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リターゲティングのROASだけ高い|リピート購入の合算では?

広告の管理画面で、リターゲティングだけROASが数倍高く出ることがあります。配信先が、すでに自社サイトを訪れた人に限られているためです。各媒体は自媒体の広告を経由した注文をコンバージョンとして計上するので、同じ注文が複数の媒体の成果として集計されることもあります。その売上が新しく生まれたものかどうかを、自社計測の帰属売上をラストクリックとファーストタッチで並べ替えて見分ける考え方を解説します。

リターゲティングのROASだけ高い|リピート購入の合算では?

リターゲティングだけROASが数倍。この差は、誰に配信されるかで生まれます。その売上が新しく生まれたものかどうかを、自社計測の帰属売上の移り方から見分ける考え方を整理します。

この記事のまとめ#

  1. ROASが数倍高いのは、配信先がサイト訪問者に限られるから

    配信の対象は、サイトを訪問した人をまとめた一覧から作られます

  2. 各媒体の申告値を足すと、実際の売上を超えることがある

    各媒体は、自媒体の広告を経由した購入をコンバージョンとして計上します

  3. 新しく生まれた売上かは、帰属の基準を切り替えたときの移り方で分かる

    ラストクリックで大きく、ファーストタッチで小さくなるチャネルほど、上流の集客に乗っています

1.リターゲティングのROASが高いのは、配信先がサイト訪問者だから#

リターゲティングのROASが他より数倍高く出るのは、配信先がサイト訪問者、つまりすでに自社サイトを訪れた人に限られているからです。

管理画面を開くと、リターゲティングだけが突出していることがあります。検索広告が1.0前後、SNS広告も同じくらい。そこにリターゲティングだけ5.0が並びます。来月はリターゲティングへ寄せようと考えるのは、自然な流れです。

先に、配信の対象を確かめます。リターゲティングは、サイトを訪問した人や商品を見た人をまとめた一覧に対して配信します。Google広告のヘルプでは、この一覧はデータセグメントと呼ばれています[1]。サイトやアプリでの行動をもとに作られる、と記載されています[1]。配信されるのは、自社サイトを一度でも訪れた人です。

この対象の性質が、そのままROASに出ます。商品ページをすでに見た人、かごに入れた人、購入手続きの途中で離れた人。ここには、広告が1回も表示されなくても戻ってきて買った人が含まれます。リターゲティングは、その購入経路にも接点として入ります。

新規を集める広告とは、配信先が違います。再接触を専門にする事業者をどう位置づけるかは広告レポートのCriteo|出稿するECの22%が導入で整理しました。

もう1つ、配信の最適化そのものも、買う可能性の高い人へ寄りやすい性質があります。この顧客軸での分け方はROASが良いチャネルほど危ない?新規と既存を分けて見るチャネル評価で扱いました。本稿はそこから離れて、同じ注文が誰の成果として記録されるかのほうを見ます。

ここで、直す対象を探す必要はありません。タグの設定を見直しても、UTMを付け直しても、この差は同じ形で発生します。差を作っているのは計測の側ではなく、誰に配信されるかのほうだからです。決めるべきは、この数字の扱い方です。来月の配分を決めるとき、リターゲティングの5.0を検索広告の1.0と同じ軸へ並べてよいのでしょうか?ここから先が本題です。

2.媒体は、自媒体の広告を経由した注文をコンバージョンとして計上する#

媒体の管理画面に並ぶ成果は、その媒体が自媒体の接点をもとに計上した数字です。複数の媒体が、同じ注文をそれぞれコンバージョンとして計上することがあります。

(同じ1か月の注文に対する売上の大きさを比べた棒グラフ。自社計測の売上100万円に対し、リターゲティング広告の申告60万円・検索広告45万円・SNS広告30万円で、申告の合計は135万円。イメージ)

Google広告のコンバージョン測定は、広告とのやり取りのあとに起きた行動を記録する仕組みです[2]。記録の起点は、その媒体の広告に接触したことです。ほかの媒体で何が起きていたかは、この記録の対象に入っていません。

同じ注文が複数の媒体の成果になる余地は、ここから生まれます。ある購入者が検索広告をクリックし、後日リターゲティングの広告からも戻ってきたとします。どちらの媒体も、自媒体の広告を経由した購入として計上します。1つの注文に対して、成果が2つ立ちます。Google広告のヘルプにも、同じコンバージョンが重複して記録される場合の対処が用意されています[3]。

媒体をまたぐと、この重なりは表に出ません。それぞれの管理画面のCV売上を書き出して足し合わせると、実際の売上を超えることがあります。

重なり方も媒体ごとに違います。Metaのヘルプでは、アトリビューション設定によって成果として計上されるコンバージョンが変わると説明されています[4]。クリックしていない表示まで成果に含める設定もあり、その扱いはMetaのAdvantage+|成果が大きく見える仕組みで整理しています。計測が届かない範囲を推定で補って成果に含める仕組みを持つ媒体もあります。

合計の過大を広告全体の効率という単位で扱う方法は媒体別ROASの合算は過大|MERで広告全体の本当の効率を見るにまとめました。ここで追うのは、リターゲティングだけが突出する理由です。

ここで、管理画面の端が見えます。その画面は、自媒体の接点があった注文を漏れなく計上します。ただ、同じ注文に他の媒体がいくらの値を付けたかは、そこには載りません。重なっている分がどれだけあるかは、その画面の中だけでは判定できない形になっています。

3.新しく生まれた売上かどうかを、2つの並べ方で見分ける#

見分け方は2つあります。媒体の申告値と自社計測の売上を同じ期間で並べること、そして自社計測の帰属売上をラストクリックとファーストタッチで並べ替えることです。

1つ目は、出所の違う2つの売上を同じ期間で並べる方法です。媒体の申告値は、その媒体が独自の基準で集計した値です。自社計測の売上は、サイト側で起きた購入の記録です。同じ月で並べると、合計にどれだけの開きがあるかが出ます。開きが大きいほど、どこかの媒体が他の媒体の成果まで合算していることになります。

2つ目は、自社計測の売上の帰属先を切り替える方法です。ラストクリックは、購入の直前の接点に売上を割り当てます。ファーストタッチは、最初の接点に割り当てます。Googleアナリティクスのヘルプでも、アトリビューションは経路上の接点へ売上を割り当てる仕組みだと説明されています[5]。

(同じ購入群の帰属売上が、ラストクリックからファーストタッチへ切り替えると入れ替わる図。リターゲティング広告は50万円から12万円へ下がり、検索広告は30万円から55万円、SNS広告は20万円から33万円へ上がる。合計はどちらも100万円。イメージ)

同じ購入群を並べ替えているだけなので、合計は変わりません。変わるのは、どのチャネルの成果として集計されるかです。リターゲティングに帰属する売上は、ラストクリックで大きく、ファーストタッチで小さくなります。購入の直前に入る接点であって、最初の接点にはなりにくいためです。

縮み方が、判断の目安になります。切り替えても大きさが変わらないチャネルは、購入経路の起点になっています。大きく縮むチャネルは、他のチャネルが連れてきた訪問に乗っている度合いが高いことになります。4つの基準を並べて認知側のチャネルを評価する方法はアトリビューション4モデル比較|認知チャネルの過小評価で扱いました。

集客の側から見ると、もう1つの含みがあります。リターゲティングの配信対象は、検索やSNSやメールが連れてきた訪問から作られます。上流の集客を削ると、配信先も縮みます。効率のいいチャネルへ寄せる判断が、その効率を支えている集客経路を削る形になっていないか。ここは配分を決める前に確かめておくところです。

もう1段下げると、見え方が変わります。リターゲティングというひとまとまりが、性格の違う配信の合算だからです。

(リターゲティング広告の配信を3つに分けた表。カート放棄向け配信はセッション1,000・売上30万円・RPS300円、商品閲覧者向け配信は4,000・16万円・40円、全訪問者向け配信は5,000・4万円・8円。3つの合算は10,000・50万円・50円。イメージ)

3つを合わせたRPSは50円です。カート放棄向けの300円と、全訪問者向けの8円が、ひとつにたたまれた結果です。50円という値は、この合算からだけ生まれます。増額するか減らすかを決める単位は、リターゲティングというひとまとまりではなく、この3つの配信のほうです。

RevenueScopeの解決策

いま開いている広告の管理画面には、その媒体が独自の基準で集計した成果まで記録されています。その先へ進んで、同じ注文に他の媒体がいくらの値を付けたかを確かめようとすると、置き場所が用意されていません。

RevenueScope は、媒体側の実績と自社計測の売上を同じ表に並べて表示します。媒体側の実績として並ぶのは、表示回数・クリック・媒体計測のCV数・媒体計測のCV売上の4項目です。自社計測の売上は、サイト側で起きた購入を帰属させた値です。広告費は、年・月・チャネル単位のフォーム入力と、CSVの一括取り込みで登録します。

MCP経由でChatGPTやClaudeに「直近30日、チャネル別の広告費と売上は?」と尋ねると、次の形で返ってきます。

一事例(イメージ)/架空店舗C・30日

チャネル広告費媒体申告の売上自社計測の売上ROAS
RTB House10万円60万円50万円5.0
Google Ads30万円45万円30万円1.0
Meta20万円30万円20万円1.0

※ 上の表は読み方を説明するための一例です。店舗名も数値も架空のもので、丸めた値を置いています。CTAの先にあるデモ画面は見本ECのサンプルデータ(日々更新)を読み込んでいるため、実際に開くと数値はここと合いません。

媒体申告の売上を合わせると135万円、自社計測の売上は100万円です。ROASの分子は自社計測の売上で固定しているため、媒体の管理画面に出るROASとは一致しません。定義の違う2つの売上が、同じ表に並んでいる状態です。

帰属の基準を切り替えると、売上のつくチャネルが変わります。

帰属の基準を2つ並べた一事例(イメージ)/架空店舗C・30日

チャネルラストクリックファーストタッチセッション
RTB House50万円12万円10,000
Google Ads30万円55万円30,000
Meta20万円33万円20,000
合計100万円100万円60,000

セッションは、基準を切り替えても変わりません。変わるのは売上と、セッションあたりの売上(RPS)です。再接触の配信を担うRTB HouseのRPSは、ラストクリックで50円、ファーストタッチで12円になります。

チャネルの内訳を開くと、その中をutm_campaign別に分けた売上・RPS・客単価・購入率が出ます。配信ごとにキャンペーン名を分けていれば、§3で見た配信別の内訳はここで見えます。ただし出るのはその期間の断面で、前の期間との比較は付きません。

サイト全体では、新規と、別の日に再訪した人(リピーター)に分けたセッション・売上・RPS・客単価・購入率も表示します。リピーターの判定は、同じ訪問者がより前の日にセッションを持っているかどうかです。

ここまでで次の一手が定まります。リターゲティング広告を新規獲得の増減判断から外し、別枠で上限を置くことです。上限の目安は、上流の集客が連れてきた訪問の量になります。検索広告とSNS広告は、ファーストタッチで帰属売上が伸びる側なので、新規の配分はこの2つで組み直します。

FAQ#

よくある質問#

Q. リターゲティングのROASが高いのは、良い状態でしょうか?

A. 高く出ること自体に良し悪しはありません。広告が表示されるのが、すでに自社サイトを訪れた人に限られているためです。注意が要るのは、新規を集める広告と同じ軸で増減を決める場面です。

Q. 各媒体の管理画面のCV売上を足すと、実際の売上を超えます。設定の誤りでしょうか?

A. 誤りとは限りません。それぞれの媒体が、自媒体の広告を経由した購入をコンバージョンとして計上しているためです[2]。同じ注文が複数の媒体の成果に入ることもあります[3]。合わせにいくのではなく、自社計測の売上を別に置いて突き合わせてください。

Q. 帰属の基準を切り替えると、ROASも変わりますか?

A. ROASは、この切り替えでは変わりません。分子がラストクリックを基準にした自社計測の売上で固定されているためです。基準の切り替えで見るのは、売上が移る方向のほうです。

Q. リターゲティングの予算は、何を上限にすればよいですか?

A. 上流の集客が連れてきた訪問の量が実質の上限になります。配信先が、その訪問から作られるためです。上流を削ると、遅れて成果も細ります。

まとめ#

リターゲティングのROASが数倍高く出るのは、配信先が、すでに自社サイトを訪れた人に限られているからです。設定を直して下がる種類の差ではありません。

媒体の管理画面に並ぶ成果は、その媒体が自媒体の接点をもとに計上した値です[2]。同じ注文が複数の媒体の成果に入ることもあります[3]。各媒体のCV売上を足し合わせると、実際の売上を超えることがあります。

新しく生まれた売上かどうかは、帰属の基準を切り替えたときの移り方で見分けられます。ラストクリックとファーストタッチで並べ替えて、大きく縮むチャネルと、大きさが変わらないチャネルを分けてください。

最後に1つだけ確かめてください。いま増額を検討しているリターゲティングの売上は、基準を変えても同じ大きさで残りますか?

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