「うちのカートで、ちゃんと購入を計測できるの?」。ネットショップを選ぶとき、よく出る不安です。
カートを比べる記事の多くは、「dataLayer や GTM に対応しているか」という対応可否で話を終えます。たしかに、購入イベントを送れるかどうかは入口として大事です。でも、本当の差はその先にあります。計測できたデータをチャネル別の売上効率まで分けて、次の投資先を判断できるか——ここで差がつきます。本記事では主要 5 カートの計測可否と導入の手間を地図にし、設定の先にある収益判断まで案内します。
まとめ解説動画
目次
この記事のまとめ#
先に結論をまとめます。
- カート選びは「dataLayer や GTM で購入を計測できるか」という可否で語られがちだが、可否はあくまで入口にすぎない
- 主要 5 カートは可否と導入の手間がばらばらで、簡単なカートほど分析の自由度は低く、自由なカートほど構築は重い
- 「自由に分析できる」と言っても、取れるのは生のイベント。チャネル別の売上効率まで自動で出るわけではない
- 本当の差は計測できた後に出る。同じ売上もチャネル別に割ると効率が逆転し、アクセスが多いチャネルが一番儲かるとは限らない
- この「チャネル別の売上効率(RPS)をそろえて見比べる」見方は、GA4 の標準レポートやカート標準には構造的に無い
1.dataLayer対応とは何か#
結論:dataLayer は「サイトの中で起きたことを計測ツールに渡す箱」。GTM はその箱を読んで送る仕組みです。
ネットショップの計測では、「商品を見た」「カートに入れた」「買った」という出来事を、数字として送る必要があります。このとき、出来事の中身(金額・商品名・個数など)をいったん入れておく箱が dataLayer(データレイヤー) です。そして、その箱を読んで GA4 や広告に送るのが GTM(Google タグマネージャー) という仕組みです [1]。
「dataLayer に対応している」とは、ざっくり言えば「購入などの出来事を、決まった形でこの箱に入れてくれる」状態を指します。箱が整っていれば、GTM 側の設定は楽になります。逆に箱が無いカートでは、自分で出来事を拾って箱に入れるところから作ることになります。
ここで覚えておきたいのは、対応可否は「できる/できない」の入口の話だということです。送れるようになっても、その数字をどう読むかは別の問題です。まずは、主要なカートが入口でどれだけ違うかを見比べてみます。
2.主要5カートの計測可否を比較#
結論:可否と導入の手間はカートごとに大きく違い、ひとつの正解はありません。
国内でよく使われる 5 つのカートについて、購入イベントの送り方と導入の手間を並べました。

カートはおおまかに 3 タイプに分かれます。
ひとつ目は、仕組みを内蔵しているタイプです。Shopify は Web Pixels(カスタマーイベント)という仕組みで計測を入れます [3]。カラーミーは管理画面にタグを直接置けます [5]。決まったやり方に乗れるので、入口でつまずきにくいタイプです。
ふたつ目は、手軽だが範囲が限られるタイプです。BASE は拡張機能で計測を足し [4]、STORES はプランによって対応が変わります。すぐ始められる代わりに、送れるデータや分析の自由度は限られます。
3 つ目は、自由に作れる代わりに重いタイプです。EC-CUBE はソースを触れるので、出来事を好きな形で箱に入れられます。その分、設定には開発の手が必要で、導入の手間は大きくなります。
ひとつ注意があります。対応状況はプランやバージョン、入れたアプリで変わります。この表は「正解の早見表」ではなく、「どれが計測しやすいか」の地図として読んでください。最新の対応は各カートの公式ヘルプで確認するのが安全です。
3.計測のしやすさと分析の自由度で見る4象限#
結論:「すぐ使えて、自由に分析できる」右上に届くカートは、ほとんどありません。
可否だけでなく、「導入のしやすさ」と「分析の自由度」の 2 つの軸で 5 カートを置くと、傾向が見えてきます。

図を見ると、カートは右上を空けたまま、斜めに並びます。簡単に始められる BASE や STORES は、分析の自由度が低めです。逆に自由度が高い EC-CUBE は、構築に手間がかかります。Shopify はその中間にいます。つまり「導入も簡単で、分析も自由」という都合のいい場所に届くカートは、なかなかありません。
そして、もっと大事な点があります。ここで言う「分析の自由度」とは、生のイベントを好きな形で取れるという意味にすぎません。自由度が高いカートでも、取れるのは「いつ・いくら・何が買われたか」という素材です。その素材をチャネル別の売上効率(どの流入が効率よく売れているか)まで自動で並べてくれるわけではありません。
言いかえると、4 象限のどこを選んでも、計測の入口を整えたところで止まります。本当の判断材料は、計測できた後に自分で組み立てることになります。
4.計測できた先で差がつくチャネル別の売上効率#
結論:同じ売上も、チャネル別に割ると効率が逆転します。ここが計測の入口を越えた先の本番です。
購入イベントを送れるようになったとします [2]。次にぶつかるのは、「結局どの流入が効率よく売れているのか」という問いです。ここで差がつきます。
たとえば、流入を呼んだチャネル別に「1 訪問あたりの売上(RPS)」を出すと、思っていた順位がひっくり返ることがあります。

アクセス数が多い Google 検索が、必ずしも効率の一番ではありません。流入は少なくても、メルマガのほうが 1 訪問あたりの売上は高い、ということが起きます。アクセスの多さと、売上の効率は別物だからです。この見分けができて初めて、限られた予算を一番効くチャネルに回せます。
ところが、この「チャネル別の売上効率をそろえて見比べる」見方は、簡単そうで重い作業です。カートや GA4 の標準レポートは、訪問数や購入数は出しても、チャネル別の RPS や客単価を同じ並びで横に見比べる画面を標準では持っていません。さらに流入にはボット(自動アクセス)が混じり、売上の出ない訪問がチャネルごとにばらつきます。これを毎月・全チャネル分そろえて手作業で出すのは、かなりの反復作業です。
なお、購入イベントそのものの入れ方(GTM の具体的な設定手順)は、本記事では深追いしません。実装のやり方は GA4 カスタムイベント設定完全ガイド や GA4 eコマース設定を 30 分で終わらせるチェックリスト にまとめています。本記事は「計測できた後、その数字をどう投資判断につなげるか」に絞ります。計測した後にチャネルの売上をどこまで見られるかは 国内ECカート4社のチャネル分析を比較 も参考になります。
RevenueScopeの解決策
結論:計測の入口を整えた後に残るのは「チャネル別の売上効率を、ボットを除いて 1 画面で見比べる」こと。これはカートや GA4 の標準には無く、RevenueScope が埋める地点です。
カートを選んで計測を入れても、必ず次の壁にぶつかります。「どのチャネルが効率よく売れているのか」が、ひと目で見えないという壁です。
RevenueScope は、整えた dataLayer にタグを 1 つ足すだけで相乗りする、売上特化の軽いダッシュボードです。カートを作り替える必要はありません。すでに送っている購入データを使い、チャネル別に売上(Revenue)・客単価(AOV)・1 訪問あたり売上(RPS)・購入率(CVR)をそろえて並べます。ボットを除いたきれいな数字で並ぶので、上の逆転がそのまま見えます。
AI や画面に渡るのは、たとえば次のように整った数字です(表示はデモデータ)。
| チャネル | 売上 | RPS(訪問あたり売上) | 購入率 |
|---|---|---|---|
| メルマガ | 28万円 | 172円 | 5.4% |
| Google検索 | 96万円 | 94円 | 3.2% |
| Instagram広告 | 64万円 | 61円 | 2.1% |
この表を見ると、売上の絶対額が一番大きいのは Google 検索です。ところが 1 訪問あたりの売上(RPS)で見ると、メルマガが一番上にきます。Instagram 広告は売上はそこそこでも、効率は最下位です。「アクセスが多いチャネル=一番儲かる」とは限らない、という逆転がひと目で分かります。チャネル別の売上効率の読み方は RPSとは|広告チャネル比較の指標 でも解説しています。GA4 の売上が合わないと感じる場合は GA4の売上がShopifyと合わない理由 も合わせて読むと、ズレの前提が整理できます。
ただし、できることには境界があります。RevenueScope が出すのは、売上・客単価・RPS・購入率・訪問数の 5 つと、その分解です。在庫の回転、顧客生涯価値(LTV)、粗利は範囲外で、会計や顧客管理(CRM)のツールが担う領域です。RevenueScope が補うのは、チャネル別・新規/リピート別の売上効率で「見かけの好調」を見分ける部分に絞られます。GA4 の置き換えでもありません。細かい行動分析は GA4、日々のチャネル別の売上判断は RevenueScope、という補い合いの使い方が向いています。
5.よくある質問#
Q. カートが dataLayer に対応していれば、もう計測は十分ですか。
入口としては大事ですが、十分ではありません。dataLayer 対応は「購入の出来事を送れる」状態です。その数字をチャネル別の売上効率まで分けて、どこへ投資するか判断するのは別の作業です。対応可否は地図の入口にすぎないと考えてください。
Q. EC-CUBE のように自由なカートなら、何でも分析できますか。
生のイベントを好きな形で取れる自由はあります。ただし、それは素材を集められるという意味です。チャネル別の RPS や客単価を、同じ並びで見比べる画面が自動で用意されるわけではありません。自由度の高さと、売上判断のしやすさは別の話です。
Q. カートを乗り換えないと、売上効率は見られませんか。
いいえ。今のカートで購入を計測できていれば、その数字に相乗りする形で見られます。RevenueScope はタグを 1 つ足すだけで、既存の計測の上にチャネル別の売上効率を重ねます。カートを作り替える必要はありません。
まとめ#
ネットショップのカートを比べるとき、つい「dataLayer や GTM に対応しているか」という可否で話を終えてしまいます。たしかに、購入を送れるかどうかは入口として大事です。主要 5 カートは可否も導入の手間もばらばらで、簡単なカートは自由度が低く、自由なカートは構築が重い、という傾向があります。
でも、可否はあくまで入口です。「自由に分析できる」と言っても、取れるのは生のイベントで、チャネル別の売上効率まで自動で出るわけではありません。本当の差は計測できた後に出ます。同じ売上もチャネル別に割ると効率が逆転し、アクセスが多いチャネルが一番儲かるとは限らないからです。
そして、この「チャネル別の売上効率をそろえて見比べる」見方は、カートや GA4 の標準には構造的にありません。だから、カートを選び終えても話は終わりません。計測できた数字を、投資判断につなげる仕事が残っています。そこまでやって初めて、限られた予算が一番効くチャネルに回せるようになります。
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参考文献#
- [1] Google タグマネージャー ヘルプ 「データレイヤー」 2026 年(最終確認)(support.google.com)
- [2] Google アナリティクス ヘルプ 「[GA4] e コマースのイベントを測定する」 2026 年(最終確認)(support.google.com)
- [3] Shopify Developer ドキュメント 「Web Pixels(カスタマーイベント)について」 2026 年(最終確認)(shopify.dev)
- [4] BASE よくある質問 「アクセス解析・計測タグの設定」 2026 年(最終確認)(help.thebase.in)
- [5] カラーミーショップ マニュアル 「アクセス解析」 2026 年(最終確認)(shop-pro.jp)




