「転送量だけが急に増えたのですが、Bot攻撃でしょうか?」。サーバーの管理画面を見た人がまず口にするのがこの問いです。ところがGA4を開くとセッションは横ばいで、増えた分を裏づける訪問者が見当たりません。理由は、GA4の計測がどこから始まるかにあります。
目次
この記事のまとめ#
- Cloudflareが同じ顧客群を1年間追跡した集計では、AIと検索のクローラーからのリクエストが18%増えた[1]
- GPTBotはリクエストが305%増でクロールシェアが2.2%から7.7%へ。一方でClaudeBotは46%減と、方向は一様ではない[1]
- GA4の計測はサイトの全ページにGoogleタグを設置するところから始まる[4]。そのタグのJavaScriptが動かないクローラーはセッションとして残らない
- 既知botの除外はGA4が自動で適用する。無効にする設定はなく、除外された件数を見る画面もない[3]
- 主要レンタルサーバー3社は転送量に課金しない。ただし負荷が過大な場合の制限は3社とも明記している[9][10][11]
1. アクセスは横ばい、転送量だけ急増|原因はGA4の外にある#
月曜の朝にサーバーの管理画面を開くと、転送量のグラフが先週の倍近くまで伸びている。障害の通知は来ていない。GA4のセッションは前の週とほぼ同じ形で、売上もいつもどおり。増えたデータ量に見合う訪問者が、どこにも見当たりません。
最初に疑うのはAIクローラーです。Cloudflareが同一の顧客セットを1年追った集計では、AIと検索のクローラーからのリクエストが18%増えました。2024年5月から2025年5月にかけての数値です[1]。増加は特定のbotに偏っています。OpenAIのGPTBotはリクエストが305%増え、クロール全体に占める割合は2.2%から7.7%へ上がりました[1]。
ただし、すべてのクローラーが一斉に増えているわけではありません。同じ期間にAnthropicのClaudeBotは46%減り、シェアは11.7%から5.4%へ下がっています。ChatGPT-Userは0.1%から1.3%へ上がりました[1]。増えているbotと減っているbotが同じ表に載っています。

目的にも偏りがあります。Cloudflareが目的別に分類した集計では、クロールのおよそ80%が学習データの収集で、ユーザーの指示によるその場の取得は5%未満でした[2]。取りに行くのはHTMLや画像そのものなので、訪問者が増えていなくても転送量は増えます。
もしGA4のセッションも一緒に増えているなら話は別で、JavaScriptを実行するアクセスが混ざっている可能性があります(GA4のセッション自体が増えている場合の切り分け)。
2. なぜGA4に反映されないのか|計測の起点はJSスニペット#
GA4に何も出ないのは、GA4の計測がJavaScriptから始まるからです。
Googleの公式ヘルプは、計測を始める手順を「サイトの全ページにGoogleタグを設置する」と説明しています[4]。そのタグのJavaScriptが動いて、初めて1回のセッションとして記録が作られます。AIクローラーの多くはHTMLを取得して中身を読みますが、埋め込まれたJavaScriptまでは実行しません。サーバーはファイルを送り出して転送量に計上しているのに、GA4には対応する行がない。GA4が取りこぼしているのではなく、記録が作られる条件を満たしていません。
加えてGA4には、既知のbotを自動で除外する仕組みがあります。IABの既知botリストとGoogle独自の判定に一致したアクセスは、レポートから自動的に取り除かれます。この除外は無効にできず、何件が除外されたかを表示する画面もありません[3]。GA4の中には、確認するための手がかりが残りません。
手がかりはサーバーのアクセスログにあります。ログにはリクエストごとのユーザーエージェント(UA、アクセス元が名乗る識別子)が残り、主要各社は自社のクローラーのUAを公開しています。OpenAIはGPTBot・OAI-SearchBot・ChatGPT-Userなどを用途別に示しています[5]。AnthropicはClaudeBot系のクローラー名を、PerplexityはPerplexityBotとPerplexity-Userを公開しています[6][7]。Google-Extendedだけは独自のUAを持たず、Googleのクローラーを制御するトークンとして働きます[8]。
ログを見れば、増えた転送量がどのクローラーによるものかまでは分かります(増えた流入が人かボットかの見分け方)。ただし、クローラー名が分かることと、売上に何が起きているかが分かることは別の話です。
3. 「転送量無制限」の実際|慌てて増強する前に#
さくらレンタルサーバは「転送量制限はありません」と明記しています。ただし、プログラムの負荷が高い場合は制限されるとも書いています。返るのは「503 Service Temporarily Unavailable」の警告です[10]。止まる理由は転送量そのものではなく負荷です。
3社の書きぶりは近い形です。エックスサーバーは、転送量の課金はなく無制限と明記しています[9]。ロリポップも転送量無制限としたうえで、他の利用者に影響が出るほどの負荷がかかる場合は制限を行うと書いています[11]。

確定していないことが1つあります。何GBを超えたら警告が届くのか、という閾値は3社とも公開していません。「◯GBで警告メールが飛ぶ」は公式の記載から読み取れないので、上位プランへの移行を検討するなら契約中の管理画面と規約を先に確認してください。
転送量の急増でまず動くのは負荷とコストの話で、売上の毀損とは別の問題です(広告の無効クリック対策とbot除外の違い)。ただし「負荷の話だから慌てなくていい」と言えるのは、人間のセッションと売上が無事だと数字で確認できたときだけです。セッションと売上そのものはGA4にも出ていますが、そこにタグを実行するbotが混ざっていないかは、除外の内訳が表示されない以上GA4の中では確かめられません。
4. 止めるか、許容するか|robots.txtの効き方と限界#
Cloudflareが2025年8月の第1週に集計した比では、AnthropicのクローラーのクロールとAIからの送客の比は約50,000対1でした。OpenAIは887対1、Perplexityは118対1です[2]。1年間の増加を見た先ほどの集計とは別の期間で、いずれも全業種をならした平均値です。

取得されるデータ量が先に増え、戻ってくる訪問はごく少数です。ここで打ち手が2つに分かれます。拒否するか、通すか。
止める側の道具はrobots.txtです。OpenAIとAnthropicは、自社のクローラー名をディレクティブで指定して拒否できると公式に案内しています[5][6]。学習用と回答用を分けて指定することもできます。Google-Extendedは、拒否してもGoogle検索の掲載順位には影響しないとGoogleが明記しています[8]。
ただし、これですべてが止まるわけではありません。Perplexity-Userはユーザーの指示を受けてその場でページを取りに行くため、robots.txtに原則従わないとPerplexity自身が述べています[7]。IPアドレスでの遮断も推奨しないと、Anthropicが自社ドキュメントで書いています。塞ぐとrobots.txtを読み取れなくなり、拒否の指定そのものが届かなくなるためです[6]。AIクローラーはrobots.txtの指定を無視することも多いと、Cloudflareは報告しています[2]。公式の記載は出発点として扱い、拒否を書いたあとにログで効いているかを見ることになります。
止めれば転送量は減り、AIの回答に引用されて入ってくる訪問も減ります(Cloudflareが始めたAI通行料の議論)。50,000対1は全業種の平均で、自社の判断材料にはなりません。決めるのに要るのは、自社のサイトでAI経由の流入がいくらの売上になっているか、その1点です。
RevenueScopeの解決策
流入元の一覧を開くと、チャネルごとのセッション数と売上が1画面に出ます。bot除外数の列があり、値が入っているチャネルは判定で取り除かれたアクセスがそれだけあったという意味です。除外したあとに残るセッションと売上が、人間だけの数字です。
RevenueScopeのbot判定は振る舞いベースで、タグを実行したbotを人間の指標から取り除きます。除外件数も表示するので、セッションが0でも除外数が入っていれば、流入が来ていないのではなくbotだけが来ていた、と読み分けられます。RevenueScopeは売上の計測に特化しています。
チャネル別の一覧では、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityといった回答経由の流入を独立した行として扱います。セッションと売上、RPS(Revenue Per Session=1訪問あたりの売上)が同じ行に並びます。AI経由でいくら売れているかを金額で確認できます(アクセスが増えても売上が伸びないときに見る数字)。
転送量が増えた月に、こう出る#
架空店舗Aの1か月分を一例として置きます。
| チャネル | セッション | 売上 | RPS | bot除外 |
|---|---|---|---|---|
| 検索 | 8,000 | 240万円 | 300円 | 400 |
| 広告 | 2,000 | 80万円 | 400円 | 120 |
| Direct | 1,000 | 30万円 | 300円 | 30 |
| AI経由 | 600 | 30万円 | 500円 | 50 |
※ この4行は架空店舗Aのために作った数字で、実在の店舗のものではありません。デモ画面が読みに行くのは見本ECのサンプルデータ(日々更新)なので、表と同じ値は出てきません。
読み取れるのは2点です。botは来ているが、除外後も検索8,000セッション・240万円が残っている。そしてAI経由はセッション600と少ないのに、RPSは500円で検索の300円を上回っている。転送量が増えても売上は無事で、AI経由がいちばん効率の良い入口です。次の一手は、学習用のクロールだけを拒否して回答用は通し、AI経由のセッションと売上を翌月も同じ画面で見ることです。
FAQ#
よくある質問#
Q. robots.txtで止めれば転送量は減りますか?
A. 記載に従うクローラーの分は減ります。ただしPerplexity-Userのようにユーザーの指示で取りに来る種類は、robots.txtに原則従わないと公式に説明されています[7]。IPアドレスでの遮断もAnthropicは推奨していません[6]。どれだけ減るかは来ていた中身しだいなので、拒否を書いたあとにサーバーの転送量グラフで効き目を確かめてください。
Q. GA4の設定でbot分を見えるようにできますか?
A. できません。GA4の既知bot除外は自動で適用され、無効にする設定はなく、除外された件数を表示する画面もありません[3]。転送量の内訳が分かるのはサーバーのアクセスログだけです。計測ツールで確認できるのは、タグを実行したbotの除外数と、除外後の人間のセッション・売上までです。
Q. 転送量が増えただけなら、売上は気にしなくていいですか?
A. 人間のセッションと売上が動いていないと確認できていれば、その月は負荷への対応に集中して構いません。確認が取れないまま放置すると、同じ時期に起きていた売上の変化を見落とします。順番は、売上を確かめてから負荷対応です。
まとめ#
サーバーの転送量だけが増えてGA4が横ばいのとき、GA4の中に答えはありません。計測はサイトに設置するGoogleタグから始まるので[4]、そのJavaScriptが動かないアクセスは記録に残りません。既知botの除外も件数が見えません[3]。クローラー名が分かるのはアクセスログです。
転送量の急増は負荷とコストの問題で、主要3社は課金しない一方、負荷が過大な場合の制限は明記しています[9][10][11]。止めるか通すかを決める材料は、全業種平均ではなく自社のAI経由の売上です。
今日やることは1つ。転送量のグラフとGA4を見比べる前に、bot除外後の人間のセッションと売上、AI経由の売上、この2つを手元に置いてください。
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参考文献#
- [1] Cloudflare 「From Googlebot to GPTBot」 2025
- [2] Cloudflare 「A deeper look at AI crawlers」 2025
- [3] Googleアナリティクス 「Known bot-traffic exclusion」 2026
- [4] Googleアナリティクス 「Set up Analytics for a website and/or app」 2026
- [5] OpenAI 「Overview of OpenAI crawlers」 2026
- [6] Anthropic 「Does Anthropic crawl data from the web?」 2026
- [7] Perplexity 「Perplexity Crawlers」 2026
- [8] Google検索セントラル 「Google crawlers」 2026
- [9] エックスサーバー 「転送量について」 2026
- [10] さくらのレンタルサーバ 「転送量について」 2026
- [11] ロリポップ! 「転送量について」 2026



