ChatGPTなどのAIが記事を引用するとき、日本語版と英語版のどちらを選んでいるかを意識しているEC事業者は多くありません。RevenueScopeは記事を日本語版・英語版の両方で公開しており、その90日ぶんのAI流入を自社サイトで測ってみたところ、意外な差が出ました。同じ会社の、ほぼ同じ内容の記事なのに、なぜ引用は英語版に偏ったのでしょうか?しかも中身をよく見ると、「英語版だけが強い」という単純な話でもありませんでした。本記事では、自社の実測データをもとに、AIの引用が言語版でどう割れるのか、それをどう見ればGEO(AIの回答に引用されやすいサイトづくり)の投資配分を決められるのかを、順番に整理します。
この記事のまとめ#
- 自社の日英サイトで90日のAI流入を測ると、AIが引用して送ってきた流入は英語版が日本語版の約2.7倍と、英語版に大きく偏っていました
- ただし「英語版だけが強い」わけではありません。同じ記事でも日本語版のほうが多く引用されたページがあり、引用は言語版で割れます
- どのAIから来たかも言語で違いました。英語版はChatGPTがほとんど、日本語版はGeminiやCopilotの比率が上がります
- だからGEOは「英語版を厚くするか」「日本語の取りこぼしを追うか」の二択でなく、ページ×言語版×AIソースで実測を見て配分を決めるのが現実的です
1. 日英サイトでAIが引用したのは英語版が多かった#
結論から言うと、当サイトでは、AIが引用して送ってきた流入は英語版に大きく偏っていました。数字で言うと、90日間で英語版のセッション数は日本語版のおよそ2.7倍です。引用が発生したページ数も、英語版は日本語版のおよそ2倍と差がつきました。

英語版に偏る理由は、AIが答えを組み立てるときの土台が英語に厚いからだと考えられます。AIは世の中の大量の文章を学び、検索でも情報を集めて答えを作ります。その学習も、情報の集まり方も、英語のほうが量が多い。だから同じ内容でも、英語で書かれた情報のほうが引用の候補に上がりやすくなります。EC事業者にとっては、「英語圏の読者を狙っていないのに、なぜ英語版を用意するのか」という疑問が出ます。ここは自社のサイトを人間向けだけで見るか、AIエージェントが読む前提でも用意するかの判断につながります。この論点はお店は人間向けか、AIエージェント向けか|これからのEC設計でくわしく扱っています。
ちなみに、この数字はAI経由の流入の全てではありません。AIアシスタントは訪問のたびに参照元の情報を送ってくるとは限らず、参照元が分からない訪問は数えられません。だからこの数字は、参照元が分かって確認できた分の下限だと受け取ってください。それでも、英語版と日本語版の間にこれだけの差が出るのは、無視できない傾向です。
2. 同じ記事でも引用は言語で割れる#
とはいえ、「英語版だけが強い」わけではありません。同じ記事でも、日本語版のほうが多く引用されたページがありました。

両方の言語版がAIに引用された記事を4本取り出して、言語別のセッションシェアを見比べたのが上の図です。記事A(GA4のDirectの原因)は、英語版のシェアが日本語版の3倍で、英語版が上回りました。ところが残りの3本は逆です。記事B(業種別ROASベンチマーク)・記事C(ROAS完全ガイド)・記事D(GA4使いこなしの壁)は、いずれも日本語版のほうが多く引用されました。4本のうち3本で、勝っている言語版が入れ替わったわけです。
ここから言えるのは、「言語版」だけを基準にすると引用の偏りを見誤る、ということです。テーマや、その内容がどの言語で多く検索・議論されているかによって、引用されやすい言語版が変わる。GA4のDirectのような英語圏でよく語られるテーマは英語版が拾われ、日本語の読者が具体的に悩むテーマは日本語版が拾われる。つまり「英語版を厚くすれば勝ち」ではなく、ページごとに勝っている言語版が違うのです。AIの回答はごく少数の情報源しか引用しないので、どちらの言語版が引用される側に入れているかを、ページ単位で見ておく価値があります。この考え方はAI検索でのブランドの見え方|引用される側に入る条件でも整理しています。
3. AIによって引用の偏り方が違う#
さらに、どのAIから引用されたかも言語で違いました。同じ流入でも、英語版と日本語版では出どころのAIの顔ぶれが変わります。

英語版のセッションを出どころ別に見ると、ChatGPTが9割前後と大半を占め、Claude・Geminiはごくわずか、Copilotはほぼゼロでした。ほぼChatGPT一色です。ところが日本語版は、ChatGPTが5割弱、Geminiが3割、Copilotが2割と、出どころが分かれます。英語版ではほとんど現れなかったGeminiやCopilotが、日本語版では相応の比率を持っている。同じサイトでも、言語版によって効いているAIの内訳が違うということです。
これはGEOの打ち手に直結します。もし英語版だけを見て「うちはChatGPT対策をすればいい」と決めると、日本語版で流入をくれているGeminiやCopilotへの手が抜け落ちます。逆に日本語版だけで判断すると、英語版で効いているChatGPTの比重を読み違えます。どのAIに向けて何を整えるかは、言語版ごとに配分を変えるのが現実的です。ChatGPTに引用されるための基本的な整え方はChatGPTに引用されるには|GEOの基本と最初の一手で扱っているので、あわせて読んでみてください。
RevenueScopeの解決策
ここまでで、AIの引用は英語版に偏るものの、ページによっては日本語版が上回り、どのAIから来るかも言語で違う、と分かりました。残るのは「では、英語版を厚くすべきか、それとも日本語の取りこぼしを追うべきか」という投資配分の判断です。ところが、これを自分で確かめようとすると壁が2つあります。1つは、GA4にはAIソースの内訳がないこと。ChatGPTから来たのかGeminiから来たのかを、標準では分けられません。もう1つは、GSC(Google Search Console)が拾うのはGoogle検索の露出だけで、AIの引用は範囲の外だということです。つまり「着地ページ×言語版×AIソース」というビューは、この2つの標準ツールでは原理的に作れません。AIアクセスのコストと、まず自分の流入を測る話でも、この測りにくさに触れています。
RevenueScope の get_ai_traffic は、このビューをそのまま返します。AI経由でクリックして来た流入を、着地ページ別・引用元のAIソース別に分け、それぞれのセッション数と、最後にそのページが引用された日をそろえて返します(売上が出ているサイトなら、訪問あたりの売上まで同じ画面に並びます)。私たちの自社サイトで実際に返ってくるビューのイメージが、次の表です(セッション数の列は割愛しています)。
| 着地ページ | 言語版 | AIソース | 最終引用日 |
|---|---|---|---|
| /en/news/ga4-direct-none-causes | 英語版 | ChatGPT | 2026-05-16 |
| /en/news/ga4-direct-none-causes | 英語版 | Claude | 2026-07-09 |
| /news/ga4-direct-none-causes | 日本語版 | Copilot | 2026-06-01 |
| /news/roas-benchmark-by-industry | 日本語版 | ChatGPT | 2026-07-08 |
| /news/ga4-full-utilization-wall | 日本語版 | Gemini | 2026-06-11 |
この表からわかるのは、同じ記事でも言語版によって引用の付き方が違うことです。GA4のDirectを扱った記事は、英語版がChatGPTとClaudeの両方から引用される一方、日本語版はCopilotから引用されている。同じ記事なのに、言語版が変わると出どころのAIまで変わります。GA4の使いこなしの壁を扱った記事は、日本語版がGeminiから引用されていますが、この記事の英語版はセッション数が少なく表には入っていません。もし「AIに出ているか」を英語版でまとめて見ていたら、日本語版で伸びているページや、そこで効いているAIソースを見落としていたかもしれません。着地ページ×言語版×AIソースでそろえると、「英語版を厚くする」「日本語を追う」のどちらに、どのページで投資すべきかが、実測を根拠に選べます。
数字の性質は先に触れた通り(参照元が分かった分の下限)ですが、もう一点補足します。RevenueScope が数えるのは、クリックして実際に来た流入とその内訳であって、「AIにどれだけ言及されているか」という露出の総量ではありません。粗利や在庫の数字は、この仕組みの対象外です。RevenueScope がやるのは、AI流入をbotを除いたうえで着地ページ別・言語版別・AIソース別に分け、見比べる材料を整えるところまで。どの言語版に賭けるかは、あなたが決めます。
FAQ#
よくある質問#
Q. 英語版を作ったほうがいい、ということですか?
A. 一概には言えません。私たちのサイトではAI経由の引用が英語版に偏りましたが、これはサイトによって変わります。しかも同じ記事でも、日本語版のほうが多く引用されたページがありました。まずは自分のサイトで、どの言語版がどのページで引用されているかを測るのが先です。英語版を用意するかどうかは、その実測を見てから決めるほうが、勘で英訳を量産するより無駄がありません。
Q. なぜ英語版のほうがAIに引用されやすいのですか?
A. AIが答えを組み立てる土台が、英語に厚いためだと考えられます。学習した文章の量も、検索で集まる情報の量も、英語のほうが多い。だから同じ内容でも英語で書かれた情報が候補に上がりやすくなります。ただし、これは全ページに当てはまる法則ではありません。日本語の読者が具体的に悩むテーマでは、日本語版のほうが引用されることもあります。当てはまり方はテーマ次第です。
Q. AIに引用されれば、それで売上は増えますか?
A. つながることもありますが、必ずではありません。AIに「引用されている(露出)」ことと、その流入が「買っている(売上)」ことは別の層です。本記事で見たのは引用から流入までの話で、売上まではまた別の測り方が要ります。打った手を露出でなくAI経由の流入や売上で測ると、続ける手を数字で選べます。
まとめ#
自社の日英サイトで90日のAI流入を測ると、AIが引用して送ってきた流入は英語版が日本語版の約2.7倍と、英語版に大きく偏っていました。理由は、AIが答えを組み立てる土台が英語に厚いからだと考えられます。
ただし「英語版だけが強い」わけではありません。同じ記事でも日本語版が上回るページがあり、4本のうち3本で立場が入れ替わりました。どのAIから来たかも言語で違い、英語版はほぼChatGPT、日本語版はGeminiやCopilotの比率が上がります。引用の偏りは、言語版という一軸だけで語れるものではないのです。
だからGEOは「英語版を厚くするか」「日本語の取りこぼしを追うか」の二択ではありません。着地ページ×言語版×AIソースで実測をそろえ、どのページでどの言語版・どのAIが効いているかを見てから、投資の配分を決めるのが現実的です。露出だけを追うと、出ているのに流入につながらない努力に時間を使いがちです。現在地を数字でそろえれば、続ける手と捨てる手を根拠を持って判断できます。
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参考文献#
- 本記事の数値は、RevenueScope自社サイトの90日間の実測(
get_ai_trafficreferred mode・2026年7月時点)に基づきます。AIアシスタントは訪問のたびに参照元の情報を送ってくるとは限らないため、数値は確認できたぶんの下限です。



