ChatGPTに「予算に合うものを選んで」と頼むと、AIが代わりに最適なWEBサイトを探して商品を買う。そんな買い物が広がり始め、サイトへの流入は増えています。しかし、増えた流入が本当に人なのか、ボットなのかは、アクセス数を眺めるだけではわかりません。
この記事は、その「増えた流入の正体」を切り分ける話です。結論を先に言うと、いまサイトに来る訪問者は、人・AIエージェント経由・ボットの3つが混ざっています。この3つを見分ける2つの手がかりと、切り分けて初めて守れる数字は何かを、順に追っていきます。あわせて、いまの技術では完全には分けきれない部分もお伝えします。
目次
この記事のまとめ#
- いまサイトに来る訪問者は、人・AIエージェント経由・ボットの3つが混ざっています。増えたアクセス数をそのまま「訪問者が増えた」と読むと、ボットの水増し分に判断が引っ張られます
- 切り分ける手がかりは2つです。出どころの目印(referrer)と振る舞い(滞在時間やページの読み方)です。この2つで、人・AI経由・善良ボット・悪性ボットをおおまかに分けられます
- 切り分けると、水増しされない本当の人間の数字と、AIエージェント経由という新しいチャネルの売上を守れます。ただし完全な識別はまだ業界的に確立しておらず、見えている半分を確実に押さえるのが現実的です
1. AIエージェントとボットがWEBサイトの新しい訪問者になっている#
結論から言うと、いま増えている流入には、人の訪問者に加えて、AIエージェントとボットという新しい訪問者が混ざっています。
まずボットです。ある調査では、世界のWebトラフィックの半分以上がボットで、人の割合を上回ったと報告されています[1]。この中には検索エンジンのクローラーのような善良なボットもいれば、商品情報やコンテンツを高速で抜き取る悪性のボットもいます。どちらも人ではないので、そのまま数えると訪問者数を水増しします。
次にAIエージェントです。ChatGPTのように、AIが人に代わって商品を探し、そのまま購入まで進む仕組みが登場しています[3]。さらに先を見て、AIエージェントを第一の読者としてWebを作り直すべきだという査読前の研究報告も出ています[2]。詳しくはAIエージェント時代のWeb|AIもWEBサイトの客になるで整理しています。慌ててサイトを作り替える必要はありませんが、WEBサイトに「AIの訪問者」が来始めているのは事実です。

上の図は、ある月の流入を4つのタイプに分けたイメージです。人が約7割を占める一方で、善良ボットと悪性ボットを合わせると約4分の1に達します。そしてAIアシスタント経由が数%。つまり増えたアクセス数の中には、購入意欲のないボットと、購入意欲があるかもしれないAI経由の訪問者が同時に紛れ込んでいます。この2つを人と一緒くたに数えると、施策の良し悪しを読み違えます。だから最初にやることは、流入を正しく切り分けることです。
2. 流入を切り分ける2つの手がかり#
結論から言うと、流入を切り分ける手がかりは2つです。出どころの目印(referrer)と、振る舞いです。
1つ目は、出どころの目印です。ブラウザは、どのページから来たかを示す目印(referrer)を渡すことがあります。AIアシスタント経由の流入がこの目印を渡してくれれば、「AI経由の客」として切り出せます。ところが、この目印は必ずしも渡ってきません。渡されなかった流入は、GA4では「Direct」や出どころ不明にまとめられます[4]。2026年に「AI Assistant」というチャネルが増えましたが、これも目印を渡してくれた一部しか拾えません。GA4のこのチャネルの注意点は増えたAI流入をGA4で正しく数えるための注意点にまとめています。
2つ目は、振る舞いです。人とボットは、サイトでの動き方が違います。人は数十秒から数分ページにとどまり、画像やボタンを読み込みます。一方、悪性ボットは滞在が一瞬で、大量のページを高速でめくり、表示の仕組み(JavaScript)を動かさないことが多い。この動き方の違いを見れば、目印が無くても人か機械かをおおまかに見分けられます。

上の図は、新しいセッションをこの2つの手がかりで振り分ける流れのイメージです。まず出どころの目印を見て、AI経由かを判定する。目印が無ければ、既知のクローラーかどうか、そして振る舞いが人間らしいかで、善良ボット・悪性ボット・人を分ける。考え方はこれだけです。ただし、この判定を毎日、全チャネル分やり続けるのは、手作業では骨が折れます。
3. 切り分けて守れる人間指標とチャネル別売上#
結論から言うと、流入を切り分けると、水増しされない本当の人間の数字と、AIエージェント経由という新しいチャネルの売上を守れます。
まず人間の数字です。ボットを除かないと、増えたアクセス数を実力以上に大きく見てしまいます。たとえばアクセス数が数か月で3割近く伸びたように見えても、ボットを除いた人だけで数えると、伸びはずっと控えめだった、ということが起こります。この差を知らずに「流入が伸びたから施策は成功」と判断すると、次の打ち手を読み違えます。ボットがチャネルの評価をゆがめる仕組みはボット流入がチャネル評価をゆがめる仕組みで詳しく扱っています。

上の図は、素のセッション数(上の線)と、ボットを除いた人だけの数(下の線)を月ごとに並べたイメージです。素の数字は勢いよく伸びて見えますが、人だけの数字はゆるやかにしか伸びていません。開いていく差の正体が、非人間の流入です。本当の母数は、下の線のほうです。
もう1つは、AI経由のチャネル別売上です。目印を渡してくれたAIアシスタント経由の流入は、独立したチャネルとして切り出せます。すると、そのチャネルが何セッションで、いくら売り上げたかがわかります。数は小さくても、よく買う新しい訪問者であることは珍しくありません。ここで注意したいのは、切り分けの考え方は簡単でも、ページごとの購入データと毎回ひもづけて全チャネル分を集計し直すのは、運用としてかなり重いことです。
4. いま完全には分からないこと#
いまの技術では完全には切り分けられない部分が残ります。
AIアシスタントは、必ずしも出どころの目印を渡しません。渡されなかった分は「Direct」に沈み、AI経由として拾いきれません。さらに、AIエージェントが自律的に選んで買った購買を、その売上まで丸ごと1つの経路として追い切る仕組みは、業界的にまだ確立していません。ボットの判定も完全ではなく、社内ネットワークやVPN経由の実ユーザーを機械と誤ることもあります。
だからこそ、「全部まるごと見える」とうたう方法には身構えたほうがいい。現実的なのは、見えている半分を確実に押さえることです。目印を渡してくれたAI経由は確実にチャネルにする。振る舞いで見分けられるボットは除く。そのうえで、残る不確実さは不確実なものとして扱う。AIを客として迎えるWEBサイトづくりの全体像は人間向けのWEBサイトか、AIエージェント向けのWEBサイトかで整理しています。
RevenueScopeの解決策
流入の切り分けでぶつかる壁は、結局いつも同じです。考え方は簡単でも、ボットを除いた人の数字と、AI経由のチャネル別売上を、毎回手作業で集計し直すのが重い。GA4のままでは、AI経由の多くが「Direct」に沈み、切り出す手間もかかります。
RevenueScope は、この切り分けを1画面で表示します。ボットを除いた後の人間セッションと、目印を渡してくれたAIアシスタント経由の流入を独立したチャネルとして分け、それぞれの売上まで並べて示します。下は化粧品ECを想定したデモデータでの一例です。
※イメージ。数値はサンプルデータのフィクションECによる一事例です。RevenueScope のMCP経由でChatGPT等のAIアシスタントに「先月の流入、人とボット・AIエージェントの内訳は?」と聞くと、こう返ってきます。
| 流入タイプ | 素のセッション | bot除外後(人間) | 売上 |
|---|---|---|---|
| 人間(検索・SNS・直接) | 33,400 | 33,400 | 4,180,000円 |
| AIアシスタント経由(referrerあり) | 2,900 | 2,900 | 512,000円 |
| 善良bot(検索エンジンのクローラー) | 6,300 | 0 | 0円 |
| 悪性bot・不明(referrerなし高速巡回) | 5,600 | 0 | 0円 |
| 合計 | 48,200 | 36,300 | 4,692,000円 |
この表の読みどころは2つあります。1つは、48,200セッションのうち約4分の1(11,900)が人ではなくボットだったことです。素の数字のまま施策を評価すると、この水増し分に判断が引っ張られます。もう1つは、AIアシスタント経由の2,900セッションが、1セッションあたり176円と、人間平均の125円を上回っていることです。数は小さくても、よく買う新しい訪問者だとわかります。
だから次の一手も決まります。ボットを除いた本当の母数で施策を評価し、AI経由を独立したチャネルとして育てる——たとえばAIに引用されやすい商品ページを厚くする、といった具合です。RevenueScope は、目印を渡してくれたAIアシスタント経由の流入を確実にチャネルとして切り出し、ボットを除いた後の人間の数字を守ることに特化します。AIエージェント経由の流入をどこまで自社の売上として数えるかはAIエージェントの購買と紹介売上の違いで詳しく扱っています。実際の切り分け画面はデモ画面で確認できます。
FAQ#
よくある質問#
Q. アクセス数が増えたのに売上が伸びないのは、なぜですか?
A. 増えた流入に、購入意欲のない情報収集目的のボットが混ざっている可能性があります。ボットは訪問者数を水増ししますが、購入はしません。だからアクセス数だけが伸び、売上は動かない、ということが起こります。まずボットを除いた人だけの数字で、本当に人の流入が増えているのかを確かめてください。伸びが人によるものなら、次は買われ方を見直す番です。
Q. AIエージェント経由の流入は、GA4でそのまま見分けられますか?
A. 一部しか見分けられません。AIアシスタント経由の流入は、出どころの目印を渡してくれないことが多く、渡されなかった分は「Direct」や出どころ不明にまとまります。2026年に「AI Assistant」というチャネルが増えましたが、これも目印を渡してくれた分だけを拾います。目印を渡してくれた流入を確実にチャネルとして切り出すこと、そして目印が無い分は取りこぼしうると承知しておくことが、現実的な向き合い方です。
Q. ボットは完全に除外できますか?
A. 完全にはできません。振る舞いを手がかりにボットをおおまかに見分けられますが、社内ネットワークやVPN経由の実ユーザーを機械と誤ることもあります。逆に、人のふりが巧妙なボットを取りこぼすこともあります。完全な識別を目指すより、見分けられる分を確実に除いて人の数字を守り、残る不確実さは不確実なものとして扱うのが現実的です。
まとめ#
いまサイトに来る訪問者は、人だけではありません。人・AIエージェント経由・ボットの3つが混ざっています。増えたアクセス数をそのまま「訪問者が増えた」と読むと、ボットの水増し分に判断が引っ張られ、次の打ち手を読み違えます。
切り分ける手がかりは2つ。出どころの目印(referrer)と、振る舞いです。この2つで流入を分けると、水増しされない本当の人間の数字と、AIエージェント経由という新しいチャネルの売上を守れます。ただし完全な識別はまだ確立しておらず、目印を渡さないAI流入や、巧妙なボットは取りこぼしが残ります。だから狙うのは「全部見える」ではなく「見えている半分を確実に押さえる」こと。まずは自分のサイトの流入を、ボットを除いた人だけの数字で1か月ぶん見直すところから始めてみてください。増えた流入の正体が、勘ではなく数字で見えてきます。
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