「直帰率が高いから問題ですよね?」 「離脱率と直帰率って何が違うんですか?」 — Web解析の現場でいちばん混同されやすいのがこの2つの指標です。さらにGoogle Analyticsが GA4 (Google Analytics 4) に切り替わったことで、直帰率の定義そのものが変わり、離脱率はGA4の標準指標から消えました。
本記事では「直帰率」 と「離脱率」 の違いを、UA時代とGA4時代の定義からやさしく整理し、EC事業者が売上視点で本当に見るべきはどちらか、という観点まで一気に解説します。
この記事のまとめ#
-
直帰率と離脱率は「対象セッション」 が違う
離脱率はそのページを通ったすべてのセッションが対象、直帰率はそのページから始まったセッションのみが対象です[2]
-
GA4では直帰率の定義が変わった
UA時代の「1ページだけ見て帰った率」 から、GA4では「エンゲージメントしなかった率」 (1 から エンゲージメント率を引いた値) に再定義されました[1]
-
EC事業者は「離脱の質」 を売上で見る
直帰率や離脱率の高低だけでは良し悪しは判定できません。RPS (Revenue Per Session) と組み合わせて「離脱の質」 を見るのが実務上の落とし所です

1. 直帰率 (Bounce Rate) とは : GA4 で定義が変わった指標#
直帰率は GA4 と Universal Analytics (UA) で意味がまったく違います。先に結論を言うと、UA時代の「1ページだけ見て帰った率」 という覚え方は GA4 では通用しません。
UA時代の直帰率 (旧定義)#
UAでは「そのページから始まったセッションのうち、ページビューが1つだけだったセッションの割合」 でした[2]。
ランディングページを訪問してすぐに離脱した人、つまり「1ページだけ見てサイトを離れた人」 の割合という覚え方が一般的でした。
GA4時代の直帰率 (新定義)#
GA4では「エンゲージメントしなかったセッションの割合」 (1 から エンゲージメント率を引いた値) として再定義されています[1]。
ここで言う「エンゲージメントセッション」 とは、次のいずれかを満たしたセッションのことです[1]。
- 継続時間が 10秒を超える
- キーイベント (Key Event) が発生した
- 2回以上のページビュー or スクリーンビュー がある
つまり、1ページだけ見ても10秒以上滞在すれば「直帰」 にはカウントされません。逆に、2ページ見ても10秒未満で離脱し、キーイベントも発火しなければ直帰扱いになる場合があります。

「直帰率が高い = 悪い」 という単純な解釈は、GA4ではさらに通用しにくくなりました。10秒未満で帰った人を「直帰」 と呼ぶか「読み切った人」 と呼ぶかは、ページの目的次第だからです。
2. 離脱率 (Exit Rate) とは : ページごとに「ここで終わった」 割合#
離脱率は、そのページを通ったすべてのセッションのうち、そのページがセッションの最後だった割合を示します[2]。
計算式は次の通りです。
離脱率 = そのページで離脱したセッション数 ÷ そのページを含むすべてのセッション数
直帰率との決定的な違いは「対象セッション」 です。直帰率はそのページから 始まった セッションだけが分母ですが、離脱率はそのページを 通った すべてのセッションが分母になります。
GA4 では標準指標から消えた#
UAの標準レポートには「離脱率」 という列がありましたが、GA4では離脱率は標準指標として提供されていません[3]。
GA4で離脱の傾向を見たい場合は、次のいずれかで代替します。
- 経路データ探索 (Path Exploration):どのページからどこに遷移したか / 離脱したかを可視化
- イベント
session_endの分布:セッションが終わった直前のページを集計 - エンゲージメント時間 との組み合わせ:滞在が短く離脱が多いページを特定
「離脱率」 という単一指標で見る発想自体が、GA4のイベントベース計測モデルでは前提から変わっていると理解しておくのが安全です。
3. 直帰率と離脱率の違いを表で整理#
両者の違いを表にまとめます。

| 観点 | 直帰率 (Bounce Rate) | 離脱率 (Exit Rate) |
|---|---|---|
| 対象セッション | そのページから 始まった セッション | そのページを 通った すべてのセッション |
| 分子 | エンゲージなしで終わったセッション数 (GA4) | そのページで離脱したセッション数 |
| GA4 での扱い | 標準指標 (定義は再定義済) | 標準指標になし (探索で代替) |
| 主な用途 | LP / 入口ページの単独評価 | 各ページの「出口度合い」 評価 |
混同を避けるシンプルな覚え方としては、次の比喩がわかりやすいかもしれません。
- 直帰率 = 「玄関で帰った人」 の割合 (入口ページ視点)
- 離脱率 = 「どの部屋で出ていったか」 の割合 (各ページ視点)
4. 売上視点で見る :直帰率/離脱率は「悪い指標」 なのか?#
直帰率や離脱率は「高い = 悪い」 と短絡的に判断されがちですが、実務では必ずしもそうではありません。
直帰率が高くても問題ないケース#
- シングルページLP:1ページで購入や問い合わせまで完結する設計のLPは、構造上ほぼ全員が「1ページ閲覧」 で離脱します。直帰率90%でもCV率が高ければ健全です
- 記事メディア:検索流入で記事を読み切って戻るユーザーは「直帰」 にカウントされますが、本来の目的は達成しています
離脱率が問題になるケース#
- ECの商品詳細ページ:購入意思のあるユーザーがここで離脱しているなら、ボタン位置・在庫表示・配送情報など改善余地が大きい
- チェックアウトの中間ステップ:カート → 配送先入力 → 決済の途中で離脱率が突出していれば、フォーム設計の問題が示唆されます
つまり「どのページで」「どの文脈で」 直帰/離脱しているかが本質で、率の高低だけを単独で追っても改善アクションには結びつきません。
5. EC事業者が本当に見るべきは :「離脱の質」 と RPS#
直帰率や離脱率の改善は、最終的には「売上が上がるかどうか」 で判定すべきです。RevenueScope では、ページ単位の離脱を売上指標と組み合わせて見ることを推奨しています。
RPS (Revenue Per Session) で「離脱の質」 を判定#
RPS = 売上 / セッション数。1セッションあたりの売上を表す指標です。

- 離脱率が高くRPSも低いページ → 改善優先度 ★★★ (売上機会喪失が大きい)
- 離脱率が高くRPSも高いページ → 改善優先度 ★ (CV成立後の自然な離脱)
- 離脱率が低くRPSも低いページ → 回遊はあるが売上に結びついていない (CTA設計を見直し)
- 離脱率が低くRPSも高いページ → 維持 (現状の設計を他ページに横展開)
このように「離脱率 × RPS」 のマトリクスで見ると、どのページから手をつけるべきかが一目でわかります。詳しい設計思想は 売上ダッシュボードの設計 でも解説しています。
関連する基礎指標#
直帰率や離脱率の理解を深めるために、シリーズの他の記事もあわせて参考にしてください。
- 第1回 GA4 イベント数 vs セッション数の違い
- 第2回 セッション数 / PV / UU の違い
- GA4 で direct/none が増える原因と対処は GA4 直接流入が増える原因
- 1セッションあたりの売上の見方は RPS 完全ガイド
よくある質問#
Q1. GA4 の直帰率は UA の直帰率より下がりますか?
多くのケースで下がる傾向があります。GA4の直帰率は「エンゲージしなかった率」 で、10秒以上滞在 / キーイベント / 2PV以上のいずれかを満たせば直帰扱いにならないため、UA時代より閾値が緩くなっています[1]。
Q2. GA4 で離脱率を見たい場合はどうすればいい?
GA4の標準指標には離脱率がないため、データ探索の「経路データ探索」 や session_end イベントの集計で代替します[3]。離脱が多いページを特定したい場合は、エンゲージメント時間の短さと組み合わせて見ると判断しやすくなります。
Q3. 直帰率の「目安」 は何%ですか?
業種・ページ目的によって大きく変わるため、一律の目安はありません。記事メディアは70-90%が一般的、EC商品詳細は40-60%が一般的、シングルページLPは90%以上でも健全と判定できます。RPSやCV率と組み合わせて判定するのが実務的です。
Q4. 離脱率を改善する施策の優先順位は?
「ECチェックアウトの中間ステップ」 → 「商品詳細ページ」 → 「カテゴリ・検索結果」 の順に売上インパクトが大きい傾向があります。フォーム入力負荷・在庫表示・配送情報などUX要素から見直すのが定石です。
参考文献#
- Google アナリティクス ヘルプ 「[GA4] エンゲージメント率と直帰率」
- Google アナリティクス ヘルプ 「離脱率と直帰率の違い」
- Google アナリティクス ヘルプ 「指標の比較: Google アナリティクス 4 とユニバーサル アナリティクス」

