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CAC(顧客獲得コスト)とは:計算式と業種別の目安、LTVとの関係

CAC(顧客獲得コスト)は新規顧客1人を得るのにかかった総コスト。計算式、混同しやすいCPAとの違い、LTVとの目安3:1、業種タイプ別の許容ライン、GA4で見えにくい理由までをECの実務目線で図と計算で整理します。

CAC(顧客獲得コスト)とは:計算式と業種別の目安、LTVとの関係

「広告費をかけて新規のお客さんは増えた。でも、その1人を集めるのにいくらかかったかは、正直あいまい」。EC運営でよくある状態です。この「1人を集めるのにかかった費用」を表すのが CAC(顧客獲得コスト)です。

CACは、広告の効率を測るだけの数字ではありません。LTV(顧客生涯価値)と組み合わせて初めて、「この集客は儲かっているのか」が判断できます。計算式・CPAとの違い・LTVとの目安・自社での測り方まで、図と計算で整理します。

この記事のまとめ#

  1. CAC = 新規顧客1人を獲得するのにかかった総コスト

    計算式は「獲得にかけた総コスト ÷ 新規顧客数」。広告費だけでなく人件費やツール費も含めます

  2. CPAとは測る単位が違う

    CPA = 行動1件あたりの広告コスト。CAC = 顧客1人あたりの総コストで、含める範囲が広い

  3. CACは単体ではなくLTVと並べて判断する

    目安は LTV ÷ CAC = 3:1。1人の顧客が生む粗利が獲得コストの3倍あれば健全です

  4. 業種タイプでCACの許容ラインは変わる

    粗利率が高くリピートされる商品ほど、かけてよいCACは高くなります

  5. CACはGA4では手間がかかる

    来訪起点のため、チャネル別のCACとLTVを並べて見るには別集計が必要です

1.CAC(顧客獲得コスト)とは:計算式#

結論: CACは「新規顧客1人を集めるのにかかった総コスト」。 獲得にかけた費用をすべて足して、新規顧客数で割ります。

CAC(Customer Acquisition Cost)は、新しいお客さんを1人増やすのにいくら使ったかを表す数字で、計算式はシンプルです。

CAC = 顧客獲得にかけた総コスト ÷ 新規獲得顧客数

たとえば、ある月に広告費・人件費・ツール費を合わせて100万円使い、新規顧客が200人増えたとします。このとき CAC は「100万円 ÷ 200人 = 5,000円」。1人を集めるのに5,000円かかった、という意味です。

見落とされがちなのが、総コストに何を含めるか、という点です。広告費だけで計算する人が多いのですが、本来のCACは広告運用やコンテンツ制作の人件費、計測ツールの利用料まで含めます。足すほど実態に近づきます。

2.CACとCPAの違い#

結論: CPAは「行動1件」あたり、CACは「顧客1人」あたり。 含めるコストの範囲も、CACのほうが広いです。

CACと一番混同されやすいのが CPA(Cost Per Acquisition)です。名前は似ていますが、測っている単位が違います。

CACとCPAの違い:測る対象・計算式・含むコスト・単位の比較

CPAは「1件のコンバージョン(購入や登録)」を得るのにかかった広告費で、計算式は「広告費 ÷ コンバージョン数」。広告の出稿効率を見る指標です。一方CACは「1人の新規顧客」を得るのにかかった総コストで、同じ人が初回に2回買っても1顧客として数え、人件費やツール費も含めます。つまり、CPAは広告チャネルの効率、CACは事業全体の獲得効率。広告の改善にはCPA、投資判断にはCACと使い分けます。CPA単体の詳しい使い方はCPAとは:広告1件あたりのコストを測る基本指標で整理しています。

3.LTVとCACの関係:3:1の目安#

結論: CACは単体では良し悪しを判断できない。 LTV(顧客生涯価値)と並べて、3:1を目安に見ます。

CACが5,000円と聞いても、高いか安いかはこれだけではわかりません。判断には、その顧客が将来生む粗利、つまりLTV(顧客生涯価値)が必要です。よく使われる目安が 「LTV ÷ CAC = 3:1」。1人の顧客が生涯で生む粗利が、獲得コストの3倍あれば健全という考え方です。

LTV対CAC比率の目安:1倍は回収のみで利益なし、3倍が健全ライン、6倍は投資不足のサイン

比率が1倍を切ると、集めるほど赤字になります。1〜3倍は回収できても余裕が薄く、3倍前後が健全ライン。逆に5倍を大きく超えると、「広告を絞りすぎて成長機会を逃している」サインかもしれません。LTVの出し方はLTV(顧客生涯価値)の計算方法で扱っています。もう一つの目安が回収期間。「CAC ÷ 顧客1人あたりの月次粗利」で、何か月で回収できるかがわかります。

4.業種タイプで変わるCACの許容ライン#

結論: かけてよいCACの上限は業種で違う。 粗利率が高く、リピートされる商品ほど、CACを高くかけられます。

「CACはいくらまでなら大丈夫か」という許容ラインを決めるのは、業種というより商品の粗利率とリピート率。同じCAC 5,000円でも、許せる業種と許せない業種があります。

業種タイプ別のCAC許容度:粗利率とリピート率で許せるCACの上限が変わる4象限

サプリや化粧品のように粗利率が高く定期購入されやすい商品は、1人のLTVが大きく、最初のCACが高めでも何度も買ってもらううちに回収できます。逆に粗利の薄い食品や単発で終わる日用品は、LTVが小さいぶん許せるCACも低くなります。だからこそ、他社の「CACの平均」をそのまま当てはめるのは危険です[1][2]。自社の許容ラインは、自社の粗利率とリピート率から計算するのが正しい順番です。粗利率の出し方は粗利率:ECで損益分岐を見つける計算式で整理しています。

5.CACがGA4で見えにくい理由#

結論: GA4は来訪起点の設計なので、チャネル別のCACとLTVを並べるのに手間がかかる。 ここが多くのECがつまずく点です。

CACを正しく出すには、チャネルごとの「かけたコスト」「増えた顧客数」「その顧客のLTV」を突き合わせる必要があります。ところがGA4はセッション(来訪)起点の設計で、来訪数やコンバージョン数は見やすい一方、チャネル別CACを出すには広告費と顧客数を別で集めて手で割り算することになります。「CACは安いが1回しか買わない」チャネルと「CACは高いが長く買う」チャネルを見分けようとすると、CACとLTVを同じ画面で並べたくなりますが、これをGA4だけで毎月続けるのはかなりの手間です。

私たちが作っているRevenueScopeは、売上を起点にチャネル別のRPS(来訪あたりの売上)やAOV(客単価)を並べます。どのチャネルの顧客が長く買っているかが見えるので、「このチャネルはCACが高くても回収できる」といった投資判断を、売上の実態に沿って進めやすくなります。

6.FAQ#

Q. CACには人件費も入れるべきですか。

理想は入れます。広告運用やコンテンツ制作の人件費まで含めると実態に近づきます。把握が大変なら、まずは広告費+ツール費から始め、慣れてきたら人件費を足す形でも構いません。

Q. CACとCPAはどちらを見ればいいですか。

目的で使い分けます。広告クリエイティブや入札の改善にはCPA、広告投資を増減する判断にはCACが向きます。両方を見るのが理想です。

7.自社のCACを実測する3step#

結論: CACの実測は、総コストの集計 → 新規顧客数で割る → LTVと並べて判断、の3stepで進めます。

step1:獲得にかけた総コストを集計する

対象期間(まずは直近1か月)の広告費・ツール費・人件費を合計します。最初は広告費+ツール費だけでも構いません。毎月同じ範囲で集計し続けることが大事です。

step2:新規顧客数で割ってCACを出す

同じ期間に増えた新規顧客数で総コストを割ります。リピート購入は数えず、「新しく増えた顧客の数」で割るのがポイントです。

step3:LTVと並べて投資判断につなげる

出したCACを、顧客のLTV(当面は粗利の見込みでも可)と並べ、LTV:CACが3:1に届いているか、チャネルごとに差がないかを確認します。RevenueScopeなら、チャネル別の売上とRPSを並べて見られるので、「どのチャネルの顧客が長く買い、CACをかけても回収できるのか」を売上の実態から判断できます。

まとめ#

CACは、新規顧客1人を集めるのにかかった総コストです。広告費だけでなく人件費やツール費まで含めると、実態に近づきます。ただしCACは単体では判断できません。LTVと並べて3:1を目安に見ること、業種ではなく自社の粗利率とリピート率から許容ラインを決めること。この2つが投資判断の土台です。まずは直近1か月のCACを実測するところから始めてみてください。

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