一例です。デモ画面が読み込むのは見本ECのサンプルデータ(日々更新)なので、除外件数も金額も日によって変わります。
この事例の特徴は、Referralのところにあります。人間と判定されたセッションは30で、その裏の480件がBotとして除外されています。売上もRPSも0円。効いているのは0円ではなく、隣の480という数値です。0円の理由が「売れなかった」ではなく「人間がほとんど来ていなかった」だと、同じ行の中で説明がつきます。レポート側のフィルタでReferralを非表示にしていたら、この480も一緒に見えなくなります。
次の一手は2つ。この行をそのまま第三者への説明に使うことと、来月の予算判断を除外後のRPS(Google検索500円とDirect 200円)で行うことです。なお、広告費が課金される側の無効クリックは別の仕組みです。違いは無効クリック対策とbot除外の違いで整理しました。
FAQ#
よくある質問#
Q. リファラースパムのドメイン一覧はどこかにありますか?
A. 有志が公開しているリストはあります。ただし新しいものが毎日増えるので、一覧を起点にすると追い切れません。滞在・回遊・購入の有無で判定し、一覧は参考に留めてください。
Q. 参照の除外を設定すれば、過去のレポートも直りますか?
A. 直りません。設定はGoogleタグが動作する以降のデータに適用されます[1]。汚染された期間は、レポート側のフィルタで表示から外すか、比較対象から外します。
Q. GA4はbotを自動で除外していると聞きました。それでは足りませんか?
A. 既知のbotとスパイダーは自動的に除外されます。ただし識別はGoogleの調査とIABのリストの組み合わせで、除外された量を確認することもできません[2]。リストに載る前の訪問がどれだけ残っているかは、この設定の外側で判断します。
まとめ#
見覚えのない参照元が増えたとき、ドメイン名の一覧から入ると追いつきません。新しいbotは毎日増え、既知のリストは常に後追いになるからです。判定は滞在・回遊・購入の有無から始め、参照元不明への偏り・特定URLへの集中・特定国への偏りが同じ時期に重なったかを確かめます。
消すときは取り消せる手から順に打ちます。参照の除外設定は今後のデータにだけ効き、過去は直りません。国単位のブロックは実在の訪問まで巻き込みます。外した件数を記録に残しておけば、汚染を消したあとの数値を自分以外の人にも説明できます。
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