チラシに刷ったQRコードから何人が訪問して、いくら売れたのか? GA4を開くと、その訪問はDirectにまとめられていて、紙媒体の販促だけを取り出せません。これは計測の不具合ではなく、紙媒体から開いたURLには参照元の情報が付かないという仕組みの話です。では何を軸に測るのかを整理します。
目次
この記事のまとめ#
- 紙媒体のQRコードから訪問した人には参照元の情報が無く、GA4がDirectに分類するのは正しい動作
- これから刷る分は、QRの読み取り先URLにUTMを付けておけば媒体別・設置場所別に分けられる
- 付け忘れた過去のセッションに後からUTMを付ける方法は無い。分けられるのは目印を付けた日から先だけ
- 架空店舗の一例では、セッションの6割近くを占めるレジ横のPOPだけが売上0円。量の首位と売上の首位が別だった
- UTMを付けた後も、紙媒体と広告とメールを毎月同じ基準に並べ直す作業は手元に残る
1. 紙媒体のQRコードから来た訪問を、GA4はDirectに分類する#
設定を見直しても、この分類は直りません。直す対象ではないからです。
Webページのリンクをクリックして別のサイトへ移動すると、ブラウザが「どのページから来たか」という参照元の情報を送ります。GA4はこれを読んで、Instagramから来た訪問とGoogle検索から来た訪問を分類しています。
紙媒体のQRコードには、この前のページが存在しません。スマートフォンのカメラアプリがURLを読み取って開くだけなので、送る情報がありません。GA4から見ると、URLを手で打ち込んだ訪問やブックマークから開いた訪問と区別がつかず、まとめてDirectとして記録されます。
つまり、紙媒体の販促を実施している月にDirectが膨らむのは、仕組みから予想できる結果です。QRコード側の作り方を変えても、読み取るアプリを指定しても、参照元の情報が生まれるわけではありません。なおDirectが増える原因は紙媒体のQRだけではないので、心当たりを一通り確認したい場合はGA4「Direct/(none)」が増える5つの原因を参照ください。この記事はQRコードに絞ります。
紙媒体の販促は測れるのか、という問いはここで終わりです。参照元が向こうから渡ってこないのなら、読み取り先のURLに情報を持たせておけば済みます。これから刷る分に、どの媒体のどこへ置いたQRから来たのかを自分で書き込んでおく。それが紙媒体の販促を測る唯一の方法です。
2. これから刷る分は、UTMを付ければ分けられる#
QRコードの読み取り先URLにUTMパラメータを付けておくと、Directにまとめられていた訪問が媒体別・設置場所別に分かれます。
UTMパラメータは、URLの末尾に付ける「どこから来たか」を書き込むための目印です。Googleのヘルプでも、URLにパラメータを追加するときはutm_source・utm_medium・utm_campaignの3つを使うことになっています[1]。決めるのはこの3つで、設計の原則はそれぞれ1行で済みます。
utm_source には媒体の種類を入れます。flyer、poster、pop のように、紙媒体の何に刷ったのかが読み取れる値にします。utm_medium は紙媒体の販促だと後から分かる共通の値に固定します。print でも offline でも構いませんが、社内で1つに決めて、以降はその値だけを使います。utm_campaign には設置場所と時期を入れます。あとで「8月に同梱したチラシ」と「8月の店頭ポスター」を区別できる粒度にしておきます。
例えば、商品に同梱するチラシと店頭ポスターなら、読み取り先はこうなります。
https://example.com/?utm_source=flyer&utm_medium=print&utm_campaign=flyer-insert-2608
https://example.com/?utm_source=poster&utm_medium=print&utm_campaign=poster-store-2608
値は小文字とハイフンに寄せます。表記が1文字でも違えば別のキャンペーンとして集計されるため、flyer-insert と flyer_insert が混ざると同じチラシが2つに分かれます。URLはCampaign URL Builder[2]に入力すれば作れるので、できあがったURLからQRコードを作成します。命名規則とGA4側の分類ロジックの噛み合わせはUTMパラメータの正しい使い方に整理しました。

ここで押さえておきたいのが、これが今日から先だけの話だという点です。UTMを付けずに刷ったチラシから来た過去の訪問は、Directにまとまったまま残ります。後からUTMを付け直す方法はありません。半年前のチラシがいくら売り上げたのかを、今から取り出すことはできないということです。
だから、比べられる期間は始めた月から数えることになります。次に入稿する1枚から付けるのが、いちばん早く判断材料が積み上がる方法です。
3. アクセス最多のレジ横QRだけ、売上が0円だった#
4か所のうち1か所だけ、売上が0円でした。しかもそこが、セッションでは全体の6割近くを占めています。
架空店舗N(実店舗とECを併営するコーヒー豆の店)の一例です。QRコードを4か所に設置し、それぞれ別のキャンペーン名を付けて1か月分を集計しました。

| 設置場所 | セッション | 売上 | RPS |
|---|---|---|---|
| レジ横のPOP | 1,200 | 0円 | 0円 |
| 商品同梱のチラシ | 400 | 8万円 | 200円 |
| 店頭ポスター | 300 | 3万円 | 100円 |
| ポスティングのチラシ | 200 | 1万円 | 50円 |
RPS(セッションあたり売上=1回の訪問がいくら稼いだか)で見ると、首位は商品同梱のチラシです。売上が0円だったレジ横のPOPは、セッションでは2,100のうち1,200を集めていて、量では1番でした。
読み取っているのが誰かを考えると、説明はつきます。レジ横のPOPを読み取るのは、会計を終えた直後の来店客です。欲しいものは今この場で買ったばかりなので、オンラインストアを開いてもその日に注文する理由がありません。同じ月のうちに1,200回読み取られていても、売上には接続していないということです。
商品同梱のチラシは逆で、届いた荷物を開けたときに読み取られます。手元の豆を気に入ったかどうかが決まったタイミングなので、次の注文の入口になります。400セッションで8万円は、この4か所では最も効率の良い入口でした。
ここで「レジ横は0円だから撤去する」とは判断しません。役割が違うためです。会計後に読み取られたQRは、次の来店や再購入のきっかけとして働いている可能性が残ります。ただし、その可能性を確かめるにも設置場所ごとの数値が要ります。1か所ずつ別のキャンペーン名を付けていなければ、この表そのものが作れません。
読み取り回数を増やす施策と、売上を増やす施策は別だということです。設置場所の評価は、量ではなく1回の訪問がいくら稼いだかで決めます。
4. 分かるのはUTMを付けた日から先、その後も作業は残る#
GA4でも、UTMを付けた分についてはキャンペーン別の収益を確認できます。ここから先に残るのは、その粒度を毎月同じ形で読み直す作業のほうです。
まず時間の制約があります。分かれるのはUTMを付けた日から先だけで、それ以前にDirectへまとまった分は今から分解できません。「去年のチラシと今年のチラシ、どちらが効いたのか」という比較は、去年の側に目印が無ければ成立しません。紙媒体の販促は年に数回しか実施しないことも多いので、付け始めてから比較できる回数が2回3回と積み上がるまでには、それなりの月数がかかります。
次に運用の制約があります。表記のゆれで flyer-insert-2608 が Flyer-Insert-08 になれば別のキャンペーンとして集計されるので、社内で決めた1つの書き方を入稿のたびに守ることになります。そのうえで毎月やってくるのが、見比べです。
紙媒体の販促の判断は「来月は刷るか、置き場所を変えるか、枚数を減らすか」で、月次で回ります。そのたびに先月と今月を同じ形にして、設置場所ごとのRPSがどう変わったかを確認します。しかも比べたい相手は紙媒体だけではありません。同じ月に実施した広告やSNS、メールと同じ基準に並べ直して初めて、印刷費を増やすのか広告費に回すのかが決まります。この並べ直しが、判断のたびに発生します。キャンペーン単位で売上効率を見る考え方はUTMキャンペーン別の売上効率にまとめました。
そして、目印の付いていない訪問はこの先も生まれ続けます。紙媒体のQR以外にもDirectへ入る経路はあり、その内訳はDirectに紛れるAI経由の流入で扱っています。紙媒体の販促を判断したいなら、目印の付いた分と付いていない分を切り分けたうえで、同じ画面で見比べられる状態が要ります。
RevenueScopeの解決策
紙媒体の販促を広告やメールと同じ基準に載せる部分を、RevenueScope が解決します。チャネル別のセッション・売上・RPSが1画面に並ぶので、紙媒体のQRも、広告も、メールも同じ指標で比べられます。計測のために足すのは、自社サイトに置くタグ1行だけです。
目印を付けた分はDirectから出て、独立したチャネル行として立ちます。その行を開くと、utm_campaign別に売上・RPS・AOV(注文単価=1注文あたりの売上)・CVR(成約率=購入に至ったセッションの割合)が並びます。設置場所ごとの成績は、この展開の中で読みます。
RevenueScopeはChatGPTやClaudeから直接呼び出せます。つないだAIが自社ECのデータを読んで回答します。集計用の設定もSQLの記述も不要です。「紙媒体のQRごとに、1セッションがいくら稼いでいる?」と聞いたときの返り方を、架空店舗Nの1か月ぶんで書き出すと次のようになります。
| キャンペーン | セッション | 売上 | RPS | AOV |
|---|---|---|---|---|
| flyer-insert-2608 | 400 | 8万円 | 200円 | 8,000円 |
| poster-store-2608 | 300 | 3万円 | 100円 | 6,000円 |
| postal-flyer-2608 | 200 | 1万円 | 50円 | 5,000円 |
| pop-register-2608 | 1,200 | 0円 | 0円 | — |
※ この表は説明のための一例(イメージ)です。ボタンの先で動いているのは見本ECのサンプルデータ(日々更新)なので、キャンペーン名も金額も別のものが表示されます。
RPSの首位は商品同梱のチラシで、AOVでも8,000円と最も高くなりました。読み取ってから注文した人の単価が高いということなので、この入口は枚数を増やす価値があります。レジ横のPOPはセッションの半分以上を生みながら売上が付いていないので、購入の入口としてではなく、再来店や再購入のきっかけとして別に評価します。
次の一手は決まります。来月の印刷費は、RPSとAOVの両方で首位だった商品同梱のチラシに寄せる。レジ横のPOPは枚数を維持したまま、読み取り後の再訪が起きているかを翌月に確認する。設置場所ごとにキャンペーン名が付いていれば、紙媒体も広告もメールも毎月同じ画面に並ぶので、この判断を毎回同じ形で出せます。
FAQ#
よくある質問#
Q. QRコード作成サービスの読み取り回数の集計でも足りますか?
A. 何回読み取られたかは分かります。分からないのは、その読み取りが注文になったかどうかです。注文まで追うなら、読み取り先URLに目印を付けてサイト側で見ます。RPSはサイト側のセッションと売上だけで出るので、読み取り回数と突き合わせる必要はありません。
Q. 印刷済みのQRコードに、後からUTMを付けられますか?
A. 転送先を変更できる仕組みでURLを作っていれば、転送先にUTMを付けて対応できます。固定のURLを直接埋め込んだQRコードは作り直しになります。どちらの場合も、付ける前に読み取られた訪問は分かれません。
Q. utm_mediumは、printとofflineのどちらがよいですか?
A. どちらでも構いません。決め手は値の中身ではなく、社内で1つに固定することです。値が混ざると同じ紙媒体の販促が2つに分かれて集計され、比較のたびに手作業で戻すことになります。
Q. SNSから来た訪問もDirectに入っていますが、QRと区別できますか?
A. UTMを付けたQRから来た分は、キャンペーン名で切り分けられます。UTMの付いていないSNS経由がDirectに残る仕組みはInstagramのDirect流入と売上で扱っています。まずQR側に目印を付けておくと、残ったDirectの正体を絞り込みやすくなります。
まとめ#
紙媒体のQRコードから来た訪問がDirectにまとまるのは、参照元の情報が渡らないためで、正しい動作です。設定を見直しても直りません。
これから刷る分は分けられます。utm_sourceに媒体の種類、utm_mediumに紙媒体の販促だと分かる共通の値、utm_campaignに設置場所と時期。この3つを決めて、Campaign URL Builderで作ったURLからQRコードを作成します。値は小文字とハイフンに寄せて、社内で1つに固定します。
そして、付け忘れた過去分は取り返せません。比べられるのはUTMを付けた月から先だけです。
架空店舗Nの一例では、セッションの6割近くを占めるレジ横のPOPが売上0円で、RPSの首位は400セッションの商品同梱チラシでした。量の首位と売上の首位は、別の設置場所にありました。
次に刷るチラシとPOPは、URLにUTMを付けてから入稿してください。今日付けた目印の分だけ、来月の判断材料が増えます。
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