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アクセス数から売上を予測する|平均でなくチャネル別RPSで

来月の売上をアクセス数から見積もる計算は、期待セッション数にセッションあたり売上(RPS)を掛けるだけです。それでも外れるのは、掛ける相手をサイト全体の平均RPSで置いているから。平均は流入の構成比で決まる数値なので、構成比を変える施策を打つほど当たらなくなります。チャネル別にRPSを分けて重みを作り、セッション側は検索の伸びしろから置いて予測をレンジで持つ考え方を、専門用語を避けて整理します。

アクセス数から売上を予測する|平均でなくチャネル別RPSで

来月の売上を、アクセス数から見積もりたい。計算そのものは、期待するセッション数にセッションあたりの売上を掛けるだけです。それでも予測が外れるのは、掛けるRPSをサイト全体の平均で計算しているからです。計算方法を変えるだけで、精度は変わります。

この記事のまとめ#

  • 売上予測の型は「期待セッション数 × セッションあたり売上(RPS)」。掛け算は簡単で、外れる原因のほとんどはRPSの計算方法にあります
  • サイト全体の平均RPSは、流入の構成比で決まる数値。流入を増やす施策ほど構成比を変えるので、平均を固定した予測は施策を打つほど外れます
  • 精度を上げる方法は2つ。チャネル別のRPSで重みを作り、増分に当てる値は新規側のRPSで補正します。新規とリピーターでは2倍前後の差が出ることがあります
  • セッション側は希望でなく根拠で置きます。検索で4位から20位に留まるキーワードの取りこぼしが増分の根拠になり、予測は1点でなくレンジで持ちます

1. 同じアクセス+10%でも、来月の売上は同じにならない#

アクセスが同じ10%増えても、どこから増えるかで売上の増え方は変わります。サイト全体の平均RPSを1つ置いた予測は、この違いを織り込めません。

計算そのものは電卓で足りる#

売上予測の型は掛け算です。来月の売上=来月の期待セッション数×RPS。RPSはRevenue Per Sessionの略で、売上をセッション数で割った数値です。1回の訪問がいくら稼ぐかを表します(詳しくはRPSとは|計算式とGA4での出し方)。ここまでは電卓で足ります。難しいのは、そのRPSに何を置くかです。

平均RPSは「構成比は変わらない」という仮定#

サイト全体の平均RPSは、セッションの多いチャネルほど強く効く平均です。だから流入の内訳が変われば、平均そのものが変わります。ここに前月の平均をそのまま置くのは、「来月も構成比は今月と同じ」と仮定していることになります。

ところが、流入を増やす施策こそ構成比を変えます。広告を増やせば広告の比率が上がり、SEOが効けば検索の比率が上がります。仮定が崩れる方向へ、自分から進めているわけです。予測が施策を打った月にかぎって外れるのは、これが理由です。

平均で置く方法が当たる条件#

サイト全体の平均RPSを手で計算して見積もる方法にも、当たる条件はあります。1つ目は、流入の構成比が前月から大きく変わらない月であること。2つ目は、cookieが消えた再訪を新規として数え直していないこと。3つ目は、botの訪問がセッション側に混ざっていないこと。裏を返せば、施策を打った月、cookie削除の影響が読めない月、流入が急に増えた月は、この前提から外れます。予測を立てたい月は、たいていこのどれかに当たります。

なお本記事で扱うのは、予測を立てる前の話です。立てた予測が外れた後に、どのチャネルが影響したかを切り分ける手順はアクセス増なのに売上が伸びない|見る数字はRPSで整理しています。

サイト全体の平均RPSで置いた予測が、増分の来るチャネル次第で大きく外れることを示した一例。同じセッション増でも、効率の高いチャネルから増えるか低いチャネルから増えるかで見込める売上が開く。説明用のイメージ

2. 予測の精度は、RPSをどこまで分けたかで決まる#

精度を決めるのは計算式の複雑さではなく、RPSをどこまで分けたかです。チャネル別に分け、増分に当てる値を新規側で補正すると、予測の重みが実態に近づきます。

チャネル別のRPSで重みを作る#

まずチャネル別です。来月の売上を、チャネルごとの期待セッション数×そのチャネルのRPSで足し上げます。

例えばGoogle検索が10,000セッションでRPS80円、Google広告が5,000セッションでRPS40円のECサイトを考えます。今月の売上は80万円と20万円で合計100万円、平均RPSは約67円です。ここで来月、Google検索が2,000セッション増える見込みだとします。検索のRPS80円で置けば増分は16万円、平均の67円で置けば約13万円。チャネルを分けなかった。それだけで3万円ずれます。

差は流入が偏るほど大きくなります。平均の3分の1しかRPSのないチャネルから増えるなら、平均で置いた予測は3倍近い過大になります。

増分に当てるのは新規側のRPS#

チャネル別まで分けても、もう1つ補正が残ります。新規とリピーターではRPSが2倍前後違うことがあり、リピーターは購入率も客単価も高いぶんRPSが高く出ます。そして流入施策で増えるのは、たいてい新規側です。リピーターを含んだRPSを新規で増えるセッションにそのまま当てれば、予測は過大になります。新規とリピーターを分けていないECサイトは珍しくなく、重みを作る以前に分解そのものが存在していない状態です。測り方と、cookieが消えて新規が水増しされる落とし穴は新規とリピーターで売上を分ける|計測の落とし穴にまとめています。比べる相手は他社の業種平均ではなく、自社の中のばらつきです。この見方は業種別RPSの目安|他社平均より自社の中で見るで整理しています。

考え方は簡単、手動でデータ整理し直す反復が重い#

ここまでの考え方は簡単です。分けて、重みをつけて、足す。それだけです。重いのは、これを毎月そろえ直すことです。GA4も流入をチャネルへ分類します[3]。ただ、セッションあたり売上を起点に据える作りではありません。チャネル別の内訳と新規/リピーターの内訳を別々に集めて、期間も自分でそろえる必要があります。しかもRPSは固定値ではなく、先月の値をそのまま来月に使うわけにもいきません。毎月、同じ粒度で作り直す。この反復が、予測を続けられなくする一番の理由です。

同じ「検索+2,000セッション」でも、掛けるRPSをサイト平均で置くか検索チャネルの実測で置くかで、来月の増分売上の見積もりが変わることを示した一例。説明用のイメージ

3. 流入計画は希望でなく、検索の伸びしろで置く#

RPSをどれだけ細かく分けても、セッション数のほうを希望で置けば予測は外れます。セッション側は、検索の伸びしろを根拠に置き、幅を持たせます。

伸びしろは4位から20位のレンジにある#

来月のセッション増分に根拠を持たせる材料は、検索結果の順位帯にあります。すでに検索結果には出ているのに、4位から20位あたりに留まっているキーワードです。このレンジは表示回数があるのにクリックが少なく、順位が上がった分だけクリックが増える余地が残っています。

検索結果の順位によってクリック率は大きく違い、上位から離れるほど急に落ちます[2]。だから同じ表示回数でも、10位のキーワードを3位まで押し上げたときの増分は試算できます。表示回数と現在のクリック数、平均掲載順位はGoogle Search Consoleで確認できます[1]。「来月は検索が2割増える見込み」という希望の数値を、「この帯のキーワードで月に何セッション取り戻せる」という根拠の数値へ置き換えられます。なおSEOの効果は表示回数から順に出て、売上は最後に付いてきます。取り戻せる分を全部そのまま来月へ織り込むと、順番待ちの段階を「効かなかった」と読み違えます(SEOの効果はいつ出る|90日カーブで見る伸びる順番)。

予測は1点でなくレンジで持つ#

最後に、予測は1つの数値でなく幅で持ちます。下限は今の構成比のまま流入だけが増えた場合、上限は伸びしろが計画どおり取れた場合です。この2つを置いておくと、月末の実績がどちらの外に出たかで、次に確かめる先が決まります。下限を割ったならRPS側、上限に届かないならセッション側です。1点で当てにいくより、外れ方から次の一手が決まる形のほうが、予測を続ける価値があります。

掲載順位と表示回数の2軸で、増分を試算する対象になる「4位から20位」のレンジがどこに位置するかを示した一例。すでに上位で取れているキーワードや、需要そのものが小さいキーワードとの違いを示す。説明用のイメージ

RevenueScopeの解決策

RevenueScopeは、この毎月の手動作業を自動化します。チャネル別のセッション・売上・RPSを表示し、新規とリピーターのRPSも同じダッシュボードで表示します。さらに、検索で伸びしろのあるページごとに、順位を押し上げたときの期待セッション増分を月あたりの見込みとして表示します。予測の掛け算を組み立てるのは皆さん自身ですが、そこに置く実測値は毎月そろった形で提供します。

RSにMCP経由でAIアシスタントに聞くとこう返る#

「チャネル別のRPSと、新規/リピーターのRPSを出して」と尋ねると、次のような形で返ってきます。

チャネルセッションRPS
Google検索12,40082円
Instagram5,20028円
Google広告3,80045円
Direct2,900165円
メルマガ1,600210円

サイト全体では、新規のRPSが61円、リピーターのRPSが148円。

※ 一事例(イメージ)。サンプルデータのフィクションサイトです。

この事例の特徴は、全体平均のRPSが約83円であるのに対し、チャネルごとの実態がそこから大きく離れている点です。Instagramは28円で平均の3分の1しかなく、来月の増分がここに偏れば、平均83円で置いた予測は3倍近い過大になります。もう1つは新規とリピーターの差です。サイト全体で新規61円に対しリピーターは148円。検索や広告を伸ばして増えるのは主に新規なので、全体平均のままでは過大に見積もることになります。

効率で見ればメルマガとDirectが抜けている一方、セッション数は少ないままです。ただしメルマガのように高いRPSはリピーター中心で成り立っていることが多いので、流入を厚くして増える分には新規側のRPSを当てます。増分をどこから取るかが決まれば、掛けるRPSも決まります。

FAQ#

よくある質問#

Q. 売上予測は、どのくらい先まで立てるのが現実的ですか?

A. 1か月先が扱いやすい単位です。チャネル別のRPSは季節やキャンペーンで変わるため、3か月先まで1つの値で置くと精度が落ちます。四半期で見たい場合も、月ごとに置き換えて足すほうが、外れたときにどの月のどのチャネルが原因かを追えます。

Q. チャネル別RPSは、何か月分の実測から出せばいいですか?

A. 直近1か月を基本に、注文数の少ないチャネルは3か月分をまとめて使います。セッション数が少ないチャネルのRPSは、1件の高額注文で大きく振れるためです。振れ幅が気になるチャネルほど、期間を長めにとって安定した値を使います。

Q. 平均RPSでの予測は、使ってはいけないのですか?

A. 流入の構成比が前月から変わらない月なら、平均でも当たりはつきます。使いどころは、施策を打っていない平常月の見積もりです。広告を増やす、SEOが効き始めるといった構成比が変わる月は、チャネル別に分けた値を使います。

Q. 新規とリピーターのRPSは、どのくらい違うものですか?

A. ECサイトによりますが、2倍前後の差が出ることは珍しくありません。リピーターは購入率も客単価も高いためです。大事なのは倍率そのものより、自社での差を実測しておくことです。差が分かっていれば、新規が増える施策の見積もりを過大にせずに済みます。

まとめ#

アクセス数から売上を予測する計算は、期待セッション数にRPSを掛けるだけです。外れる原因のほとんどは、掛けるRPSをサイト全体の平均で計算したことにあります。平均そのものが流入の内訳に左右される以上、施策を打った月ほど当たりません。チャネル別に分け、増分に当てる値を新規側で補正して重みを作り、セッション側は検索の伸びしろを根拠に置く。まずは自社のチャネル別RPSを1か月分だけ出して、全体平均とどれだけ離れているかを確かめてみてください。

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