WooCommerceの注文数と、GA4の購入イベントの数が合わない。一致率が8割で収まるサイトもあれば、5割まで開くサイトもあります。差の大きさが現場ごとに異なるのは、WordPressが計測の経路を自分で組む構造だからです。この記事では、どこで計上が落ちているかを切り分ける順番と、判断に使う数字の決め方を整理します。
目次
この記事のまとめ#
- WooCommerceの注文数とGA4の購入数の差は、サイトごとに大きさが変わります。目標にできる一致率という基準はありません
- 計上が落ちる箇所は1つではないため、計測プラグインの設定を1つ正しても差は残ります
- 定期購入の自動更新は顧客の操作を必要とせずに処理されるので、購入完了ページの読み込みで発火するタグでは計上されません
- 完全一致はしません。経理の締めはWooCommerceの注文、集客の配分は計測側というように、問いごとに使う数字を先に決めてください
- 配分の判断に要るのは注文数の一致ではなく、チャネルごとの訪問1回あたりの売上です
1.なぜ一致率が現場ごとに異なるのか#
一致率に相場はありません。同じプラグインを使っていても、サイトごとに計測の経路が別物だからです。
数が合わないと気づくと、まずGA4の連携プラグインとタグの設定を確認しにいきます。ただ、この確認だけで差が消えることはほとんどありません。計上が落ちる箇所が1つではないからです。1つ修正しても、残りの箇所は前と同じ量を取りこぼし続けます。
GA4が購入を計上する条件そのものは明快です。公式の手順は、購入するページにpurchaseイベントを配置し、購入時に表示される確認ページへこのイベントを追加する形をとります。イベントのコードは<script>タグの中に置かれ、ページの読み込み時に発火します[1]。裏を返せば、確認ページが表示され、その読み込みが最後まで走ることが前提になっています。
WordPressは、この前提を満たす形が1つに決まっていません。チェックアウトの実装、同意の取り方、計測プラグインの構成、定期購入を扱うかどうかを、サイトごとに別々に選びます。選んだ組み合わせがそのまま計測の経路になるので、取りこぼす量も組み合わせの数だけ分かれます。一致率が8割のサイトと5割のサイトの差は、設定の巧拙ではなく組み合わせの違いから生まれます。
同じ計測プラグインを入れていても結果が分かれるのは、このためです。プラグインが送れるのは、チェックアウトの処理が外へ渡している内容までです。テーマ側で購入完了ページを差し替えていたり、決済の拡張が独自の完了処理を持っていたりすると、プラグインからは購入が見えません。プラグインの品質ではなく、そのプラグインが何を受け取れる位置に置かれているかで結果が決まります。

同じ「合わない」でも、ECの基盤側が計測の経路を用意している場合は前提が変わります。Shopifyを対象にしたのがGA4の売上がShopifyと合わない理由で、この記事が扱うのは、経路を自分で組んだ場合です。
2.どこで計上が落ちているかを切り分ける順番#
確認は、取りこぼす量が大きいものから始めます。
定期購入の自動更新から分ける。 WooCommerceの自動更新は、顧客の操作を必要とせずに処理されます[2]。ブラウザでの購入手続きが発生しないため、確認ページの読み込みで発火するタグはここで動作しません。GA4へ送るには、Measurement Protocolを使うことになります。HTTPリクエストでGA4のサーバーへイベントを直接送る仕組みで、サーバー間やオフラインで発生した処理の記録に用意されています[3]。これは開発の作業で、導入した後も通常の購入との重複を確認する工程が残ります。定期購入を扱っているなら、更新分の注文を通常の注文と分けて集計するところから始めてください。
ページ遷移を伴わないチェックアウトを疑う。 購入の完了が同じページの中で処理される実装だと、確認ページの読み込みという発火の合図そのものが起きません。注文IDで5件から10件ほど突き合わせ、特定の決済手段だけ欠けていないかを見ます。合計から入ると、どの経路が欠けているかは分かりません。決済手段ごとに分けると、候補はさらに絞れます。外部の決済画面へ移動する手段だけが欠けているなら、戻り先のページで計測が走っていない可能性が高くなります。手段を問わず一定の割合で欠けているなら、原因はチェックアウトの実装ではなく、この後の同意やプラグインの側にあります。
同意の取り方を確認する。 同意を取得する前に発生したイベントをどう扱うかは設定で変わり、購入の計上にも影響します。設定と数値の関係は同意バナーでGA4の数値が減るで扱っています。
プラグインの競合を最後に見る。 計測用のプラグイン、テーマ、決済の拡張が同じ合図を取り合うと、イベントが送られなかったり、金額や注文IDが欠けたまま送られたりします。1つずつ止めて再現を確認する工程になるので、上の3つで説明がつかない分だけを対象にしてください。
4つを確認しても、注文数と購入数は一致しません。切り分けで分かるのは、どの経路がどれくらい取りこぼしているかまでです。
3.完全一致はしないので判断に使う数字を先に決める#
残った差は不具合ではありません。GA4の購入イベントは注文の記録ではなく、ブラウザで発火した計測の記録だからです。
返品と購入の取り消し、広告ブロック、計測を許可しない訪問。これらは経路を組み直しても残ります。数か月かけて一致率を上げても、上限が100%になることはありません。そして、その作業のあいだも来月の広告費は決めなければなりません。
問いを置き換えると、要るデータも入れ替わります。「注文数をどこまで一致させられたか」は計測の精度の話で、精度をどれだけ上げても来月の配分は決まりません。「どのチャネルへ寄せると売上が増えるか」に答えるには、同じ期間の同じ集計の中に、チャネルごとのセッションと売上の両方が入っている必要があります。
決め方は2つに分けます。経理の締めと注文の管理は、WooCommerceの注文を正とします。集客の配分は計測側の数字を1系統に固定し、その系統の中だけで比べます。2系統をまたいで足し引きすると、取りこぼした量が配分の判断へ紛れ込みます。
どちらの系統を配分に使うかは、精度の高さだけで選ぶ必要はありません。決めるべきなのは、毎月同じ系統を使い続けることのほうです。先月はWooCommerceの注文、今月はGA4の購入数という参照のしかたをすると、配分を変えた効果と、参照先を変えた影響が同じ増減の中に混ざります。系統を1つに固定しておけば、増減の原因は自社が変えた配分の側に絞れます。
差が逆を向いているとき、つまりGA4の購入数がWooCommerceの注文数を上回るときは、原因も対処も別になります。GA4の購入数が注文より多いとGTMで購入が二重に計上されるで扱っています。返品を差し引いた後の売上と比べているなら、差の一部は返品の計上のしかたです。こちらはGA4の売上が経理と合わないを参照してください。
RevenueScopeの解決策
ここで要るのは、注文数を一致させる作業ではなく、配分を決めるためのチャネルごとの効率です。RevenueScopeは、指定した期間の売上・セッション数・RPS(訪問1回あたりの売上)・AOV(1注文あたりの平均売上)・CVRを、当期と前期比で表示します。チャネル別の内訳では、チャネルごとのセッション・売上・RPSを表示します。広告費を年・月・チャネル単位で入力するか、CSVでまとめて取り込んだ期間は、そのチャネルのROASも合わせて表示します。
計測はタグを1つ設置する形で、GA4のeコマース用に用意したdataLayerのpurchaseにそのまま相乗りします。GA4のために組んだ経路を、もう1本ぶん作り直す必要はありません。売上の帰属は、購入の直前に経由したチャネルへ割り当てるlast-touchが既定です。first-touch・linear・time-decayへ切り替えて比較できます。どのチャネルにも紐づかない売上は、未帰属の売上として分けて表示します。botと判定した訪問を除いた後の数値を表示します。
架空店舗Rのチャネル別の集客効率(イメージ)
| チャネル | セッション | 売上 | RPS |
|---|---|---|---|
| Google検索 | 1万 | 200万円 | 200円 |
| メール | 2,000 | 30万円 | 150円 |
| SNS広告 | 5,000 | 40万円 | 80円 |
※CTAから開く見本ECは、サンプルデータ(日々更新)で表示されます。上の表はそれとは別に、首位が入れ替わらない場合の読み方だけを取り出して組んだ教材です。
表の読みどころは、入れ替わりが起きていないことです。セッションで首位のGoogle検索が、RPSでも200円で首位に立っています。メールとSNS広告の前後関係も、量と効率で変わりません。ここで確定するのは、来月の配分で減らす候補から外す1本がGoogle検索だ、という点です。
次の一手は、この1本へ確認を寄せることです。当期と前期比が同じ画面に表示されるので、Google検索のRPSが2割落ちた月に最初に気づけます。配分を増やす先を探すより、首位が落ちた月を見逃さないほうが、来月の売上には効きます。
FAQ#
よくある質問#
Q. 一致率は何%まで上げれば正常ですか?
A. 目標にできる基準はありません。WordPressでは計測の経路をサイトごとに組むため、取りこぼす量も現場ごとに分かれます。他社の一致率と比べるより、自社サイトで先月と今月の一致率が同じ水準で推移しているかを見てください。急に開いた月があれば、その月に追加したプラグインや変更した設定が候補になります。
Q. 定期購入の更新はGA4に計上されますか?
A. ブラウザのタグをそのまま使っている場合は計上されません。WooCommerceの自動更新は顧客の操作を必要とせずに処理されるため[2]、購入完了ページの読み込みで発火するタグは動作しません。サーバー間やオフラインで発生した処理をGA4へ送るには、Measurement Protocolを使います[3]。
Q. サーバー側の計測に切り替えれば一致しますか?
A. 取りこぼしは減りますが、一致はしません。返品、購入の取り消し、計測を許可しない訪問は残ります。切り替えを検討するなら、一致率を目標に置かず、どの経路の取りこぼしを減らしたいのかを先に決めてください。
Q. GA4の購入数のほうが注文数より多いときも、同じ確認でよいですか?
A. 別の確認になります。多く計上される側の原因は、同じ購入が複数回送られることや、決済の再試行で注文が2件作られることです。GTMで購入が二重に計上されるで扱っています。
Q. 計測プラグインを入れ替えれば一致率は上がりますか?
A. 入れ替えで解消するのは、そのプラグインが原因だった分だけです。この記事の順番でいえば4番目に当たります。定期購入の更新やページ遷移を伴わないチェックアウトが原因なら、別のプラグインへ替えても同じ量を取りこぼします。入れ替える前に、更新分と通常の注文を分けて集計し、差がどちらから来ているかを確認してください。
まとめ#
数が合わないと分かったら、GA4の連携プラグインの設定へ向かう前に、定期購入の自動更新を分けて集計してください。自動更新は顧客の操作を必要とせずに処理されるので[2]、ブラウザのタグでは計上されません。その次に、ページ遷移を伴わないチェックアウト、同意の取り方、プラグインの競合の順で確認します。取りこぼす量が大きいものから当たると、確認の回数が減ります。
そのうえで、完全な一致は目標から外してください。GA4の購入イベントは注文の記録ではなく、ブラウザで発火した計測の記録です。経理の締めはWooCommerceの注文、来月の広告費の配分は計測側の数字。この割り当てを先に決めておけば、差が残ったままでも配分の判断は進みます。判断の基準は、同じ期間で比べたチャネルごとの効率に置いてください。
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