2026年8月17日から、Google広告の入札の仕様が変わります。予算で頭打ちのキャンペーンのうち、目標より良い成績が出ていたものは実績が目標へ近づきます。何が対象で、目標値をどう決めるのかを整理します。
目次
この記事のまとめ#
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対象は「予算による制限」がついたキャンペーンだけ
予算に余裕があるキャンペーンは今までどおりです
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費用が直接増える変更ではない
1日と1か月の予算の上限は今までどおり維持されます
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実績に合わせた変更は、今の単価を正解として固定する操作
妥当かどうかは、その広告費が自社サイトにいくらの売上を生んだかで決めます
1.変わるのは、予算で頭打ちになっているキャンペーンだけ#
公式ヘルプの例はこうです。目標アクション単価が1,000円で、最近の実際のアクション単価が500円。8月17日以降は実際の単価が1,000円に近づくように配信され、今の成績を保つには目標値を500円に変更する必要があります[1]。
対象は、ステータスが「予算による制限」で、目標値をもとにした入札を使っているキャンペーンです。目標アクション単価は、希望する平均単価を指定して入札を自動化する戦略[3]。目標広告費用対効果は、コンバージョン値の予測から入札単価を調整する戦略です[4]。デマンドジェネレーションの目標クリック単価も対象[2]。制限を受けていないキャンペーンは変わらず、個別クリック単価と目標インプレッションシェアも対象外です[2]。

この変更を「実質的な値上げ」と読むのは行き過ぎです。公式は「今回の変更によって費用は増加しますか?」に「いいえ」と答えています[2]。上限は日ごとのぴったりの線ではなく、ほとんどのキャンペーンで1日は平均予算の2倍、1か月はその30.4倍まで[5]。枠そのものは変わらず、変わるのは枠の中でコンバージョン1件をいくらで買うかです。
Googleが予算や目標値を自動で調整することもありません[1]。管理画面の推奨の受け入れ方はGoogle広告の最適化スコアで扱いました。
目標値調整ツールで実績に目標を寄せる操作は、公式が用意した正規の手当てです。8月17日より前に合わせるなら既存のパフォーマンスに大きな変動や変化は生じないはずだ、とも書かれています[2]。順番だけが入れ替わっています。ツールの数値を適用する前に、それが自社にとって妥当かを見分ける基準を持つ。この順で進めないと、8月17日以降に同じ判断をやり直すことになります。
2.目標を実績に合わせると、今の単価が正解として固定される#
では、実績に合わせて目標値を書き換えれば済むのでしょうか?
公式が示している対応は5つあります。目標値を維持する、直近の実績に合わせる、ビジネス目標に沿った別の数値を入れる、入札戦略を切り替える[1]。5つ目が予算の引き上げで、適用条件そのものを外します。公式も、キャンペーンが予算による制限を受けないようにすることが重要だとしています[2]。
気をつけたいのは、「実績に合わせる」が必ずしも「下げる」ではないことです。目標アクション単価なら実績が目標を下回っているので引き下げる方向、目標広告費用対効果は逆で、実績が目標を上回っているなら引き上げる方向です。据え置くという判断も公式の選択肢に入っています[1]。

実績に合わせて目標値を書き換えるのは、今の単価を正解として固定することでもあります。判定されるのは目標値の水準だけで、その単価が自社の売上にとって妥当かどうかは別の問いです。
自分で決めるしかない場面もあります。コンバージョン数が7件未満のキャンペーンには、掲載結果の予測が難しいという理由で推奨目標値が算出されません[2]。手動での調整が案内されています[2]。月に数件しか売れない商品を扱うキャンペーンは、たいていこの条件に当てはまります。
妥当かどうかは、単価の水準ではなく、その単価で獲得した1件がいくらの売上を残すかで決まります。その金額を計測しているのは、広告の管理画面ではなく自社サイトの側です。
3.同じ広告費が、売上をいくら作ったか#
広告費が24万円、実績のアクション単価が3,000円。管理画面ではまったく同じに見える2つのキャンペーンでも、自社サイトで計測した売上は36万円と72万円で2倍違います。
アクション単価が見ているのは、広告費とコンバージョン数の2つだけです。客単価も購入点数も、この計算の外にあります。件数が減っても1件の購入金額が上がれば売上は落ちない場合があり、逆に件数を守っても金額の小さい注文ばかりなら売上は減ります。

目標値を売上から決めるなら、見るのは自社計測の売上を広告費で割ったROASです。水準の決め方はチャネル別のROAS目標、媒体の申告値とのズレはMERと媒体ROAS、変更後の内訳はROASの切り分けにまとめました。
予算を増額して制限が外れると広告のクリックが伸び、指名検索や自然検索からシェアが移ることもあります。広告のコンバージョン数が増えても、店全体の売上が同じだけ増えるとは限りません。
ここで単位を確かめます。GA4のGoogle広告キャンペーンパフォーマンスレポートは、アカウントを連携すると、キャンペーンごとに広告費用・コンバージョン単価・広告費用対効果・合計収益を表示します[6]。ただしコンバージョン単価の分母は、自分がコンバージョンとしてマークしたイベントの発生回数[6]。カートへの追加をマークしていれば、カート追加1件の単価です。同じ表の合計収益は購入などで実際に発生した金額[6]。単位が揃うまで、この2つを割った数値が何を表すかは決まりません。
RevenueScopeの解決策
キャンペーン単位で出るのは、売上・RPS・客単価・購入率の4つです。RevenueScope の売上は自社サイトで計測した購入の合計、RPSはセッションあたりの売上です。
架空店舗AのGoogle広告をキャンペーン単位で RevenueScope にたずねると(イメージ)
| キャンペーン | 売上 | RPS | 客単価 | 購入率 |
|---|---|---|---|---|
| 指名キーワード | 45万円 | 450円 | 9,000円 | 5.0% |
| 商品カテゴリ | 30万円 | 150円 | 6,000円 | 2.5% |
| 汎用キーワード | 15万円 | 100円 | 5,000円 | 2.0% |
RPSは450円と100円で4.5倍の開きがあり、内訳は客単価9,000円と5,000円、購入率5.0%と2.0%。同じ広告費から残る売上が違うのは、この差です。
この3つをまとめると、チャネル一覧では1行です。広告費と媒体の申告値もここに入ります。
同じ期間のチャネル一覧(イメージ)
| チャネル | 広告費 | セッション | 売上 | RPS | ROAS |
|---|---|---|---|---|---|
| Google広告 | 30万円 | 4,500 | 90万円 | 200円 | 3.0 |
| Meta広告 | 20万円 | 2,500 | 40万円 | 160円 | 2.0 |
※2つの表は教材用に作ったものです。見本ECはサンプルデータ(日々更新)なので、CTAから開くと同じ切り口のまま今日の値に入れ替わります。
まとめた結果の200円は、上の3つのどれとも違う値です。8月17日の変更はキャンペーンごとに適用されるので、200円を基準に決めると、450円の配信と100円の配信に同じ判断を当てることになります。
最初に目標値を厳しくするなら、RPSが最も低い汎用キーワードです。浮いた予算は客単価と購入率の高い2つに回せます。
FAQ#
よくある質問#
Q. 8月17日以降、広告費は増えますか?
A. この変更によって費用が直接的に増加することはなく、1日と1か月の予算の上限は常に維持される、と公式は答えています[2]。ただし1日の費用そのものは需要の増加などで変動しうる、とも書かれています[2]。
Q. 入札単価の目標値調整ツールがアカウントに表示されないのはなぜですか?
A. 段階的にリリースされているためで、対象キャンペーンの設定ページに順次表示されます[2]。なお7件未満のキャンペーンには推奨目標値が算出されないため、手動での調整が案内されています[2]。
Q. 予算に余裕を持たせたのに、表示回数が伸びないのはなぜですか?
A. 予算以外の要因を疑う場面です。オークションでの取り分から切り分ける手順は検索広告の表示回数が減ったときにあります。
まとめ#
8月17日に変わるのは、予算による制限がついていて目標値をもとにした入札を使っているキャンペーンの動き方です。費用が直接増える変更ではありませんが、P-MAXやデマンドジェネレーションではチャネル間の配分が変わることがあります[1]。
対応の向きは戦略によって逆になります。目標アクション単価なら引き下げ、目標広告費用対効果なら引き上げる。据え置く判断も、予算を増やして適用条件を外す判断もあります。
同じ広告費で同じ実績単価でも、自社サイトに残る売上には差が出ます。目標値をいくつにするかは、その単価で獲得した1件がいくらの売上を作るかで決めます。7件未満で推奨目標値が出ないキャンペーンも、この基準があれば自分で決められます。
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