F2転換率は、初めて購入した人が2回目を購入した割合を指します。この数字が先月より上がっていて、同じ資料に並ぶ売上は先月と同じ水準にとどまっている。2つが別々に進むとき、見直す先は分母のほうです。この記事では、実務で使われている3通りの分母を並べ、どれが売上と連動するかを確定させます。
目次
この記事のまとめ#
- F2転換率の分子はどこでも同じで、実務で割れるのは分母のほうです
- 分母は3通りあります。訪問(セッション)、訪問者数(人)、期間で区切った初回購入者の3つです
- 分子が同じ60人でも、分母の取り方で率は0.5%から5.0%まで開きます
- 3つ目の分母は期間で区切った集まりなので、獲得の出稿量を変えると分母に入る対象そのものが入れ替わります
- 分母と窓を1つに固定し、率の隣に売上の実額を置くと、分子が増えた月と分母が入れ替わった月を分けられます
1. 7月に率は2倍、売上は5月と同じ水準#
率と売上を同じ画面に重ねると、7月から2本の線が離れます。
月次の資料で、F2転換率は5月を100として7月に200まで上がっています。同じ資料の売上は、5月を100として7月に101。率のほうだけが倍になり、売上は5月と同じ水準に並んでいます。

2本が離れた月には、店舗側で変更が1つ入っています。6月末に、獲得の出稿量を絞りました。広告の予算を削り、新規の訪問が減った。既存顧客への案内は何も変えていません。
6月末より前のF2転換率と、6月末より後のF2転換率は、名前が同じだけで別の対象を指しています。前者の分母には広告で集めた初回購入者が入っていて、後者の分母にはそれが入っていません。7月の200という値は、5月の100と並べて比べられる数字ではなくなっています。
獲得の出稿量そのものをいくらで買っていたかは、CACとは|計算式と目安で扱っています。
2. 分母の取り方は3通りあり、率は10倍まで開く#
F2転換率の分子は「2回目を購入した人」でどこでも同じで、実務で割れるのは分母のほうです。
架空店舗の5月で見ます。分子は「5月に2回目を購入した人60人」で固定し、ここに3通りの分母を当てます。
1つ目は訪問(セッション)です。訪問は、サイトに来てから離れるまでの一連の操作をひとまとまりとして集計した単位です[1]。5月の総セッションは11,000で、60を11,000で割ると0.5%になります。答えているのは「訪問1回あたりで2回目の購入がどれくらい起こりやすいか」です。
2つ目は訪問者数(人)です。訪問者数は、同じ人が何回来ても1として集計した単位です[2]。5月の訪問者は7,300人で、60を7,300で割ると0.8%。答えているのは「サイトに来た人1人あたり」です。
そして3つ目が、期間で区切った初回購入者です。4月に初めて購入した1,200人を分母に取ると、60を1,200で割って5.0%。答えているのは「初めて買った人のうち、どれくらいが戻ってきたか」です。

3つは別の問いに答えているので、値が10倍開いても矛盾はありません。決めるべきは、どれが正しいかではなく、どれが売上と連動するかです。1つ目と2つ目は分母が集客の量そのものなので、広告を増やせば率は下がり、絞れば上がります。売上の増減とは別の向きに変わる数字です。3つ目だけが、初めて買った人の戻り方を追っています。
3つ目を選ぶときは、窓で区切ることが条件になります。「これまでに初めて購入した人の累計」を分母に取ると、分母は増える一方になり、月ごとの比較が成立しなくなります。前の月に初めて購入した人、あるいは直近90日に初めて購入した人。入る人と出る人がある形で定義してください。
分母を3つ目にそろえたうえで目安と見比べたい場合は、ECのリピーター率の平均はどれくらいかにまとめてあります。
3. 分母に入る対象が入れ替わると、率と売上は切り離される#
3つ目の分母は期間で区切った集まりなので、獲得の量を変えた翌月には、そこに入る人数がそのまま増減します。
6月末に出稿量を絞った店舗に戻ります。7月のF2転換率を3つ目の分母で算出すると、分母は「6月に初めて購入した人」です。6月の新規獲得を絞ったので、この人数は4月より少なくなっています。
分子のほうは事情が異なります。「7月に2回目を購入した人」は、6月に初めて買った人だけから生まれるわけではありません。3月に買った人も、4月に買った人も、7月に2回目を購入します。分子は何か月分もの初回購入者に支えられていて、分母は1か月分しかない。獲得を絞った影響は、分母には1か月で届き、分子には何か月もかけて薄く広がります。7月に分母だけが縮んで率が上がったのは、この時差によるものです。
向きを反対にしても同じことが起こります。獲得を増やした月の翌月は、分母だけが膨らんで率が下がります。既存顧客の戻り方には何の変化もないのに、資料の上では下がって見える。獲得の量を変えた月をまたぐと、率の増減はほぼ獲得側の増減で説明がつきます。既存顧客の戻り方を読み取るには、別の見方が要ります。
分母に入る人が均質でないことも、この読みにくさを重ねます。どの集客経路から来た人かによって、戻ってくる割合は大きく異なります。獲得の構成が変われば、同じ人数の分母でも中身は別のものに入れ替わります。
ここで起きているのは計測の不具合ではなく、構成の変化です。数字はどの月も正しく集計されています。入れ替わったのは分母の中身のほうです。分母を固定したあとで新規とリピーターの売上を分ける実務は、新規とリピーターで売上を分けるで扱っています。

率と売上を2つの軸に置くと、今月の値がどこに入るかで読み方が決まります。率だけを1軸で追っている限り、右下と右上は同じ「上がった月」として報告されます。
4. 分母を1つに固定してから、隣に売上の実額を置く#
打ち手は2つです。分母を1つに決めてそのあと変更しないことと、率の隣に売上の実額を置くことです。
分母は3つのどれでも構いません。決めた1つを、報告のたびに変更しないことが要点です。3つ目を選ぶなら、窓の長さも同時に固定します。前の月の初回購入者で見るか、直近90日の初回購入者で見るか。窓を変えると、分母は別の指標になります。
そのうえで、率の隣に売上の実額を置きます。新規側の売上とリピーター側の売上を、率と同じ表に並べる。率が上がった月に実額も増えていれば分子が増えた月で、率だけが上がって実額が横ばいなら分母が縮んだ月です。この2つを見分ける材料は、実額の側にあります。
決め方はここまでで足ります。工程の大半は、この先の突き合わせに使われます。3つ目の分母は受注データの側にしかありません。いつ初めて購入したかは、アクセス解析の画面には存在しない情報だからです。受注データから初回購入者を月ごとに書き出し、アクセス解析側の訪問や売上と月単位で突き合わせる。この作業は毎月やり直しになります。分母の定義や窓の長さを変えれば、過去の月まで遡って作り直すことになります。
分母が確定したあとで戻ってくる割合そのものを上げる打ち手は、ECのリピート率を上げるにまとめてあります。粒度を1段下げて顧客を分類する場合は、RFM分析とは|ECでの使い方を参照してください。
率のグラフだけを毎月開いている担当者の画面には、7月の200という値が改善として表示されます。分母が縮んだせいで200になったと、その画面から見分けられるでしょうか? 見分けるには、売上の線を同じ画面に重ねる必要があります。乖離は2本を並べて初めて姿を現します。
RevenueScopeの解決策
率を算出する前の実数が1画面に並んでいれば、分母を組み直す工程は最初から発生しません。
RevenueScopeは、訪問者を新規とリピーターに分けて、それぞれのセッション・売上・RPS・客単価・購入率を表示します。ここでのリピーターは、同じ訪問者がより前の日にもセッションを持っていたかで判定した、セッション基準の区分です。注文回数で区切る2回目の購入とは別の切り口で、率を算出する前の分母と分子の実数がそのまま並びます。
期間を5月に指定して1回、7月に指定してもう1回表示すれば、2つの月を同じ形の表で比べられます。
架空店舗の新規とリピーター(イメージ)
| 期間 | 区分 | セッション | 売上 | RPS | 客単価 | 購入率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 5月 | 新規 | 9,000 | 99万円 | 110円 | 11,000円 | 1.0% |
| 5月 | リピーター | 2,000 | 60万円 | 300円 | 10,000円 | 3.0% |
| 7月 | 新規 | 5,000 | 55万円 | 110円 | 11,000円 | 1.0% |
| 7月 | リピーター | 3,500 | 105万円 | 300円 | 10,000円 | 3.0% |
※上の表は読み方を示すために組んだ一例です。CTAの先にある見本ECは日々データが更新されるため、そこに表示される数値はこの表とは異なります。
首位が交代しているのは売上だけです。5月は新規の99万円がリピーターの60万円を上回り、7月はリピーターの105万円が新規の55万円を上回ります。一方でRPSは、どちらの月も新規110円・リピーター300円で一定です。順位が入れ替わった理由は量の増減で、訪問1回あたりの成績はどちらの月も同じです。売上の順位だけを見て5月に配分を決めていたら、単位あたりでは一貫して上だった側を外すことになります。
来月を新規側とリピーター側のどちらへ寄せるかは、この表を1枚開いた時点で決まります。分母をどう定義するかという議論は、この表を作る前に済んでいます。
FAQ#
よくある質問#
Q. F2転換率の分母は、どれを選ぶのが正解ですか?
A. 3つのうち1つを選んで固定することが要点で、どれが正解かは決まっていません。売上と連動させたい場合は、期間で区切った初回購入者を分母に取ります。訪問や訪問者数を分母に取ると、集客の量が増減するたびに率も反対向きに変わります。
Q. 集計の窓は90日で取るべきですか?
A. 窓の長さは、商材の購入サイクルに合わせて決めます。日用品と耐久品では2回目までの間隔が大きく異なるため、他社と同じ90日にそろえるより、自店のサイクルに合う長さを決めて固定するほうが効きます。
Q. 分母の定義を変更した過去の月は、どう扱いますか?
A. 新しい分母で過去の月まで再算出してから並べます。定義の変わった月をまたいで並べると、施策の効果と定義の変更が同じ増減に混ざります。移行した月を資料の注記として残しておくと、次に読む人が判断できます。
Q. アクセス解析の新規とリピーターの区分を、そのままF2転換率に使えますか?
A. 別の区分として扱ってください。アクセス解析側の区分は、同じ訪問者が前の日にもサイトへ来ていたかで判定するセッション基準です。注文回数で区切るF2とは対象が異なるため、同じ表に等号として置くと、2つの数字は別の対象を指したまま並ぶことになります。集客の効率はセッション基準で、購入の戻り方は注文回数基準で、それぞれ見ます。
まとめ#
F2転換率を報告に載せる前に、その率がどれを分母にしているかを1つ確定してください。分母は訪問、訪問者数、期間で区切った初回購入者の3通りに割れていて、分子が同じ60人でも0.5%から5.0%まで開きます。
期間で区切った初回購入者を分母に取る場合は、獲得の量を変えた月をまたぐと分母に入る対象が入れ替わります。分子は何か月分もの初回購入者から生まれるのに対し、分母は1か月分しかないため、獲得を絞った翌月は分母だけが縮んで率が上がります。
分母と窓を1つに固定し、率の隣に売上の実額を置いてください。率と実額が同じ向きに変わった月は分子が増えた月で、率だけが変わった月は分母が入れ替わった月です。この2つを分けてから、来月の予算の話に入ってください。
どの広告が売上を生んでいるか、一目でわかる
月5,000セッションまで、AIアナリストもずっと無料。クレジットカード不要。最短5分で導入。





