ECサイトのSEOに手をかけようとすると、たいてい最初に「ブログを増やすべきか、それともカテゴリや商品ページを厚くすべきか」という二択にぶつかります。定番の助言は「週に3〜4本ブログを書きましょう」で、そのブログがECの売上に効くのかは問われないまま、本数のノルマだけが残りがちです。
けれど実際に売れているECの構造を分解すると、勝因は「ブログか商品ページか」の二択ではありません。商品ページ・カテゴリページ・ブログ記事を内部リンクで結んだ網と、それぞれのページが拾う検索意図の噛み合わせが効いています。最近はAIによる検索結果の要約(AI Overview)でブログ経由の流入が広く細り、「ブログへの投資は回収できるのか」という不安も重なりました。だからこそ、型ごとの投資判断を感覚でなく数字で裏づけたい。この記事では、まず二択の問いを一度ほどき、そのうえでブログとカテゴリのSEO強化をどちらにするかを、URLパスで束ねた「着地売上」で裁定する考え方を整理します。
目次
この記事のまとめ#
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「ブログか、カテゴリ・商品か」という二択は、問いの立て方そのものが少しズレています。勝っているECは二者択一ではなく、3つの型を内部リンクで結んだ網で回っていて、型は対立でなく役割分担だからです
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そのうえで、どの型に工数を寄せるかは一般論でなく自社の売上で決めます。判断軸を「ブログ派vs商品ページ派」の感覚論から、URLパスで束ねた着地売上に置き換えます
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着地売上とは、その入口ページから入ったセッションの売上のことです。回遊して別ページで買った分も入口に寄せて数えます(last-touch)。ページ単位のCVRは出しません
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型への束ね方は、ページ別の着地売上をURLパスのパターンでグルーピングする手順です。ツールが型を自動判定するわけではありません
1. ブログ派とカテゴリ派、一般論では決まらない#
結論から言うと、「ブログか商品ページか」の二択で悩む前に、その問いを一度ほどく必要があります。 勝っているECは、どちらか一方に賭けて勝っているのではなく、3つの型を内部リンクでつないだ網で回っているからです。
型にはそれぞれ役割があります。ブログ記事は、まだ商品を探す前の「調べる・比べる」段階の検索意図を拾う上流の入口です。カテゴリページや商品ページは、買う直前の「これが欲しい」という購入意図に近い受け皿です。この2つは競い合う関係ではなく、上流で関心をつくり、内部リンクで購入意図のページへ橋渡しする補完関係にあります。だから「ブログ vs カテゴリ、どっちが正解か」と対立させる問いの立て方自体が、少し的を外しています。
それでも判断を迫られるのは、時間もお金も有限だからです。ここで危ないのが、SEOの話になった途端に「とにかくブログを量産」へ流れてしまうことです。ブログの本数はSEOの成果と同じではありません。本数KPIは売上KPIと乖離します。だから決め方を、感覚的な「ブログ派 vs 商品ページ派」から、自社の実売上へ置き換えます。

上の図は、型別に着地売上のシェアを並べたイメージです。購入意図に近い商品ページに売上が最も寄り、カテゴリ、ブログと続きます。もちろん比率はサイトごとに違います。集客チャネル全体の中でSEOをどう位置づけるかはEC集客チャネルの比較で、AI Overviewでブログ流入が崩れたときの立て直しはブログ流入が崩れたときの生き残り方で別に整理しています。まずは自社の型別シェアを、感覚でなく数字で持つことが出発点です。
2. ページの型は「URLパスで束ねる」#
結論から言うと、型別の着地売上は、ツールが「これはブログ」「これは商品」と自動で分類してくれるわけではありません。 出てくるのはページ単位の着地売上までで、それを型に束ねるのは、URLパスのパターンを手がかりに人がグルーピングする作業です。ここを正直に押さえておかないと、後の判断がぶれます。
多くのECでは、URLの形に型が表わしています。ブログは/blog/、カテゴリは/collections/や/category/、商品は/products/といった具合です。だから型別に束ねるとは、ページ別の着地売上を書き出し、URLパスの頭で「これはブログ群」「これは商品群」と仕分けて、型ごとに合計する手順を指します。パスの付け方がサイトによって違えば、束ね方の定義も自分で決める必要があります。自動の型判定ではなく、あくまでURLを読んだ人の分類だという点が肝心です。
もう1つ、押さえておきたいのが「着地売上」という数え方です。着地売上とは、そのページを入口にして入ってきたセッションが、最終的にいくら売り上げたかを、入口ページに寄せて集計した金額です。たとえばブログ記事から入った人が、内部リンクをたどって商品ページで買ったなら、その売上は入口であるブログ記事の着地売上に数えます。回遊して別ページで買った分も入口に寄せるので、後日でなくその訪問の中の回遊は成果として拾えます。この入口に寄せる数え方をlast-touch(最終接点でなく入口接点への帰属)と呼びます。ここで大事な線引きは、着地売上はあくまで入口ページ単位の売上であって、ページ単位のCVR(購入率)は出さないことです。記事のような回遊前提のページを率で採点すると測り方がずれるためで、この理由は記事はCVRでなく着地売上で見るで詳しく扱っています。
3. 型別の着地売上で工数をどこに寄せるか#
結論から言うと、工数の寄せ先は「着地売上の規模」と「1ページあたりの効率」の2つで決めます。 シェアの大きさだけを見ると本数の多い型に引っ張られ、効率だけを見ると少数のページに賭けすぎます。2軸で見て、型ごとの立ち位置から配分を決めます。
着地売上の規模は、その型が全体でいくら売上を生んでいるかです。1ページあたりの効率は、その型のページ1本が平均していくら着地売上を生んでいるかで、規模をページ数で割った値です。商品ページは規模が大きく効率もそこそこ、カテゴリページは本数が少なくても1ページの効率が高い、ブログは1本あたりの直接の着地売上は薄い、といった型ごとの特徴が見えてきます。

図の右上に来る型ほど、規模も効率も大きい主戦場です。左下に来るブログは、直接の着地売上こそ薄く見えますが、ここで切り捨ててはいけません。ブログは上流の意図を拾い、内部リンクで購入意図のページへ送客する橋渡し役だからです。橋を落とせば、その先の商品・カテゴリの着地売上も細ります。だから配分は「ブログをゼロにして商品に全振り」ではなく、規模と効率が大きい型を厚く張りつつ、ブログは送客が機能しているかで残す量を決める、という形になります。1ページあたりの効率を軸に無駄なページを見直す視点はページ別の売上効率で見直すで、どの記事から手を入れるかの優先順位はリライトする記事の優先順位で扱っています。
4. 自分のECはどの型に振るべきか#
結論から言うと、型への工数配分は3つの問いを順にたどると決まります。 二択で一気に決めず、URLで束ねた着地売上と、内部リンクの噛み合わせを見て裁定します。

最初の問いは「URLで束ねた型別の着地売上を、そもそも出せているか」です。出せていなければ、まずはページ別の着地売上をURLで束ねるところから始めます。次の問いは「購入意図の型(商品・カテゴリ)の着地売上シェアは十分か」です。ここが薄いなら、購入意図に近いページの強化に工数を寄せます。最後の問いは「ブログは内部リンクで購入意図のページへ、ちゃんと送客できているか」です。できていなければ、ブログを増やす前に、ブログから商品・カテゴリへの内部リンクを整えるのが先です。送客が効いているなら、現状の配分を保ちつつ、伸びている型を厚くします。
この診断でいちばん重いのは、実は最初の問いです。ページ別の着地売上をURLで束ね直し、型ごとに合計する作業を、毎期・全ページ横断でくり返すのが手間だからです。作業自体は簡易ですが、ページ数が増え、更新のたびに束ね直すほど重くなります。役目を終えたページを畳む判断は古い記事を消す3つの条件にまとめました。
RevenueScopeの解決策
型別に工数を配分しようとすると、結局ぶつかるのは同じ作業です。ページ別の着地売上をURLで束ね直し、型ごとに合計して、規模と効率で「どの型に振るか」を判断する。この束ね直しを、毎期・全ページ横断でくり返すのが重いのです。
RevenueScope は、この手前のいちばん重い部分を解決します。ページ別の着地売上(入口ページに寄せたlast-touch)を一覧にして、規模の大きい順に表示します(表示はサンプルデータのフィクションサイト)。ここで返るのは「ページ」と「着地売上」の列までで、それをどの型に束ねるかは、URLパスを読んで決めます。RevenueScope が型を自動で判定するわけではありません。
| ページ(URL) | 型 | 着地売上 |
|---|---|---|
| /products/serum-blanc | 商品 | 182万円 |
| /collections/skincare | カテゴリ | 121万円 |
| /products/moist-repair-cream | 商品 | 118万円 |
| /products/cleansing-balm | 商品 | 84万円 |
| /collections/new-arrivals | カテゴリ | 46万円 |
| /blog/skincare-order-guide | ブログ | 41万円 |
| /blog/vitamin-c-serum-guide | ブログ | 27万円 |
この表の「ページ」と「着地売上」が RevenueScope の出力例です。右の「型」列は、URLパスの頭(/products/・/collections/・/blog/)を読んで自分で振り分けたものです。型で足し直すと、商品がおよそ6割、カテゴリが約2割、ブログが約1割。着地売上は入口ページに寄せる数え方なので、ブログから入って商品ページで買った分は、入口のブログに数えられます。だからブログの数字が薄くても、送客の橋を落としてよいとは限りません。なお、ページ単位のCVR(購入率)はここでは出しません。回遊前提のページを率で採点すると、測り方がずれるためです。
気になる行を開くと、その1ページの着地売上や検索での表示回数・クリック・掲載順位の推移が出ます。一覧で「どの型に売上が寄っているか」を束ねてつかみ、行を開いて「この入口はどう動いているか」を確かめる。束ね直しと確認を1画面で行き来できるので、感覚論でなく自社の売上で型別の配分を決められます。プランごとの範囲は料金プランにまとめています。
FAQ#
よくある質問#
Q. 結局、ブログとカテゴリはどちらを強化すべきですか?
A. 一般論では決められません。自社のページ別着地売上をURLで型に束ね、規模と効率で見て決めます。多くのECでは購入意図に近い商品・カテゴリに着地売上が寄りますが、ブログは上流で関心をつくり内部リンクで送客する役割があるので、直接の売上が薄くても切り捨てる対象にはなりません。二択でなく、役割分担と売上の両面で配分を決めてください。
Q. AI Overviewでブログ流入が減っています。ブログはもうやめるべきですか?
A. 流入だけで判断せず、着地売上と送客の役割で見てください。ブログ経由で入った人が内部リンクをたどって商品ページで買っていれば、その売上は入口のブログの着地売上に数えられます。流入の数字だけでは、この橋渡しの貢献は見えません。まずは型別の着地売上と、ブログから購入意図ページへの送客が効いているかを確かめてから、量を調整します。
Q. RevenueScopeは型を自動で分類してくれますか?
A. いいえ。RevenueScope が返すのはページ単位の着地売上までです。それをブログ・カテゴリ・商品のどの型に束ねるかは、URLパスのパターンを手がかりに人が仕分けます。自動の型判定ではなく、URLを読んだ分類だという前提で利用ください。着地売上は入口ページに寄せるlast-touchで、ページ単位のCVRは出しません。
まとめ#
「ブログか、カテゴリ・商品か」という二択は、問いの立て方そのものが少しズレています。勝っているECは、3つの型を内部リンクで結んだ網で回っていて、型は対立でなく役割分担だからです。まずこの二択をほどき、そのうえで「どの型に工数を寄せるか」を、一般論でなく自社の売上で裁定します。
判断軸は「ブログ派 vs 商品ページ派」の感覚論から、URLパスで束ねた着地売上へ。着地売上は入口ページに寄せる数え方で、ページ単位のCVRは出しません。型への束ねは、ページ別の着地売上をURLパスで人が仕分ける手順で、ツールが自動判定するわけではありません。むずかしいのは考え方でなく、束ね直しを毎期くり返すことのほう。まずは自社のページ別着地売上を1画面にそろえ、URLで型に束ねて、規模と効率で配分を決めるところから始めてみてください。感覚で割っていた工数が、自社の売上という根拠のうえに乗ります。
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