「GA4 の画面を開いたら『コンバージョン』 が消えていて、代わりに『キーイベント』 という見慣れない言葉が出てきた」 — 2024 年の GA4 用語改名以降、こういう声が現場でぐっと増えました。同じ機能が名前だけ変わったように見えて、実際は Google Ads 側との関係が整理されたり、過去の設定が自動で引き継がれたりと、地味に大きな変更が起きています。
本記事では「コンバージョン」 と「キーイベント」 の違いを 2024 年改名の背景から整理し、現場での使い分け・過去設定の引き継ぎ・売上判断にどう活かすかまで一気に解説します。シリーズ「これだけは押さえたい・今さら聞けない Web マーケ基礎指標」 第 4 回です (第 3 回は直帰率とエンゲージメント率の違い)。
この記事のまとめ#
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2024 年に GA4「コンバージョン」 が「キーイベント」 に改名され、Google Ads 側の「コンバージョン」 と用語レベルで分離された
GA4 の重要イベントは「キーイベント」、Google Ads が広告効果として計測するのは「Ads コンバージョン」 という二層構造になった
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過去に設定したコンバージョンイベントは自動でキーイベントに移行されるため、再設定は不要
Admin 画面のラベルや一部レポート名が変わっただけで、計測ロジックや過去データはそのまま継承されている
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キーイベント数は「確度シグナル」 にすぎず、それ単体では投資判断はできない
投資判断には「どの広告チャネル経由か」 「セッションあたりいくら売れたか (RPS)」 まで分解する必要がある

1. なぜ用語が変わったのか : UA→GA4 の整理と 2024 改名#
GA4 の「キーイベント」 は突然出てきた言葉ではなく、Google が長年抱えていた「同じ言葉が別の場所で別の意味で使われている」 問題を整理した結果です。
UA「目標」 から GA4「コンバージョン」、そして「キーイベント」 へ#
旧 GA (ユニバーサルアナリティクス) では、重要なアクションを「目標 (Goal)」 と呼んでいました。GA4 移行が始まった 2020 年以降、Google は「目標」 を廃止し「コンバージョン」 に統一します。ところがここで問題が生まれました — GA4 の「コンバージョン」 と Google Ads の「コンバージョン」 は同じ言葉でも別の数字を指していたのです。GA4 はサイト内イベントをカウントし、Google Ads は広告クリックに紐づいた成果をカウントするため、レポートで並べたときに「数字が合わない」 という問い合わせが急増しました。
2024 年「キーイベント」 への再改名#
この混乱を整理するため、Google は 2024 年 3 月に GA4 側の「コンバージョン」 を「キーイベント (Key Events)」 に改名し、Google Ads 側だけが「コンバージョン」 を引き続き使う、という棲み分けに変えました[1]。
2024 年以降の GA4 は次の二層構造です。GA4 内では重要なイベントを「キーイベント」 と呼び、Google Ads 連携時はそれが「Ads コンバージョン」 としてインポートされる。同じ「購入完了」 でも、GA4 では「キーイベント」、Google Ads では「コンバージョン」 と呼ばれる、という整理になりました[2]。
2. 何が変わって、何が変わっていないのか : 現場の使い分け#
用語が変わると「設定をやり直さなければ」 と身構えがちですが、実際に変わったのは表示ラベルとレポート名がほとんどで、計測ロジックや過去データは引き継がれています。

画面表記はどこが変わったか#
主に次の 3 箇所のラベルが「コンバージョン」 → 「キーイベント」 に書き換わりました。
- 管理 > イベント > キーイベントとしてマーク (旧「コンバージョンとしてマーク」)
- レポート > エンゲージメント > キーイベント (旧「コンバージョン」 レポート)
- データ探索 (Explorations): 指標選択に**「キーイベント」**が出現 (旧「コンバージョン」)
イベント本体 (purchase / sign_up 等) の名前や Google Ads とのリンク設定は一切変わっていません。「変わったのはラベル・変わっていないのは計測の中身」 と覚えると整理しやすいです。
過去の設定は自動で引き継がれる : チェック 3 項目#
2024 年改名前から GA4 を運用していたサイトでは、過去にコンバージョン設定したイベントが自動でキーイベントに引き継がれています。再設定は不要ですが、次の 3 点だけ確認しておくと安心です。
- 管理 > キーイベント で旧コンバージョン設定が一覧に並んでいるか (件数一致)
- 過去レポートの数値が継続しているか — 改名タイミングで途切れていないか
- Google Ads 側の「コンバージョン」 設定が独立して残っているか — Ads コンバージョンは別物として引き続き Ads 側で設定が必要
3 番目は特に見落とされがちです。GA4 でキーイベントとしてマークしただけでは Google Ads 自動入札には反映されず、広告運用には Google Ads 側で改めて「コンバージョン」 登録する 2 段階作業が要ります[2][3]。
3. 「キーイベント数」 だけ見ても投資判断はできない : 売上で見る視点#
広告投資の判断という視点で言うと、キーイベント数だけを見ていても「次にどこへ予算を振るか」 の答えは出ない、という構造的な限界があります。

キーイベントは「確度シグナル」 にすぎない#
GA4 のキーイベントは、ユーザーが購入や登録に近づいたことを示すシグナルです。add_to_cart も begin_checkout も purchase も、すべてキーイベントとしてマークできます。「今月キーイベントが 1,200 件発火した」 という数字は、何回重要な行動が取られたかは示してくれますが、それがどの広告チャネル経由でいくらの売上に化けたかまでは語りません。
実際の広告運用ではこうした問いが出ます。
- Meta 広告と Google 広告、キーイベントは何件発生したか
- そのキーイベントが売上に紐づいたセッションは何件か
- セッションあたりの売上 (RPS) で比べて、どのチャネルが効率良いか
キーイベント数は最初の問いには答えますが、2-3 番目になると別の指標が要ります。
売上分解 (RPS / AOV / CVR) で投資判断する#
広告投資の判断には、キーイベント数の手前のセッション数と、後ろの売上金額まで含めた分解が欠かせません。基本式は次の通りです。
売上 = セッション数 × CVR × AOV (RPS = 売上 ÷ セッション数 = CVR × AOV)
ROAS の完全ガイド でも触れていますが、ROAS や CVR だけ見て予算配分すると「件数は取れているが利益が出ない」 を見逃します。逆に AOV (客単価) を上げる打ち手 だけを追うと CVR が落ちて全体売上が縮む。セッションあたり売上 (RPS) で並べて比較することで、どのチャネルの 1 セッションが最も売上に化けているかが見えます (RPS の計算方法はこちら)。
キーイベント数は「何回発火したか」 を教えますが、「次にどこへ予算を振るべきか」 の答えはセッションあたりの売上にあります。GA4 のキーイベントを起点にしつつ、最終的にはチャネル別の RPS で判断する — これが基礎指標を「投資判断につなげる」 ための型です。
よくある質問#
Q1. 「コンバージョンとしてマーク」 が画面に見当たらないのですが、設定方法は変わりましたか?
ラベルが「キーイベントとしてマーク」 に変わっただけで、操作手順は同じです。管理 > イベント のイベント一覧で、重要なイベントの「キーイベントとしてマーク」 トグルをオンにします[1]。
Q2. 旧 GA で設定していた「目標」 はキーイベントとして引き継がれますか?
旧 GA (ユニバーサルアナリティクス) の「目標」 は、GA4 への移行時に手動で再設定が必要です。2024 年改名で自動移行されたのは「GA4 のコンバージョン設定 → キーイベント」 部分のみで、UA からの移行は別作業になります。シリーズ第 2 回 GA4 のイベント数とセッション数の違い で GA4 の計測モデル全体を整理しています。
参考文献#
- Google アナリティクス ヘルプ 「キーイベントについて」
- Google アナリティクス ヘルプ 「キーイベントとコンバージョンの違い」
- Google 広告 ヘルプ 「Google アナリティクスのキーイベントを Google 広告のコンバージョンとしてインポートする」
- Google アナリティクス ヘルプ 「[GA4] イベントについて」

