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RPSとAOV、どちらで判断する?ECの売上を伸ばす指標の使い分け

RPS(1セッションあたり売上)とAOV(平均注文額)はどちらを見るべきか。RPS=AOV×CVRの関係・場面別の使い分け・AOVを上げたのにRPSが下がる落とし穴まで、EC事業者の実務目線で整理します。

RPSとAOV、どちらで判断する?ECの売上を伸ばす指標の使い分け

「客単価(AOV)を上げる施策をやったのに、思ったほど売上が伸びない」。EC を運営していると、こういう食い違いに何度も出会います。原因の多くは、見ている指標が AOV だけで、もう一方の「購入率(CVR)」が抜け落ちていることにあります。

AOV(平均注文額)と RPS(1 セッションあたり売上)は、どちらも「売上を測る指標」ですが、見ている範囲が違います。AOV は 買ってくれた人の単価、RPS は 訪れた人 1 人あたりの売上です。結論:単価施策の効果は AOV で測り、チャネルや施策の総合効率は RPS で判断する。そして両者は RPS = AOV × CVR でつながっている — これが本記事の出発点です。

本記事では、RPS と AOV の違い・両者をつなぐ計算式・場面別の使い分け・「AOV を上げたのに RPS が下がる」典型パターンまで、EC 事業者の実務目線で整理します。

動画で1分まとめ

この記事のまとめ#

  1. AOV = 買った人の単価、RPS = 訪れた人あたりの売上

    AOV は注文 1 件の平均額(売上 ÷ 注文数)。RPS はセッション 1 回あたりの売上(売上 ÷ セッション数)。母数が「注文」か「訪問」かで意味が変わる

  2. RPS = AOV × CVR でつながっている

    RPS は客単価(AOV)と購入率(CVR)の掛け算。AOV だけ見ると、CVR の差を見落として売上効率を見誤る

  3. 単価施策は AOV、チャネル比較は RPS

    クロスセルやまとめ買い施策の効果は AOV で測る。チャネルや広告の総合効率を比べるときは、訪問者数の質も含む RPS で判断する

1.RPSとAOVの違い—何を測る指標か#

RPS と AOV は名前が似ていますが、割り算の母数が違います

  • AOV(Average Order Value・平均注文額) = 売上 ÷ 注文数。1 回の注文でいくら買ってくれたか、という「買った人の単価」
  • RPS(Revenue Per Session・1 セッションあたり売上) = 売上 ÷ セッション数。サイトを訪れた 1 回あたりいくらの売上が立ったか、という「訪れた人あたりの売上」

違いは母数です。AOV は 買ってくれた人だけを数えるのに対し、RPS は 買わなかった人も含む全訪問で割ります。だから AOV は「単価」、RPS は「単価 × 売れやすさ」を含んだ指標になります。

たとえば客単価 5,000 円の店が 2 つあっても、片方は 100 人に 1 人しか買わず、もう片方は 20 人に 1 人が買うなら、訪問あたりの売上はまったく違います。AOV はどちらも 5,000 円ですが、RPS は大きく差がつきます。AOV だけでは、この「売れやすさ」の差が見えません。

2.RPSとAOVをつなぐ計算式#

RPS と AOV は、購入率(CVR)を介してきれいにつながっています。

RPS = AOV × CVR

なぜこうなるか。AOV は「売上 ÷ 注文数」、CVR は「注文数 ÷ セッション数」です。この 2 つを掛けると注文数が約分され、「売上 ÷ セッション数」= RPS になります。つまり RPS は、客単価(AOV)と購入率(CVR)の掛け算です。

客単価(AOV)が同じでも、購入率(CVR)でRPSは変わる

上のグラフは、AOV をすべて 5,000 円に固定し、CVR だけを動かしたものです。CVR が 2.0% なら RPS は 100 円、5.0% なら 250 円。客単価が同じでも、購入率が 2.5 倍なら RPS も 2.5 倍になります。AOV だけを見て「客単価は十分高い」と判断しても、CVR が低ければ訪問あたりの売上は小さいまま。RPS で見て初めて、その差に気づけます。

3.どちらで判断する?場面別の使い分け#

AOV と RPS は「どちらが優れている」という関係ではなく、測りたい対象で使い分けます

見たいこと使う指標理由
クロスセル・まとめ買い施策の効果AOV「1 回の注文額」を直接動かす施策なので、注文単位の AOV が変化を素直に映す
チャネル・広告の総合効率の比較RPSチャネルごとに訪問者の質(買う気の強さ)が違う。訪問を母数にした RPS が公平な物差しになる
単価施策が全体売上に効いたかRPSAOV が上がっても CVR が下がれば全体は伸びない。最終確認は RPS で
価格・ラインナップ設計AOV + CVR値上げや高額商品の追加は AOV と CVR の両方に効くため、分解して見る

ざっくり言えば、「単価そのものを動かす施策」は AOV、「チャネルや施策の良し悪しを比べる」ときは RPS です。そして AOV を動かす施策ほど、最後は RPS で「全体として増えたか」を検算する必要があります。その理由が次のセクションの落とし穴です。

4.AOVを上げたのにRPSが下がる落とし穴#

AOV を上げる施策は、しばしば 購入率(CVR)を下げます。客単価を無理に引き上げると、買うのをためらう人が増えるからです。

AOVを上げてもRPSは下がることがある

上のグラフは、ある施策の前後を比べたものです。施策前は AOV 4,000 円 × CVR 5.0% で RPS 200 円。ここで「高額バンドルを必須にする」施策を打ち、客単価を 6,000 円(+50%)に引き上げました。ところが購入のハードルが上がって CVR は 2.5% に半減。結果、RPS は 200 円 → 150 円に下がってしまいました

AOV だけを見ていると、この施策は「客単価 +50% の大成功」に見えます。しかし RPS で見れば、訪問あたりの売上はむしろ減っている。AOV を上げる施策は、CVR の低下とセットで RPS を検算しないと、売上を減らす施策を「成功」と誤認します。 客単価アップ施策の本当の合否は、AOV ではなく RPS が決めます。

RevenueScopeの解決策

AOV だけ見て判断を誤るのも、施策の前後で RPS の変化を追えないのも、根っこは同じです。AOV・CVR・RPS が 1 つの画面でつながって見えていないことです。多くの解析ツールは AOV と CVR を別の画面で表示し、RPS(= AOV × CVR)はそもそも出してくれません。

RevenueScope は、チャネル別に RPS・AOV・CVR を同じ画面に並べて見せます。AOV × CVR の掛け算(= RPS)まで自動で計算するので、「客単価は高いのに訪問あたりの売上は低い」チャネルや、「客単価は低いが購入率が高く RPS は最上位」のチャネルを、一目で切り分けられます。

RevenueScopeのチャネル別売上効率ダッシュボード(表示はデモデータ)。チャネル別に売上・RPS(1セッションあたり売上)・客単価(AOV)・購入率(CVR)を一覧化。客単価は高いのにRPSが伸びないGoogle検索と、客単価は中位でも購入率が高くRPS最上位のメルマガを強調表示

RevenueScope のダッシュボード(表示はデモデータ)。AOV・CVR・RPS を同じ物差しで並べ、客単価と売上効率のズレを可視化する。

上の画面では、Google 検索は AOV 5,000 円とこの中で最も高い客単価ですが、CVR が 2.5% と低いため RPS は 125 円にとどまります。一方メルマガは AOV 4,600 円とやや低めでも、CVR 7.5% が効いて RPS は 345 円とこの画面で最上位です。「客単価が高いチャネル=効率が良い」ではないことが、AOV と RPS を並べると即座に分かります。客単価施策を打った後も、同じ画面で RPS が伸びたかを確認すれば、第 4 章の落とし穴を避けられます。これが、AOV と RPS を使い分けて売上を伸ばす次の一手です。

5.よくある質問#

Q. RPS と AOV、結局どちらを KPI にすべきですか。

両方です。役割が違うため、片方では足りません。日々の単価施策(クロスセル等)の効果は AOV で追い、チャネルや施策全体の良し悪しは RPS で判断します。1 つだけ選ぶなら、CVR も含んで「訪問あたりの売上」を映す RPS の方が、事業全体の効率に近い指標です。

Q. AOV が高いチャネルは優先すべきですか。

AOV だけでは判断できません。AOV が高くても CVR が低ければ RPS は伸びません。チャネルの優先順位は、AOV ではなく RPS(= AOV × CVR)で比べてください。

Q. RPS は業種によって相場が違いますか。

はい。商材単価や購入頻度で RPS の水準は大きく変わります。他社比較よりも、自社のチャネル間・期間比較で「上がっているか」を追う方が実務では有効です。RPS の基礎は RPSとは|広告チャネル比較の指標・計算式・GA4での出し方 で詳しく解説しています。

まとめ#

RPS と AOV は、どちらも売上を測る指標ですが、見ている範囲が違います。ポイントは 3 つです。

  • AOV は買った人の単価、RPS は訪れた人あたりの売上。母数が「注文」か「訪問」かで意味が変わる
  • RPS = AOV × CVR。AOV だけ見ると購入率の差を見落とし、売上効率を見誤る
  • 単価施策は AOV で、チャネル比較と最終確認は RPS で。AOV を上げる施策ほど、RPS で「全体として増えたか」を検算する

客単価を上げる施策は魅力的に見えますが、その合否を決めるのは AOV ではなく RPS です。AOV・CVR・RPS を 1 つの画面で並べ、客単価と売上効率のズレを見ることが、売上を伸ばす出発点になります。

関連記事#

参考文献#

  • Google Analytics ヘルプ 「e コマース レポート(平均注文額・コンバージョン率)」 ヘルプ 2026 年
  • RevenueScope 「RPS(1 セッションあたり売上)の定義と計算式」 /news/rps-revenue-per-session-guide 2026 年

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