予算も入札も変えていないのに、検索広告の表示回数が落ちた。まず自分のアカウントの設定を見直したくなりますが、確かめる順番を逆にしたほうが早くたどり着けます。この記事では、市場・競合・自分の順で原因をカテゴリ分類する手順と、その減少を買い戻す価値があるかを売上で決める考え方を扱います。
目次
この記事のまとめ#
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確認は市場、競合、自分の順で行う
自分の設定から見始めると、検索の量そのものが縮んでいた場合に見つけるまで遠回りになります
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Google広告のインプレッションシェアと2つの損失率で、原因をカテゴリ分類できる
ただし損失率(予算)はキャンペーン単位でのみ確認できます
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原因が分かることと、取り返すべきかが決まることは別
減った表示に売上が付いていたかは、広告の外で計測した売上と突き合わせて判断します
1.確認の順番は市場、競合、自分#
表示回数が減る理由は、市場側・競合側・自分側のどこかにあります。検索する人そのものが減った、同じ枠を狙う競合が増えるか単価を上げた、自分の予算やランクが足りなくなった、の3つです。
自分側については、心当たりが無くても設定が変わっている場合があります。最適化案の自動適用を有効にしていると、承認なしに設定が反映されることがあるためです。この確認手順はGoogle広告の最適化スコアにまとめました。
それでも、手間の少ない市場側から確かめます。自分側の確認に時間がかかるのに対し、市場側は自然検索の表示回数を見れば数分で済むためです。有料と無料は別の面ですが、同じキーワードの検索需要が縮んでいれば両方に同じ向きの変化が出ます。Google Search Consoleで同じ期間の表示回数が減っていれば、市場側の可能性が濃くなります。ただし自然検索の表示回数は自社の掲載順位にも左右されるので、これは傍証であって決め手ではありません。
そのうえで、多くの運用者が持っている常識には日付が付いています。2021年2月からGoogle広告は絞り込み部分一致の動作をフレーズ一致に組み込む更新を始め、2021年7月にはすべての言語で新しいフレーズ一致の動作へ統一されました。指定したキーワードの意味を含む検索であれば、広告の表示対象になります[3]。マッチタイプの指定で表示の対象を細かく囲い込んでいたのは、この日付より前の運用です。以降は、キーワードの設定だけで表示回数の増減を説明しようとしても筋が通らない場面が増えました。

だから、切り分けの軸をキーワードの設定から、オークションでの取り分そのものへ移します。
2.インプレッションシェアの3指標で原因をカテゴリ分類する#
インプレッションシェアは、実際に獲得した表示回数を、獲得できる可能性があった表示回数の推定値で割った割合です[1]。取り分がどれだけ取れているかを示します。
ここに2つの損失率が付きます。損失率(予算)は予算不足が原因で表示されなかった割合、損失率(ランク)は広告ランクの低さが原因で表示されなかった割合です[2]。この3つを合わせて見ると、原因をカテゴリに分類できます。

読み方で重要なのは、予算を1円も変えていないのに損失率(予算)が増えている場合です。同じ予算で買える表示の量が減ったということなので、クリック単価が上がっているサインになります。競合が単価を引き上げたときに起きるのが典型です。単価上昇が成果全体にどう波及するかはROASが落ちた原因の切り分けを参照してください。
使ううえでの制約が2つあります。ひとつは、損失率(予算)はキャンペーン単位でのみ確認でき、キーワード単位では確認できないことです[2]。もうひとつは、インプレッションシェアが推定値であることです。Googleは多少の変動であれば対処は不要としています[1]。数%の揺れで配信を触ると、かえって学習を乱します。なお、ここで扱っているのは検索キャンペーンです。P-MAXは対象になる面が異なるため、レポートで見える範囲そのものが変わります。その違いはP-MAXのクリックが急増したときにまとめました。
ここまでで、なぜ減ったかはカテゴリ分類できました。残るのは、その減少にいくらの値札が付いていたかです。
3.原因が分かっても、取り返すかは売上で決める#
表示回数は途中の指標です。表示が減ってクリックが減っても、そのクリックがもともと購入に至らない層のものだったなら、売上は変わりません。

表示回数が2割落ちても売上が横ばいなら、失われたのは購入に至らない層への露出です。この場合、予算を積んで取り返す価値は薄くなります。逆に売上のほうも同じ幅で落ちているなら、その表示は売上につながっていた表示だったことになるので、単価が上がっていても買い戻す判断があり得ます。どのチャネルを残すかの考え方は広告費を削るならどのチャネルからで扱っています。
そしてこの判断には、Google広告の管理画面だけでは足りない材料があります。管理画面は、オークションのどこで負けたかを教えてくれます。その負けにいくらの値札が付いていたのかは、広告の外側で売上を計測していないと出てきません。媒体が報告するコンバージョンの値は媒体側の定義で集計したもので、自社が受注として計上した売上とは別の系統です。この定義差そのものは拡張コンバージョンで増えたものが詳しいです。
RevenueScopeの解決策
RevenueScope は、広告費を接続したチャネルについて、媒体が報告する表示回数とクリックを、自社サイトで計測したセッション・売上・RPSと同じ表に表示します。
表示回数とクリックが入るのは、その期間に広告費の記録があるチャネルの行だけです。自然検索やDirectの行は空欄になります。媒体の申告値と自社計測は別々の系統で集計しているため、クリックとセッションの数は一致しません。この一致しない状態が正しい姿で、揃えるものではありません。配信の状態を見るのはGoogle広告の管理画面の役目で、RevenueScope はそこに立ち入りません。こちらにあるのは、媒体が報告した量と自社が計測した金額を突き合わせる工程です。
広告費を接続したチャネルの内訳を RevenueScope でたずねると(イメージ)
| チャネル | 表示回数 | クリック | セッション | 売上 | RPS |
|---|---|---|---|---|---|
| Google Ads | 41,200 | 1,240 | 1,080 | 32万4,000円 | 300円 |
| Meta | 38,500 | 950 | 820 | 12万3,000円 | 150円 |
| Google検索 | — | — | 2,600 | 54万6,000円 | 210円 |
| Direct | — | — | 640 | 16万円 | 250円 |
※表示回数とクリックは広告媒体の申告値、セッションと売上は RevenueScope が自社サイトで計測した値です。定義が違うため一致しません。上の表は説明のために作った一例で、デモ画面は見本ECのサンプルデータ(日々更新)で表示されます。
この表を毎月保存して見比べると、RPSで最も高い行が月によって変わります。この月はGoogle Adsの300円が最上位でも、単価が上がった翌月はGoogle検索の側が上に来ることがあります。表示回数が落ちた月の1枚だけを見て予算を移すと、その入れ替わりを判断に入れられません。毎月同じ形の表を残す理由はここにあります。
FAQ#
よくある質問#
Q. インプレッションシェアが数%動いただけでも対処すべきですか?
A. Googleは多少の変動であれば対処は不要としています[1]。推定値である以上、小さな揺れは避けられません。連続して下がり続けているかどうかで判断します。
Q. 損失率(予算)をキーワードごとに見られますか?
A. 確認できません。損失率(予算)はキャンペーン単位でのみ確認できる指標です[2]。キーワード単位で確認できるのは損失率(ランク)のほうになります。
Q. 表示回数が減ったら、まず入札を上げるべきですか?
A. 損失率(ランク)が増えているなら選択肢になります。ただし増えているのが損失率(予算)なら、上げるべきは入札でなく予算です。原因を特定する前に単価を触ると、どちらが効いたのか分からなくなります。
まとめ#
検索広告の表示回数が落ちたとき、自分のアカウントの設定から確認を始めると遠回りになります。市場、競合、自分の順に見て、まず検索の量そのものが縮んでいないかを自然検索側で確かめます。
そのうえでインプレッションシェアと2つの損失率を突き合わせれば、原因をカテゴリ分類できます。予算を変えていないのに損失率(予算)が増えていれば、クリック単価が上がったサインです。ただし損失率(予算)はキャンペーン単位でのみ確認でき、インプレッションシェア自体も推定値です。
原因が分かることと、取り返すべきかが決まることは別です。減った表示に売上が付いていたかどうかは、媒体の申告値と自社で計測した売上を同じ表に置いて初めて判断できます。
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参考文献#
- Google 広告ヘルプ「インプレッション シェアについて」 https://support.google.com/google-ads/answer/2497703?hl=ja
- Google 広告ヘルプ「インプレッション シェアのデータを取得する」 https://support.google.com/google-ads/answer/7103314?hl=ja
- Google 広告ヘルプ「フレーズ一致と絞り込み部分一致の変更について」 https://support.google.com/google-ads/answer/10286719?hl=ja




