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アクセス前年比マイナス30%|自社の失敗か環境の変化か?

検索からのアクセスが前年同月比でマイナス30%。報告を書く前に決めるのは、掲載順位を失ったのか、検索の環境が変わったのかの切り分けです。Google Search Consoleの表示回数を見て、次に掲載順位を確かめる。この2つを前年同月と比べれば、施策の失敗かどうかはほぼ判別できます。架空店舗の一例では、全体が30%減る裏側で指名キーワードは合計横ばい、非指名キーワードだけが約4割落ち、前年の首位が指名側へ入れ替わっていました。ただし切り分けが答えるのは原因の帰属までです。減った流入のどれが売上を失わせたのかを、クリックが減ったキーワードの着地ページと、そのページの実測売上でつないで、回復の順番に変えるところまで整理します。

アクセス前年比マイナス30%|自社の失敗か環境の変化か?

Google検索からのアクセスが前年同月比でマイナス30%。この数値を報告する前に、確認すべきことが1つあります。原因が自社の施策にあるのか、Google検索の環境が変わったのかです。取り違えると、直す必要のないページを1か月かけて作り直すことになります。

この記事のまとめ#

  • 前年割れを見た日にページのリライトから入ると、掲載順位を失っていない場合は打ち手が空振りする
  • 切り分けは、Google Search Consoleの表示回数を見て、次に掲載順位を確かめれば足りる。順位が守れていれば施策の失敗ではない
  • 環境の変化には2つの目印がある。AI経由の流入の有無と、指名キーワードと非指名キーワードの減り方の差
  • 架空店舗の一例では検索クリックが前年同月比マイナス30%。指名系は合計で横ばいのまま非指名系だけが約4割減り、首位のキーワードが入れ替わっていた
  • Google Search Consoleが答えるのは原因の帰属まで。どの減少が売上をいくら失わせたかは、減ったキーワードの着地ページと、そのページの実測売上をつないで初めて順番がつく

1. 前年割れの日に最初に選ぶ打ち手は「去年に戻す」#

前年割れを見た日に最初に選ぶ打ち手は、去年やって今年やめた施策の再開です。

止めた広告を戻す。更新の頻度を去年の水準に上げ直す。書き換えたタイトルを元に戻す。去年の状態に近づければ去年の数値に戻るはずだ、という考え方です。

この初手は、外れたときに何も分からないまま終わります。環境側が変わっていれば、去年と同じ入力に去年と同じ結果は返りません。しかも施策の再開には費用と手間がかかり、効いたかどうかの判定にさらに1か月かかります。2か月を要して、原因箇所が分からないまま前年比の報告をもう一度作成することになります。

確かめる順番は決まっています。掲載順位を失ったのかどうかが先です。順位が前年とほぼ同じなら、コンテンツの質が落ちたわけではありません。同じ順位に表示され続けていて、それでもアクセスが減っているなら、変わったのは自社のページとは別の要因によるものです。

順位が守れているのにクリックだけが減る現象そのものは、検索順位は同じなのにクリックが減るで詳しく扱っています。この記事では、その1つ手前の切り分けから始めます。

2. 切り分けの手順は表示回数から始まる#

クリックが減ったことを起点に、表示回数を見て、次に掲載順位を確かめます。前年同月と比べるのはこの2つです。

Google Search Consoleの検索パフォーマンスレポートには、この3つとクリック率が表示されます[1]。表示回数はサイトへのリンクがGoogleで閲覧された頻度、クリック数はそのリンクがクリックされた頻度、平均掲載順位はリンクの相対的なランキングです[2]。

検索クリックが前年同月比で減った状態を起点に、原因が自社要因か環境要因かを3つの質問で判定する分岐図。1つ目は表示回数が減ったかで、減っていた場合も減っていない場合も、次に掲載順位が落ちたかを確認する。順位が落ちていれば自社要因で、順位とインデックスの回復やリライトが候補に上がる。表示回数が減っていて順位は保てていれば、検索需要か露出面の変化。表示回数が横ばいで順位も保てていれば、3つ目のAI経由の流入が増えたかを見て、増えていれば環境要因、増えていなければ検索結果での見え方を確認する流れを示した図

順番に意味があります。表示回数は、検索結果に出た回数そのものです。ここが大きく減っていれば、選ばれなかったという話ではなく、そもそも表示される機会が減ったという話になります。

ただし、表示回数が減っていたからといって、その場で環境側と決めることはできません。掲載順位が大きく落ちたときや、ページがインデックスから外れたときも、表示回数はまとめて減ります。表示回数が減っていた場合こそ、掲載順位を先に確認してください。順位を保ったまま表示回数だけが減っていれば、そこで環境側です。検索する人が減ったか、検索結果に表示される面が変わったかのどちらかで、どちらも自社のページの質とは別の要因によるものです。順位のほうが落ちていれば、直す先は自社のページになります。

表示回数が前年と横ばい、もしくは増えていて、クリックだけが減っている場合は、検索結果の中で選ばれなくなっています。AIの要約が検索結果の上部で答えを出し切っている場合や、他の検索結果の機能が上を占めている場合に、この形になります。表示回数のほうがむしろ増えているときの読み方は、サーチコンソールの表示回数が急増|AIモードの混入で扱っています。

掲載順位を確かめるのは、ここが落ちていた場合にだけ自社側の話になるからです。順位を失っていれば、競合が上位に来たか、ページの評価が下がったかのどちらかです。ここまで来て初めて、リライトや作り直しが打ち手の候補に上がります。逆に順位が守れているなら、施策の失敗ではありません。

前提を1つ添えます。Google Search Consoleが集計するのはGoogle検索だけで、BingやYahoo!検索からの流入は含まれません。またここでのクリック数と、アクセス解析ツールのセッション数は集計元が違うため、完全には一致しません。切り分けに使う分には支障がありませんが、報告書に載せる数値としては別のものです。

3. 環境の変化を確かめる2つの目印#

環境が変わったかどうかは、2つの目印で確かめられます。AI経由の流入と、指名キーワードと非指名キーワードの減り方の差です。

1つ目はAI経由の流入です。ChatGPTやGeminiなどの回答からサイトに届いたアクセスが、前年には無く今年はある。この場合、読者の入口が検索結果の外側に増えたことになります。検索からのアクセスが減っていても、サイト全体の訪問が同じだけ減っているとは限りません。

ただし、AIアシスタントは参照元の目印を必ず渡すわけではありません。ここで捕捉できるのは目印を残した分だけです。この数は、実際のAI経由の流入の下限として読みます。GA4側でこの流入がどう扱われるようになったかは、GA4のリファラルが5月から急減にまとめています。

2つ目は減り方の差です。自社の施策が原因なら、順位を失ったページに紐づくキーワードがまとまって落ちます。減少が特定のページの周辺に集まる形です。環境の変化なら、落ち方の形が変わります。答えが数行で済む調べ物のキーワードは、AIの回答だけで用が足りてしまいやすく、先に減りやすい位置にあります。一方で店名や商品名で探す指名キーワードは、その店のページに行くこと自体が目的なので、残りやすくなります。

逆に指名キーワードのほうだけが落ちている場合は、ここまでとは別の原因です。その形は指名検索が減った原因で扱っています。

Googleも、AI体験を含む検索での成果についてこう説明しています。クリック数を優先しすぎると、本当に重要な検索からのアクセスの価値を十分に引き出せない可能性がある。そのうえで、販売や登録といったコンバージョン指標も合わせて考えるよう案内しています[3]。前年比の報告をクリック数だけで組むと、この案内とは逆の方向へ進みます。

4. 期間を分けると、首位が入れ替わっていた#

同じ形の表を期間で分けて作ると、減り方が均等でないことが分かります。

架空店舗T(コーヒー豆の通販)の一例です。検索キーワードごとのクリック数を、前年同月と今年同月に分けるとこうなります。

検索キーワード種別前年同月今年同月
コーヒー豆 おすすめ非指名3,0001,200
コーヒー豆 保存方法非指名2,2001,300
深煎り コーヒー豆 通販非指名1,6001,300
コーヒー豆 挽き方非指名1,2001,200
T珈琲指名1,4001,600
T珈琲 定期便指名600400
合計全体10,0007,000

合計は10,000から7,000へ、前年同月比でマイナス30%です。ここまでは冒頭の症状のとおりです。

中身は均等ではありません。前年の首位は「コーヒー豆 おすすめ」で3,000クリックでした。今年は1,200まで落ち、首位は指名キーワードの「T珈琲」1,600に入れ替わっています。種別でまとめると、非指名系は8,000から5,000へ約4割減。指名系は2,000のままです。

架空店舗Tの検索クリック数を前年同月から今年同月へ結んだスロープチャート。非指名キーワードの合計が8,000から5,000へ約4割減少する一方、指名キーワードの合計は2,000から2,000で横ばい。全体では10,000から7,000へマイナス30%だが、減少分の3,000はすべて非指名側から出ていることを示す図(架空の一事例)

減少の3,000は、すべて非指名系から出ています。指名系は合計では2,000のまま横ばいです。ただし内訳では「T珈琲」が200増え、「T珈琲 定期便」が200減っており、合計の横ばいはこの2つが打ち消し合った結果でした。店の名前で探す人そのものは減っていません。落ちたのは、まだ店を知らない人が調べ物のために入ってきていた経路のほうです。この形のとき、原因はページの出来ではありません。

気をつけるのは、今年の表だけで判断しないことです。今年の表を単独で見ると、指名に強く調べ物には弱いサイトに見えます。1時点の表を根拠にコンテンツや予算の配分を決めてしまうと、来年また非指名側が戻ったときに同じ判断をやり直すことになります。判断に使うのは1枚の表ではなく、同じ形で作った2つの期間の差のほうです。

なお、アクセスより先に売上のほうが崩れている場合は、切り分けの入口が変わります。その順番はECの売上が落ちた原因の特定法にまとめています。

答えはもう出ています。非指名の調べ物のキーワードが落ちた、が原因です。ただし前年比の資料に書くべきなのは原因ではなく、回復に手をつける順番のほうです。上の表からは、減った3,000クリックがいくらの売上を連れて行ったのかが読み取れません。クリック数の隣に、そのクリックがどのページへ着地して、そのページがいくら売っていたのかという情報が要ります。

RevenueScopeの解決策

減った流入のどれが売上を失わせたのかは、着地したページごとの実測売上で順番がつきます。RevenueScope は自社サイトに置いた1行のタグで購入を計測し、その売上を、買った人が最初に入ってきたページに割り当てます。Google Search Consoleをつなぐと、検索キーワードごとのクリック数の隣に、そのキーワードで実際に着地しているページを表示します。クリックが減ったキーワード、その着地ページ、そのページの実測売上、という順にたどれます。

金額が実測で出るのはページ単位で、キーワード単位ではありません。1つのページには複数のキーワードから人が入ってくるため、そのページの売上をキーワードごとに割り振ることはできません。着地売上は入口のページへの割り当てなので、サイト内を回遊してから買われた分も入口のページに寄ります。

ページ単位では、掲載順位の推移を日次・週次のグラフで表示します。順位を守れているのか、じわじわ下がっているのかを、同じ画面で確認できます。AI経由の流入も、チャネルの1つとして売上つきで表示します。

ChatGPTやClaudeからRevenueScopeに接続すると、AIが自社ECのデータを読み取ったうえで回答します。難しい設定やSQLはいりません。「検索クリックが落ちているページを、着地売上の大きい順に並べて」と聞けば、着地ページと実測の着地売上が並んで返ってきます。RevenueScopeが自動でつける比較は、直前の同じ長さの期間との差です。

前年比の資料に載せる1枚は、ここから自分で組みます。前年同月と今年同月のクリック数はGoogle Search Consoleから、今年の着地売上はRevenueScopeの実測から、前年の着地売上は前年の記録から置きます。架空店舗Tで組むと、こうなります。

着地ページ(流入した検索キーワード)クリック 前年→今年着地売上 前年→今年失った売上
定期便の申込ページ(T珈琲 定期便)600 → 40036万円 → 24万円12万円
深煎り豆の商品一覧(深煎り コーヒー豆 通販)1,600 → 1,30048万円 → 39万円9万円
おすすめ紹介の記事(コーヒー豆 おすすめ)3,000 → 1,2009万円 → 4万円5万円
保存方法の記事(コーヒー豆 保存方法/コーヒー豆 挽き方)3,400 → 2,5003万円 → 2万円1万円

※ 上の表は説明のために組んだ一例(イメージ)です。ボタンの先の画面は見本ECのサンプルデータ(日々更新)を集計しているため、ページも金額も別のものが表示されます。

一番下の行が、金額をページ単位でしか出せない理由をそのまま表しています。保存方法の記事には「コーヒー豆 保存方法」と「コーヒー豆 挽き方」の2つから人が入ってきていて、この2万円をどちらの語の手柄にするかは分けられません。分かるのは、この記事に着地した人が今年2万円買った、というところまでです。

この事例の特徴は、クリックを最も失ったページと、売上を最も失ったページが別だという点にあります。おすすめ紹介の記事は1,800クリック減っていますが、失った売上は5万円でした。一方の定期便の申込ページは200クリックしか減っていないのに、12万円を失っています。1クリックあたりに直すと、前者は約28円(30円弱)、後者は600円です。

次の一手は、「T珈琲 定期便」で着地する申込ページの順位を守る側から着手することです。指名系は合計では横ばいでしたが、失った売上でいちばん大きいのはこのページでした。クリックの減少幅で優先順位をつけると、この順番は逆になります。保存方法の記事は900クリック減っていますが、失った売上は1万円です。着手は後ろに回せます。

FAQ#

よくある質問#

Q. 前年同月と前月、どちらと比べるべきですか?

A. 季節性のある商材なら前年同月です。前月との比較は、季節の山と谷を原因と取り違えます。ただし前年同月には、去年の一時的な出来事も含まれます。セールや外部メディアでの紹介があった月なら、その分を差し引いて読みます。

Q. 表示回数も掲載順位も落ちていないのに、クリックだけが減っています。何が起きていますか?

A. 検索結果の中で選ばれなくなっています。AIの要約が上部で答えを出し切っているか、他の検索結果の機能が上を占めているかです。この場合、ページを作り直しても表示回数は増えません。確かめる先は、AI経由でどれだけの訪問と売上が届いているかのほうです。

Q. キーワードごとの売上は出せますか?

A. 金額が実測で出るのはページ単位です。1つのページには複数のキーワードから人が入るため、売上をキーワードに割り振ることはできません。ページ側の着地売上は実際の購入を入口ページに割り当てた実測値で、回遊してから買われた分も入口に寄ります。キーワード側にも推定売上は並びますが、これは検索経由の1セッションあたり売上にクリック数を掛けた概算で、過小に出る方向に振れます。回復の順番を決めるときは、ページ側の着地売上を使ってください。

Q. 粗利で判断したいのですが、できますか?

A. RevenueScopeが計測するのは売上で、原価と粗利は扱いません。粗利率が商品ごとに大きく違う場合は、売上での順番を出したうえで、自社の粗利率を掛けて最終判断してください。

まとめ#

前年割れの原因は、掲載順位を失ったのか、検索の環境が変わったのかで分かれます。表示回数を見て、次に掲載順位を確かめる。この2つを前年同月と比べれば、どちらかはほぼ決まります。順位が守れているなら、施策の失敗ではありません。

環境の変化には形があります。AI経由の流入が前年に無く今年はある。答えが数行で済む調べ物のキーワードのほうが先に落ち、指名は残りやすい。架空店舗Tの一例では、全体がマイナス30%の裏側で、非指名系だけが約4割減り、首位が非指名から指名へ入れ替わっていました。

ここまではGoogle Search Consoleで確かめられます。答えが出ないのは、その先です。クリックが減ったキーワードの着地ページは、いくら売っていたページだったのでしょうか?クリックの減少幅と、失った売上の大きさは一致しません。

やることは1つだけです。今週は前年比の資料を作る前に、クリックが減ったキーワードの着地ページを、そのページの売上の大きい順に確認してください。回復に手をつける順番は、そこで決まります。

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